遺言で失敗しないために(予備的条項など)

最終更新2019年8月10日

皆様は遺言を作成されていますでしょうか?

遺言

遺言を作成される方は,自分が死んだ後の家族等のことを考えて真剣に作成されるものと思います。

ですが残念なことに,遺言の不備等により,考えていた結果にならないということも少なくありません。

例えば,相続の候補者(推定相続人)として,長男,次男,三男がいる場合で,「長男●●にすべての財産を相続させる」という遺言を作っていたが,自分よりも先に長男が死亡してしまったというケースについて考えてみます。

この場合,自分が死亡した時には,長男に相続させることはできません。

では,長男に子がいれば,遺言の効力によって長男の子に相続させることができるのかというと,原則としてそれもできません。

結局,長男の子,次男,三男で遺産分割協議を行うことになります。

このような事態を避けるためには,「仮に長男●●が先に死亡した場合には,長男の子●●にすべての財産を相続させる」といった予備的条項を設けておくことが必要です。

これはあくまでも一例で,他にも遺言の作成の仕方が不適切であるために,遺言書の全部又は一部が無効になってしまう場合があります。

なお,遺言で特定の人に「すべての財産を相続させる」としても,他の相続人にも法律上最低限の取り分(遺留分)がありますので,注意が必要です。

また,相続のさせ方によって相続税の額も大きく変わってくる場合もあり,万全な遺言書を作成するためには,法律や税金の知識が不可欠です。

そのため,遺言で失敗しないためには,弁護士等の専門家に相談するのがよいかと思います。

弁護士法人心では,遺言書無料診断サービスを行っておりますので,ぜひご活用ください。

交通事故において後遺障害の認定を受けることが重要な理由

1 後遺障害とは何か?

「後遺障害」という言葉は馴染みのない方も多いかもしれません。

交通事故に遭いケガをしてしまった場合,完治すればよいのですが,残念ながら完治せずに症状が残ってしまう方もいます。

症状が残ってしまった場合,その賠償をどうするのかというのが,後遺障害の問題です。

「障害」という言葉から,「身体障害者手帳」などと混同されている方もいるのですが,それは別の制度になります。

2 具体的には慰謝料と逸失利益の問題

後遺障害の賠償として問題となるのは,慰謝料と逸失利益の問題です。

慰謝料は,症状が残ってしまったことによる精神的苦痛に対する賠償です。

逸失利益は,将来働いて得られたはずの利益が減ってしまったことに対する賠償です。

3 後遺障害の認定と賠償額

この慰謝料と逸失利益について,個々の被害者ごとに厳密に計算するというのは容易ではありません。

そこで,実務上は,後遺障害の認定を受け,認定された後遺障害の等級に基づいて,損害額を計算するのが通常です。

例えば,多くの弁護士や裁判官が参照している損害賠償額算定基準である「赤い本」によると,慰謝料は,後遺障害14級であれば110万円,12級であれば290万円とされています。

また,逸失利益は,「基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間(※中間利息を控除)」として計算するのですが,後遺障害の等級によって,労働能力喪失率や労働能力喪失期間が異なってきます。

このように,後遺障害の認定次第で最終的な損害賠償が大きく異なってくるため,適切な後遺障害認定を受けられるかどうかが重要になってくるのです。

4 適切な後遺障害の認定を受けるためには?

後遺障害の申請については,保険会社を通じて申請する方法と,自ら(あるいは依頼した弁護士を通じて)申請する方法とがあります。

しっかりと準備した上で,後遺障害の存在を窺わせる資料等も付けて申請することができるため,後者の方法によるべきだと考えます。

後遺障害の申請方法について詳しくはこちらをご覧ください。