公示送達

所在不明の人を相手として訴訟を提起したい場合にはどうすればよいかご存じですか。相手の所在がわからないために、弁護士に相談する前にあきらめていた方もいるのではないでしょうか。

 

まず,訴えを提起するには裁判所に訴状を提出しなければなりません。裁判所に提出された訴状に問題がなければ,訴状の副本が被告に送達され,訴訟が開始されます。

送達にはいくつかの方法がありますが,実務上は郵便による送達が行われるのが通常です。

ところが、相手の所在がわからない場合には,このような方法で送達することができません。

 

そこで役に立つのが「公示送達」という制度です。

公示送達とは,裁判所に出頭すれば送達すべき書類をいつでも交付する旨を裁判所の掲示場に掲示し,掲示の日から2週間経過するとその書類が送達されたことにするというものです。

日頃から裁判所の掲示場をチェックしている人は滅多にいませんので,掲示に気づく可能性は極めて低いのですが,それでも,送達されたことにしてしまおうというのが公示送達なのです。

 

この公示送達の制度により,相手の所在が不明であっても訴訟を提起することができるようになっています。