刑法上、明文の規定はありませんが、「違法性」がない場合には、犯罪が成立しないと考えられています。
例えば、相手を殴って怪我をさせてしまった場合、傷害罪が成立しそうですが、「相手が急に襲い掛かってきて、自分自身を守るために、やむを得ずに反撃した結果、相手を怪我させてしまった」という場合であれば、「正当防衛」となり、犯罪が成立しない可能性があります。
このような正当防衛など違法性がなくなる事由を法律用語では「違法性阻却事由」といいます。
他にも、例えば、名誉毀損について、違法性が阻却される場合があります。
「公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した」場合には、名誉棄損罪が成立しそうですが、刑法230条の2は、名誉棄損行為が「公共の利害に関する事実に係り、かつ、その目的が専ら公益を図ることにあったと認める場合には、事実の真否を判断し、真実であることの証明があったときは、これを罰しない」としており、これは、違法性が阻却されるからであると考えられます。
刑法の分野に関しては、難解な概念も多くありますので、お困りの際は、弁護士にご相談ください。