前回,前々回と,SUMIF関数とデータの入力規則について紹介しました。
しかし,弁護士の仕事上必要となる分類の内容は,もう少し複雑なこともあります。
たとえば,数字の列を「売上,固定経費,変動経費」という大きな分類で分類すると同時に「Aからの報酬」「Bからの報酬」や「電気代」「水道代」というように,さらに細かな項目でも分類したいときもあります。
この場合,分類の項目を増やすことは,難しいことではありません。
エクセルは,ABCの順番に並ぶ列と,1234の順番にならぶ行との組み合わせでセルを特定しています。
たとえば,集計の対象となる数字を1列目,つまりA列の1行目から100行目まで入力したとします。
そして,2列目,つまりB列の1行目から100行目までにデータの入力規則をつかい「売上,固定経費,変動経費」を記録していきます。
さらに,3列目,つまりC列の1行目から100行目までにデータの入力規則をつかい「Aからの報酬」「Bからの報酬」や「電気代」「水道代」といった細かな分類項目を記録していきます。
もし希望があれば,同じ要領でさらに分類項目をD列やE列に足していくことも可能です。
しかし,このようにして数の増えた一つ一つの分類項目について,全部SUMIF関数を組んでいくのはかなり骨の折れる仕事です。
そこで,便利なのが「絶対参照」と「相対参照」の使いわけです。
たとえば,上記の事例で,D列1行目に検索条件として「売上」,D列2行目に「固定経費」を入力したとします。
そして,その横のE列1行目に検索条件をD1,E列2行目に検索条件をD2としてSUMIF関数で関数を組みたいとします。
このとき,E列1行目には,「=SUMIF(B1:B100,D1,A1:A100)」と入力されるはずです。「B1:B100」が検索される分類項目をメモした箇所であり,「D1」が検索条件を入力したセル,数字の集計対象となるのが「A1:A100」です。
このようにE1のセルに関数を組んだ後,そのままドラッグしてE2のセルにコピーをすると,関数は「=SUMIF(B2:B101,D2,A2:A101)」と,すべて1行ずつ下に数字が繰り下がってしまいます。
また,たとえば,仮にE1セルとをドラッグして,横のF1セルにコピーした場合「=SUMIF(C1:C100,E1,B1:B100)」というように,横に1列ずつすべての指定されるセルがずれてしまいます。
これでは,期待する集計ができません。
このように,相対的なセルの位置関係だけで,セルをしていするのが「相対参照」です。
これに対して,絶対参照とは,このセル以外は参照するなと絶対的に指示する参照のしかたです。
たとえば,E1のセルに「=SUMIF($B$1:$B$100,D1,$A$1:$A$100)」というように,参照範囲を動かしたくない列や行のまえに「$」マークを付けた場合,それをドラッグしてE2にコピーすると「=SUMIF($B$1:$B$100,D2,$A$1:$A$100)」となり,もう一回SUMIF関数を組みなおす労力を省くことができます。
まだ,エクセルに不慣れだったころ,この方法を初めて知ったときには「こんな便利な方法があったのか!」と感動を覚えた記憶があります。
絶対参照と相対参照を使いこなすと,一気に大量の分類項目の集計表を完成させることができますので,非常に便利な技術です。