相続税申告について税理士を選ぶ際の注意点

1 相続税に詳しいかどうか
相続税申告について税理士を選ぶ際に重要なことは、当然ですが、相続税に詳しい税理士を選ぶことです。
「税理士であれば相続税に詳しいのでは?」と思われる方もいるかもしれませんが、実際にはそうとも限りません。
税理士試験において、相続税は必須科目ではないため、相続税を勉強せずに税理士になる人も少なくありません。
また、実務についてからも、法人税や所得税をメインで扱っており、相続税は経験が少ないという税理士もいます。
相続税の申告においては、適切な特例を使うことができるかどうか等によって相続税額が変わってくることも少なくありません。
そのため、相続税に関する経験が豊富で実力のある税理士を選ぶことが重要です。

2 税理士費用
また、税理士を選ぶ際には、税理士費用も重要です。
相続税申告の税理士費用は、税理士事務所によって結構違います。
ホームページ等で費用を出している事務所もたくあんありますので、比較検討することが大切です。

3 税理士法人心での相続税申告
税理士法人心では、相続税の申告に注力して取り組んでいます。
相続税の申告が必要な際は、お気軽にご相談ください。
名古屋で相続税について税理士にご相談をお考えの方はこちら

受取配当金の益金不算入の根拠

法人(A社)が,他の法人(B社)の株式を所有しており,そのB社から配当を受ける場合については,「受取配当金の益金不算入」という制度があり,その配当金額の全部または一部について益金に算入されません(つまり,法人税が課せられません)。

受取配当金の益金不算入の根拠を考えるために,受取配当金の益金不算入の制度がない場合について,以下の例を考えてみます。
ここでは,単純化するために,法人税率を30%とします。

①B社が1000万円稼いで,そこから法人税を300万円支払った。
②その後,B社は残ったお金700万円をA社に配当として支払った。
③A社は,B社から配当金を700万円受け取ったため,その30%の210万円を法人税として支払った。

この場合,B社の1000万円の稼ぎに対し,B社段階で300万円(①),A社段階で270万円(③)の合計570万円が法人税として課されてしまいます。
このような同一の利益に対する重複課税を回避することが受取配当金の益金不算入の根拠だといわれています。

もっとも,現行制度では,受取配当金について必ずしも全額が益金不算入になるわけではありません。
完全子法人株式等(株式等保有割合100%)の場合には益金不算入割合は100%であるのに対し,株式保有割合の低い非支配目的株式等(株式保有割合5%以下)の場合には益金不算入割合は20%となっています。

これには,どのような企業形態をとるかについて,税制が影響を与えてしまうことを回避するという政策的な理由があるものと考えられます。

上記の例で,B社がA社の完全子会社であったとすると,A社としては,自ら直接事業をおこなえば税金が300万円ですむのに,完全子会社B社を作ってB社に事業をさせることにより税金が570万円になってしまいます。
これでは,どのような企業形態をとるかについて税制が中立ではありません(A社がB社を統合する方向に税制が影響を与えてしまいます)。
そこで,支配目的で株式を保有している場合には,受取配当金の益金不算入を徹底していると考えられます。

結論が分かればよいということで,受取配当金に限らず,制度の根拠というのは意識されないことも多いのですが,弁護士が法解釈する際には,根拠から考えることも多く,しっかりと押さえておくことが大切です。

スタンダード所得税法

司法修習生の方から税法に関する良い本がないかきかれることがたまにあるのですが,そんなときにおすすめしているのが佐藤英明先生の「スタンダード所得税法」です。

私も学生の頃に初めて税法を勉強した際に読みましたが,初学者でも理解できるように書かれており,とても良い本でした。

また,なんとなく税法に興味があるという方には,もっと気軽に読める「プレップ租税法」もおすすめです。

プレップ租税法も佐藤先生が書かれており,こちらもわかりやすく面白い本です。

所得控除⑵

前回に引き続き所得控除についてお話します。

自分か生計を一にする配偶者その他の親族のために,年間10万円以上の医療費を支出したときは,10万円を超える部分の額(200万円が上限)を所得から控除することができ,これを「医療費控除」といいます。

いわゆるサラリーマンは,所得税が源泉徴収されているので,確定申告をしなくてもよいと思われている方もいるかと思いますが,医療費控除は会社の年末調整では控除を受けることができませんので,医療費控除を受けるためにはサラリーマンであっても確定申告をしなければなりません。

サラリーマンが確定申告をして医療費控除を受けた結果,税金が払いすぎだったということになった場合には,還付を受けることができます。

所得控除⑴

今年も確定申告の期限が近付いてきましたので,所得税法のお話をしたいと思います。

今回は,所得控除についてお話しします。

所得控除というのは,所得の額から一定の額を控除するもので,これによって,納めなければならない所得税の額が少なくなります。

所得控除にはいくつか種類がありますが,納税者1人あたり38万円の所得控除が認めるという「基礎控除」が最も基本的なものです。

また,生計を一にする配偶者の所得が38万円以下の場合には,38万円の所得控除が認められており,これを「配偶者控除」といいます。

パートなどの仕事をされている方が,103万円以上稼がないようにしたいというのを耳にしたことがあるかもしれませんが,その理由の一つがこの配偶者控除にあります。

パートの仕事で受け取る収入は「給与所得」といいますが,給与所得には給与所得控除という制度があり,収入が65万1000円未満であれば,給与所得控除によって給与所得は0円となります。

この約65万円と配偶者控除を受けられる限度額の38万円を足すと約103万円となり,パートの仕事で受け取る収入が約103万円以下であれば,その配偶者は配偶者控除を受け取れるというわけです。

交際費と法人税⑵

土日の名古屋駅周辺はとても人が多く,特に飲食店はどのお店も賑わっています。

さて,交際費の話のつづきですが,中小法人(基本的には資本金の額が1億円以下の法人が中小法人になります)については,交際費等の損金不算入の例外があり,800万円までの交際費は損金に算入できることになっています。

また,,平成26年4月1日に法改正がなされ,すべての法人が,交際費等の額のうち飲食のために支出する費用の50%を損金に算入できるようになりました(平成26年4月1日から平成28年3月31日までに開始する事業年度について適用されます)。

これにより,飲食に関する消費が拡大され経済の活性化が図られることが期待されています。

名古屋駅周辺の飲食店の繁盛に法改正が寄与しているのでしょうか。

交際費と法人税⑴

6月も後半になりましたが,今日の名古屋は比較的涼しく,すごしやすい一日でした。

さて,今日は,法改正のため,去年から話題になっている法人税法上の「交際費等」に関する制度についてみていきたいと思います。

そもそも,交際費等とは何のことでしょうか。

これについては,法律に定められており,「交際費,接待費,機密費その他の費用で,法人が,その得意先仕入先その他事業に関係ある者等に対する接待,供応,慰安,贈答その他これらに類する行為のために支出するもの」が交際費等になります(一部例外もあります)。例えば,取引先を接待するための飲食代の支出などが交際費等になります。

いかにも会社の経費といえそうな交際費ですが,法人税法上は,原則として「損金」になりません(つまり,原則として会社の経費として認められません)。その背景には,企業に冗費を節約させ企業体質の強化を図らせるという政策的理由があると言われています。

エンジェル税制⑶

今日の名古屋は雨ですが,週末からの連休はよい天気になるようです。

さて,報道によると政府が検討しているエンジェル税制の拡充の内容は以下のとおりです。

・優遇措置Aについて,投資対象企業を設立3年未満から,設立5年未満に延長する

・優遇措置Aについて,赤字企業だけでなく,黒字企業も対象とする

・優遇措置Aにおける投資額の上限を引き上げる

日本は米国と比較してエンジェルによる投資が圧倒的に少ないと言われています。

今回の検討内容は,エンジェル税制を利用しやすくするとともに,同制度の利用により投資家が受けるメリットを拡大するものです。

これにより,エンジェルによる投資が促進され,経済成長に繋がることが期待されます。

エンジェル税制⑵

今日の名古屋は一日中曇り空でした。

さて,エンジェル税制の話ですが,現行制度では,ベンチャー企業へ投資した年に受けられる優遇措置として,①投資時点のものと,②株式売却時点のものがあります。

①投資時点においては,「投資企業への投資額-2000万円をその年の総所得金額から控除する(*控除対象となる投資額の上限は,総所得金額40%と1000万円のいずれか低い方となります)」という設立3年未満の企業への投資を対象とした優遇措置Aと,「対象企業への投資額全額をその年の他の株式譲渡益から控除する」という設立10年未満の企業への投資を対象とした優遇措置Bがあり,投資者はいずれかを選択することができます。

②株式売却時点においては,株式を売却し損失が発生した場合にその年の他の株式譲渡益と通算でき,さらに,通算しきれなかった損失については,翌年以降3年にわたり株式譲渡益と通算できるという優遇措置があります。

以上がエンジェル税制の概要ですが,優遇措置を受けるためには,様々な要件を満たさなければならないのでご注意ください。

エンジェル税制⑴

名古屋では,暖かく過ごしやすい日が続いています。

さて,今月8日,政府がエンジェル税制を拡充する方向で検討に入ったとの報道がありました。

創業間もない企業に対して自己の資金を供給する個人のことをエンジェルといいます。

ベンチャー企業への投資を促進するために,個人投資家による投資のうち,一定の要件を満たすものについては,税制上の優遇措置が設けられており,これがエンジェル税制です。

 

法人税のしくみ⑶

2月も今日までとなり,名古屋でもほんの少し寒さが和らいできました。

さて,前回は,会社の決算上の利益に一定の調整を加えて法人税法上の所得(課税所得)を計算するというお話をしました。

では,なぜこのような仕組みがとられているのでしょうか。

まず考えられるのは,計算の簡素化です。会社が行う決算とは別に,一から課税所得を計算することは二度手間であり非効率的です。

他方で,会社の決算上の利益をそのまま課税所得としてしまうと課税の公平性を保つことができません。例えば,寄附金については,どこまで会社の事業に必要な費用と考えられるかは曖昧です。そのため,寄附金が費用として損金になるかを会社の自主的判断に任せると,その判断次第で課税所得の額が変わってしまいます。

そこで,税法上は,税法独自のルールの下で寄附金の一部を損金不算入とするという「一定の調整」を加えているのです。

 

法人税のしくみ⑵

私は弁護士ですが,税理士としても仕事をしているので,このブログでも税法について書いています。

さて,以前,法人税上の所得(課税所得)は,益金の額から損金の額を差し引いたものであるというお話をしましたが,今回はこの課税所得がどのように計算されるのかを見ていきたいと思います。

課税所得の額を決めるにはいくつかの方法が考えられます。一つ目は,会社の決算上の利益をそのまま課税所得としてしまう方法です。二つ目は,会社が行った決算とは別に,一から課税所得を計算する方法です。

しかし,実際には,このいずれの方法でもなく,両者の中間的な方法が採用されています。会社が行った決算に基づく利益に一定の調整を加えて課税所得を計算するのです。

例えば,会社の決算においては,交際費や寄附金の額が経費として利益から差し引かれていることがあります。しかし,法人税法上は,交際費や寄附金の全部ないし一部を損金にはできない(つまり益金から差し引けない)ことになっています(損金不算入)。そのため,会社の決算上の利益にこの法人税法上差し引くことのできない額(損金不算入額)が加算されます。要するに,法人税法上は差し引けないものが,決算では差し引かれていることがあるので,課税所得を計算するためには,その分だけ加算しなければならないということです。

この例とは反対に,会社の決算上は収益とされるが,法人税法上は益金とはされない場合もあります。例えば,法人が他社の株式を保有していて配当を得た場合,決算上は収益となりますが,法人税法上は,全部ないし一部が益金とはされません(損金不算入)。この場合には,決算上の利益から益金不算入額が減算されることになります。

このように,課税所得は,会社の決算上の利益に,法人税法上の一定の調整(加算・減算)を行って計算されます。

印紙税の非課税範囲の拡大

今日,名古屋では珍しく雪が積もりました。

さて,今日は印紙税の話です。

現在,3万円以上の領収書を発行する場合には収入印紙を貼らなければなりません。

これは収入印紙を貼って消印をすることによって印紙税を納めているのですが,印紙税法が改正され,今年の4月1日以降に作成される領収書については,受取金額が5万円未満であれば非課税となり,収入印紙を貼る必要がなくなりました。

例えば,4万円の領収書を発行する場合には,従来は収入印紙を貼る必要がありましたが,今年の4月1日以降に作成する場合には収入印紙は不要となるわけです。

では,必要のない収入印紙を誤って貼ってしまった場合はどうなるのでしょうか。

実は,この場合でも所轄税務署長に印紙税の過納付の事実を示せば印紙税の還付が受けられます。

ただし,印紙税の過納付の事実を示すためには領収書の原本を提示することが必要とされており,領収書を相手に交付してしまっていると,還付を受けることが事実上困難な場合もあるかと思います。

ですので余分な収入印紙を貼ってしまわないようにお気を付けください。

税抜表示

名古屋はまだまだ寒いですが,あと2か月もすれば春がやってきます。

毎年,4月1日には様々な制度が始まりますが,今年注目すべきものの一つとして,消費税率の引き上げがあります。消費税が上がる前に買い物をしようと考えている方も多いかと思います。

さて,今日は,消費税に関する税抜表示についてみていきたいと思います。

通常,お店などが価格を表示する場合,税込表示をしなければなりません。

例えば,スーパーでお茶を売る際,消費税と合わせて105円の場合には「100円」ではなく「105円」と表示するのが税込表示です。

税込表示には,消費者にわかりやすく,価格を比較しやすいという長所があります。

しかし,税込表示にも短所があります。短所は,消費税率の変更に対応しにくいことです。

消費税率が5%から8%上がれば,税込で「105円」 と表示していたものは,「108円」と表示することになります。

ですが,実際には,値札,商品カタログ,看板などの価格表示を変更するのには手間がかかり,すぐに変更できるとは限りません。

そこで,消費税率の引き上げが迫っている現在では,一定の場合には税込表示をしないことも認められています(ただし,税込表示をしない場合には税込価格と誤認されないための措置をとる必要があります)。

例えば,「100円(税抜表示)」,「100円+税」,「100円(本体価格)」などの表示も認められうるということです。

ただし,これは消費税率の変更に伴う経過措置ですので,このような税抜表示が認められうるのは,平成29年3月31日までとされています。

(参考)

消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のための消費税の転嫁を阻害する行為の是正等に関する特別措置法第10条第1項 「事業者(消費税法(昭和六十三年法律第百八号)第六十三条に規定する事業者をいう。以下この条において同じ。)は、自己の供給する商品又は役務の 価格を表示する場合において、今次の消費税率引上げに際し、消費税の円滑かつ適正な転嫁のため必要があるときは、現に表示する価格が税込価格(消費税を含めた価格をいう。以下この章において同じ。)であると誤認されないための措置を講じているときに限り、同法第六十三条の規定にかかわらず、税込価格を表示 することを要しない。」

法人税のしくみ(1)

税には,所得税,消費税,酒税,相続税,固定資産税など様々な物がありますが,広く知られている税の一つに法人税があります。

一般的に法人税といわれているのは,「法人の毎期の事業活動によって得られる所得に対して課される税」のことです。

会社が事業を行って所得を得た場合には,この法人税が課されます。ちなみに,弁護士は,個人事業として行っている場合には所得税が課されますが,法人として行っている場合(弁護士法人の場合)には法人税が課されることになります。

では,「所得」とは何でしょうか。

こ の点,法人税22条は,「各事業年度の所得の金額は,当該事業年度の益金の額から当該事業年度の損金の額を控除した金額とする」としています。つまり,商 品の売り上げなどの収益(益金)から商品の原価,店舗の賃料等の費用,売掛金の貸倒等の損失など(損金)を差し引いたものが所得となります。

そして,この所得に税率(現在の基本税率は25.5%)掛けたものが法人税額となります。