弁護士になるには?

知り合いの高校生や,司法試験を目指す子を持つ方などから,弁護士になるにはどうすればよいのか聞かれることが時々あります。

そこで,これから弁護士になることを考えている方を対象に,弁護士になるために必要な司法試験,法科大学院,司法修習,就職活動等についてまとめました。

 

1 弁護士になるための司法試験

弁護士になるためには,司法試験に合格することが必要です。

司法試験には受験資格があり,法科大学院を卒業するか,予備試験に合格することが必要です。

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2 法科大学院とは?

法科大学院は,弁護士・検察官・裁判官を目指す人が行く学校で,ロースクールとも呼ばれています。

法科大学院には,法律を勉強したことがある人向けの既修者コース(2年コース)と法律を勉強したことがない人向けの未修者コース(3年コース)があります。

 

3 法科大学院に入るには?

入学試験では,既修者コースでは法律の試験があり,未修者コースでは,一般的な小論文の試験があることが多いようです。

既修者コース・未修者コースと法学部卒であるかどうかは関係がなく,法学部以外の学部を卒業していても既修者コースに入ることができます。

実際,法学部卒ではないけれども,独学や予備校で法律の勉強をして既修者コースに入る人は少なくありません。

反対に,法学部卒であっても,未修者コースに入る人もいます。

 

4 法科大学院では何をする?

法科大学院では,民法,刑法といった法律に加えて,法律や判例のリサーチの仕方,法律的な文章の書き方,法曹倫理など,弁護士・検察官・裁判官の実務に必要なことも学びます。

法学部とは異なり,少人数であるため,教授と学生との対話形式で進められる授業が多くあり,課題も多く出されます。

一般的に法学部よりも単位取得が厳しく,また,法科大学院での成績が就職活動の際に考慮される場合もあるため,真剣に勉強する学生がほとんどです。

 

5 法科大学院の授業を真面目に受けていれば司法試験に受かる?

法科大学院は司法試験のための学校ではありません。

法科大学院でも司法試験科目の民法や刑法といった授業はありますが,司法試験に直結するものではないことが多いです。

そのため,基本的には,司法試験のための勉強は,法科大学院の授業とは別に自分でしなければなりません。

ただ,法科大学院の中には,司法試験を意識した授業をしている学校もあるというのはよく噂で聞きました。

ここらへんは,法科大学院としても,卒業生の司法試験合格率を上げたいというのが本音のようです。

 

6 司法試験の内容と合格率

司法試験は,マーク式の短答試験と,論文試験があり,合わせて4日間で実施されます。

短答式試験の合格者だけが論文試験の採点対象になります。

短答式試験は,憲法,民法,刑法の3科目です。

ちなみに,私が受験した時は,短答式でも,会社法,民事訴訟法,刑事訴訟法,行政法等も出題されたのですが,最近はなくなってしまいました。

論文試験は,憲法,行政法,民法,商法・会社法,民事訴訟法,刑法,刑事訴訟法の7科目と選択科目があります。

司法試験の合格率は,最近は,20%台で推移しています。

 

7 弁護士になるには何年かかる?

弁護士になるルートとして,典型的なものは,法学部に4年間通い,法科大学院の既修コースに2年間通います。

その後,法科大学院を卒業した年の5月に司法試験を受け,9月に合格発表があります。

合格していたら,その年の11月末から司法修習という研修が始まり,約1年後の12月に弁護士登録をすることができます。

これらの期間を合わせると,司法試験に1回で合格したとしても,大学に入学してから7年8か月程度かかります。

最近は,予備試験というのがあり,予備試験に合格すれば,法科大学院を卒業しなくても司法試験の受験資格が得られます。

例えば,学部に在学中に予備試験に受かり,法科大学院に行かなければ2年間早く弁護士になることができます。

 

8 社会人から弁護士になるには?

法科大学院に行くか,予備試験に合格するかのどちらかのルートをとります。

法科大学院に行く場合,仕事を辞めるケースが多いと思われます。

働きながら通いたい社会人のために,夜間コースを開設している法科大学院もあるのですが,かなりハードではないかと思います。

最近では,予備試験の合格者数が増えつつあり,予備試験ルートで社会人から弁護士になるケースも出てきているように思います。

 

9 司法試験に受かっただけでは弁護士になれない?~司法修習とは?~

上に少し書きましたが,弁護士になるには,司法試験合格後に,司法修習という研修を受ける必要があります。

司法修習は,司法試験に合格した人を対象に,最高裁判所によって1年間行われます。

主に座学が行われる集合修習と,実務的なことを学ぶ実務修習に分かれます。

実務修習では,司法修習生が全国各地に分かれて配属され,その地域の法律事務所・検察庁・裁判所で実務について学びます。

弁護士を志望する人であっても,検察庁や裁判所での研修を受けるというのが特徴的です。

 

10 弁護士になるための最後の試験~二回試験~

司法修習の最後に卒業試験(通称「二回試験」)があり,これに合格しないと弁護士になることができません。

二回試験の合格率は高いのですが,毎年数十人程度は不合格になるため,気を付けなければならない試験です。

 

11 弁護士の就職活動

弁護士を目指す人は,いきなり独立する場合を除き,法律事務所等への就職活動を行います。

就職活動の時期は,司法試験の終了後から司法修習中が多いように思います。

一時期は,弁護士の就職難が報道されていましたが,最近は,法律事務所や民間企業での弁護士採用が増え,就職難と言われる状況はなくなってきているように思います。

 

12 まとめ

以上,弁護士になるために必要なことについて簡単にまとめました。

弁護士について色々と報道されていますが,幅広い可能性があり,かつ,やりがいのある仕事ですので,弁護士を目指す学生の方がもっと増えればなと思っています。