日弁連の事務職員能力認定試験の対策(過去問・勉強法など)

1 事務職員能力認定試験とは
事務職員能力認定試験とは,法律事務所で働く事務員(パラリーガル)の方が対象の試験で,日本弁護士連合会(日弁連)が実施しています。
弁護士法人心でも,法律事務に関わるスタッフは,この試験を受験しており,以前に事務所内勉強会の講師をしたことがあるので,試験内容や勉強法についてまとめてみました。

2 試験の内容
試験は,4択のマークシート方式で,全部で60問あります。
試験時間は2時間なので,1問あたり2分しかなく,それなりに時間制限の厳しい試験です。
六法の持ち込みができ,しかも,付箋や書き込みも認められているのが特徴的です。

3 六法を見れば解答できるか?
事務職員能力認定試験では,六法に書かれていることが多く出題されます。
例えば,訴状の記載事項に関する問題は頻出なのですが,六法をみれば,「当事者及び法定代理人」(民事訴訟法133条2項1号)や「請求の趣旨及び原因」(同2号)が訴状の必要的記載事項であることや,「原告又はその代理人の郵便番号及び電話番号(ファクシミリの番号を含む。)を記載しなければならない」こと(民事訴訟規則53条4項)がわかります。
ただ,上記のとおり,1問あたり2分しかない中で,上記の条文を引くことはかなり難易度が高いように思います。
試験対策としては,頻出の分野は限られているので,そこが探せるように六法に付箋を貼っておくことをおすすめします。
民事訴訟法133条のところに,「訴状の記載事項」という付箋があれば,試験中にすぐに見つけることができます。

4 六法は何を使えばよいか?
有斐閣から出ている「ポケット六法」が使いやすくておすすめです。
判例が掲載されている判例六法も持ち込めるのですが,判例に関する問題はほとんど出題されず,条文が引きにくくなるだけですので,試験との関係ではやめておいた方がよいと思います。

5 事務職員能力認定試験に合格するための勉強方法
この試験は,同様の問題が繰り返し出題されていますので,過去問をしっかりと押さえておくことが最も重要です。
一番初めに,過去問にすべて目を通し,「頻出分野が何か」「どのような知識が問われているか」を確認し,その上で,過去問をベースにして,該当箇所をテキストで確認していくという勉強方法がおすすめです。
事務職員能力認定試験に限りませんが,どのような出題がされるかを把握しないまま,テキストを読み始めるのは,試験勉強としては効率が悪いのでやめたほうが良いと思います。

6 事務職員能力認定試験の過去問について
過去問は日弁連のホームページに掲載されています。
過去問はこちら
問題と解答は見られるのですが,解説がないため,分からない箇所は,テキストを読むか,弁護士の方に質問するのが良いかと思います。

7 最後に
この記事では,「試験に合格する」という観点から,必要な情報を書いてきましたが,実務に対応するためにはそれだけでは足りません。
ご依頼いただいた案件に適切に対応するためには,上記の試験勉強だけではなく,日々,法律や裁判例,実務の運用について学んでいくことが大切です。