弁護士というと,大学の学部でいうと文系の法学部を出身母体とする人間の集まりであります。
もっとも,実際に業務を行ううえでは,文章を書いたり,話をしたりすることもさることながら,
数字を扱うことも数多くあります。
むしろ,民事事件などは,最終的には金銭による解決が目標となりますので,計算が骨格として,文章で肉付けをしていくようなイメージかもしれません。
この数字を扱うにあたり,一番よく使うのがエクセルです。一般の企業の方でも同じだと思いますが,関数を組み合わせれば,特殊なプログラミング言語を使わなくても,かなりの計算を自動化できて重宝するソフトです。
そこで,エクセルに詳しい方には,何をいまさらというような内容もあるかと思いますが,このブログで,実際に弁護士の仕事でエクセルをどのような場面で,どのような関数などを使っているのか紹介していきたいと思います。
まず,私が,業務でエクセルをよく使うのが,お客様からお預かりした領収書の束の数字の整理です。
たとえば,自営業の方が被害者となった損害賠償請求事件などでは,被害を受ける前の売上や経費,利益の金額から,事故がなければ得られていたであろう利益を推計し,実際に被害を受けたことにより,どれだけ利益が減少するのかを計算しなければなりません。
しかし,確定申告などをされていない方の場合,そもそも,事故前の収支の実態を把握すること事態が容易ではありません。
そのような場合,お客様から大量の伝票や請求書の束,電気代の領収書などをお預かりして整理して,何とか,被害に遭う前の収支の状況を把握しようとすることがあります。
単純に,数字を入力して集計するのであれば「SUM関数」という関数を利用すれば問題ありません。
たとえば,領収書を見ながら,100円,2000円,1580円,と数字を打ち込んでいき,それで集計をすれば,合計をだすことができます。
しかし,入力したあと,たとえば,固定費はいくらで変動経費はいくらかを計算したい場合,A店,B店,C店と取引先ごとに伝票の合計額を集計したい場合には,単純に「SUM関数」を使ったのでは,項目ごとの集計ができません。
かといって,条件に該当するセルを一個一個拾い上げて足し算をしていくのであれば,電卓をたたいたほうが早いぐらい時間がかかります。
そこで,よく使うのが「SUMIF関数」です。この関数は,以下のような段取りで使うと便利です。
まず,伝票の数字を1列目に「100円,2000円,1580円・・・」と入力した後,その横の2列目に「A店,B店,C店,A店・・・」というようにどこのお店の伝票かをメモしておきます。そのうえで,SUMIF関数で2列目を検索範囲とし,検索条件を「A店」として,数字の列を計算対象の範囲として指定すれば,自動的にA店とメモされた伝票の数字だけを抽出して集計してくれます。
同じ要領で,B店,C店も作っていけば,大量の数字でも,一気に分類して集計することができるようになります。