前回、利子・利息の話をしましたが、この「利」という漢字は、弁護士業務をやっているとよく使う漢字の上位にランクされるように思います。
利益・利潤・利害関係人、暴利行為・不当利得・図利加害目的など,ぱっとおもいつくだけでも,かなりの言葉が浮かんできます。
弁護士の仕事は,お金のやりとりや,お金の管理等に関係することが多いですから,ある意味当然のことなのかもしれません。
ただ,この「利」という漢字の成り立ちは,稲穂と鋭い刃物の象形文字の組み合わせだそうです。
つまり、「利」という漢字は農業に由来する文字だということだそうです。
利子・利息・利益・利潤といった言葉をみていると、どちらかというと「利」という言葉は、牧歌的な農村の風景よりも、生き馬の目を抜く商業の世界に結び付けられて使われることが多いように思いますので、この漢字の成り立ちには、若干違和感を覚えました。
ただ、歴史的にみると、世界の幅広い農業社会で、種まきの時期に種子を貸し付けて、収穫があったときに、貸した種子に加えて少し多めに種子を返してもらうという文化が成立し定着してきたようです。
そして、この多めに返してもらう種子が利子・利息というものの起源であるという見解があるようです。
そう考えると、「利」という漢字が農業と結び付いているのも、自然な流れなのかもしれません。