懲役刑・禁錮刑と拘禁刑

日本の刑罰について、刑法9条は、「死刑、懲役、禁錮、罰金、拘留及び科料を主刑とし、没収を付加刑とする。」としています。

この中でわかりにくいのが、「懲役」と「禁錮」の違いですが、「刑事施設に拘置して所定の作業を行わせる。」(刑法12条2項)、「禁錮は、刑事施設に拘置する。」(刑法13条2項)とされており、いずれも拘置されるのは共通ですが、所定の作業を行わなければならないものか否かが異なります。

なお、所定の作業とは、いわゆる刑務作業を意味し、木工作業、印刷作業、洋裁作業、金属作業などを行います(参考リンク:法務省・名古屋市刑務所)。

この懲役と禁錮については、法改正によって「拘禁刑」となり、2025年6月1日から施行されます。

この拘禁刑については、「刑事施設に拘置する。」「拘禁刑に処せられた者には、改善更生を図るため、必要な作業を行わせ、又は必要な指導を行うことができる。」とされており、懲役と禁錮が一本化されたと言われています。

ちなみに、既に施行されている「性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律」(いわゆる「撮影罪」)では、例えば性的姿態等撮影について「三年以下の拘禁刑又は三百万円以下の罰金に処する」とし、現時点で「拘禁刑」という言葉が使われており、一見すると拘禁刑が現時点で施行されているように思えますが、刑法の一部改正に伴う経過措置として、刑法等の一部を改正する法律の施行日の前日までは、「拘禁刑」とあるのは「懲役」とするとされており、やはり2025年6月1日までは懲役刑となります。