正当防衛と緊急避難の違い

1 正当防衛とは

刑事事件における正当防衛とは,相手方の突然の侵害行為に対して,防衛のために反撃等する行為のことです。
例えば,突然ナイフを持った人が襲ってきたので,自分の身を守るために,やむを得ずに相手を殴り倒したとした場合,正当防衛が成立する可能性があります。
相手を殴り倒すと,通常であれば,暴行罪や傷害罪となりますが,正当防衛に当たる場合には,違法性がないとして犯罪にはなりません。
正当防衛の具体例については,こちらもご覧ください。

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2 緊急避難とは

刑事事件における緊急避難とは,現在の危難を避けるためにやむを得ずにした行為であって,その結果生じた害が,避けようとした害の程度を超えなかったものをいいます。
例えば,クマに襲われて逃げる際に,他人の物を壊してしまったという場合,それが危険を避けるためにやむを得なかったのであれば緊急避難が成立する可能性があります。
緊急避難が成立する場合,正当防衛の場合と同様に,違法性がないとして犯罪にはなりません。

3 正当防衛と緊急避難の違い

正当防衛は,上記例のように突然ナイフで襲ってくる等の「不正」に対して反撃行為をするものです。
一方,緊急避難は,上記例のように,壊された物の所有者は何か悪いことをしたわけではありません(つまり「正」です。)。
このように,正当防衛は「正 対 不正」の関係であるのに対し,緊急避難は「正 対 正」の関係であり,そのため,緊急避難の方が正当防衛よりも成立するための要件が厳しくなっています。
実際に正当防衛や緊急避難が成立するか否かは難しい判断になるケースが多いですので,弁護士にご相談ください。