法人税のしくみ⑵

私は弁護士ですが,税理士としても仕事をしているので,このブログでも税法について書いています。

さて,以前,法人税上の所得(課税所得)は,益金の額から損金の額を差し引いたものであるというお話をしましたが,今回はこの課税所得がどのように計算されるのかを見ていきたいと思います。

課税所得の額を決めるにはいくつかの方法が考えられます。一つ目は,会社の決算上の利益をそのまま課税所得としてしまう方法です。二つ目は,会社が行った決算とは別に,一から課税所得を計算する方法です。

しかし,実際には,このいずれの方法でもなく,両者の中間的な方法が採用されています。会社が行った決算に基づく利益に一定の調整を加えて課税所得を計算するのです。

例えば,会社の決算においては,交際費や寄附金の額が経費として利益から差し引かれていることがあります。しかし,法人税法上は,交際費や寄附金の全部ないし一部を損金にはできない(つまり益金から差し引けない)ことになっています(損金不算入)。そのため,会社の決算上の利益にこの法人税法上差し引くことのできない額(損金不算入額)が加算されます。要するに,法人税法上は差し引けないものが,決算では差し引かれていることがあるので,課税所得を計算するためには,その分だけ加算しなければならないということです。

この例とは反対に,会社の決算上は収益とされるが,法人税法上は益金とはされない場合もあります。例えば,法人が他社の株式を保有していて配当を得た場合,決算上は収益となりますが,法人税法上は,全部ないし一部が益金とはされません(損金不算入)。この場合には,決算上の利益から益金不算入額が減算されることになります。

このように,課税所得は,会社の決算上の利益に,法人税法上の一定の調整(加算・減算)を行って計算されます。