最終更新日2019年4月28日
1 裁判所の管轄は『被告の住所地』が原則
訴えを起こす際に,まず考えなければならないことの1つとして,どこの裁判所に訴えを起こせばよいのかという「管轄」の問題があります。
裁判所は全国各地にありますが,どこにでも自由に訴えを起こしてよいというわけではなく,法律上,管轄というのが決められています。
最も基本的なルールとして,被告となる人の住所地には管轄があるということです(民事訴訟法4条1項,2項)。
ですので,相手の住所が名古屋であれば,自分の住所がどこであったとしても,少なくとも名古屋地方裁判所(もしくは名古屋簡易裁判所)には管轄があります。
2 多くのケースでは『原告の住所地』にも管轄がある
また,財産上の訴え(代金の支払い請求や損害賠償請求などはこれにあたります)については,「義務履行地」に管轄があります(民事訴訟法5条1号)。
義務履行地というのは,特に指定がされていなければ,「債権者の現在の住所」になります(民法484条)。
つまり,財産上の訴えについては,契約等で義務履行地が定められていない限り,金銭を支給する側(原告側)の住所地にも管轄があるのです。
3 不法行為については『不法行為地』にも管轄がある
それ以外にも,例えば,交通事故のような不法行為に関する訴えに関しては,不法行為があった場所,つまり交通事故の場所にも管轄があります(民事訴訟法5条9号)。
結局,交通事故については,被告の住所地にも,原告の住所地にも,交通事故の場所にも管轄があることになります。
4 契約による『専属的合意管轄』
また,契約をする際には,あらかじめ,将来争いが生じた場合の管轄裁判所を契約で定めておくこともあります。
「名古屋地方裁判所を専属的合意管轄裁判所とする」というように,特定の裁判所のみでしか訴訟をしないことを定めておくことを,専属的合意管轄といい,弁護士が契約書を作成するには,この条項を入れておくことがよくあります。
5 その他の管轄
そのほかにも訴訟の類型によって管轄が定められている場合があります。