裁判所はどこにあるのかについて

弁護士の仕事というと裁判所に行って法廷でいろんな手続きを行うイメージがあるのではないかと思います。

テレビドラマなどで弁護士が出てくるシーンは、法廷で証人尋問をしていたり、「異議あり」とやっていたりするシーンが多いことから、そのような印象が強いのではないかと思います。

実際には、弁護士の仕事場所は、裁判所の法廷に行く仕事以外にも、自分のデスクで書面を書いたり、区役所に出かけて行って市民法律相談の担当をしたりと多種多様です。ただし、弁護士が、仕事で頻繁に裁判所に行くこともまた事実です。

ところで、一口に裁判所といっても大阪府内だけでもいろんな場所にいろんな裁判所があるのをご存じでしょうか。

裁判所には取り扱う事件の内容ごとに区別があります。また、場所も区々です。

イメージしやすい裁判所の事件としては、貸したお金が返ってこないから相手を訴えるであるとか、テレビドラマに出てくるような刑事事件ではないかと思いますが、こういった事件は、地方裁判所で審理が行われます。

ただし、金額が少額の事件などは簡易裁判所というより小規模で地域に密着した裁判所で行われることもあります。

また、離婚などの家庭に関する事件については、家庭裁判所で手続きが行われます。

さらに、日本の裁判制度では、判決に不満がある場合には、控訴・上告ということが可能ですので、高等裁判所や最高裁判所も裁判所の種類として忘れてはいけません。

このように、裁判所と一口にいっても、いろんな種類の裁判所があります。

大阪で裁判所といったときに、梅田界隈で仕事をしている弁護士が一番最初に思い浮かべるのは、西天満エリアにある大阪地方裁判所です。同じ敷地内に大阪簡易裁判所もあります。最寄り駅は京阪線の大江橋駅かなにわ橋駅になると思いますが、大阪駅や梅田駅、東梅田駅、南森町駅などからも徒歩10分~15分程度の距離です。河を渡る必要がありますが、北浜駅なども近くにあります。

しかし、大阪家庭裁判所については、違う場所にあって、谷町四丁目が最寄り駅になります。

このように地方裁判所及び簡易裁判所と家庭裁判所が離れた立地になることはめずらしいことではありません。

京都でも京都地方裁判所と京都簡易裁判所は丸太町通りの南側、柳馬場通と富小路通に挟まれたエリアにあります。

しかし、御所の南端に位置する京都地方裁判所から京都家庭裁判所まで行こうと思うと、御所にそって北に進み、御所の北東の角から、さらに北東の方向に進んで、葵橋とおって賀茂川をわたり、あと少しで下鴨神社というところまで進まなければなりません。

徒歩で行くのはちょっとしんどいなと思う距離です。

弁護士法人心は本店が名古屋であるため、名古屋で働いたこともあるのですが、名古屋の地方裁判所と家庭裁判所は、道路をはさんで向かい合わせに建物が立っていますので、京都や大阪の裁判所の立地は、かなり遠く感じます。

また、地方裁判所には支部というものがあります。大阪府内では、大阪地方裁判所の堺支部と岸和田支部が設置されています。

そのため、地方裁判所で取り扱われる事件でも、大阪府の南のエリアでは、それぞれ岸和田支部や堺支部で事件を取り扱うことになります。

さらに、簡易裁判所はより細かくいろんな場所に置かれています。大阪府内では、堺、岸和田だけでなく、池田、豊中、吹田、茨木、東大阪、枚方、富田林、羽曳野、佐野(泉佐野)に簡易裁判所が置かれています。

地方裁判所の事件になるか、簡易裁判所の事件になるかは、原則として裁判で争う金額の大小によって割り振られます。

例えば、枚方市にお住まいの方が、裁判を起こすときに、枚方簡易裁判所をイメージして、自宅の近くの裁判所で手続きが行えると思っていたところ、請求する金額を計算したら140万円を超えていたので、大阪地方裁判所の本庁がある西天満まで行かなければならなくなったというようなことが起こりえますので、裁判を考えるときには、どの種類の裁判所に裁判を起こすのかと、どの立地の裁判所に行くことになるのかをしっかり整理しておく必要があります。