都市計画法の用途地域について

以前,本ブログのなかで,街の景観を考えるうえで,用途地域というものを知っておくと面白いという話をご紹介しました。 弁護士の仕事をしていると,些細な日常の風景でも法律に結び付けて考えてしまうことが,職業病のようになります。名古屋の街並みをみても,なぜ,そのような街並みが作られたのかということに興味が向きます。その以前かかせていただいた,ブログのなかで,「全部で12種類の用途地域」とご紹介したのですが, 都市計画法の改正により,新たに用途地域に「田園住居地域」というものが追加されて,現在では,用途地域は全部で13種類となっています。 田園住居地域は,農業の利便の増進を図りつつ、これと調和した低層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため定める地域と定義されていて,住居系の用途地域の一つとして追加されたものです。 はじめて,この用途地域を見た時には,少し違和感を感じました。 都市計画の中で用途地域を指定する地域というのは,基本的に都市化・市街化が進んでいる地域ですので,「田園」というものと,なかなか頭の中で風景がリンクしないのです。 例えば,私の祖父母は奈良県の農家ですが,祖父母宅を訪ねれば,見渡す限り,まさしく田園と低層住宅の風景です。 しかし,実際に用途地域の指定状況を調べてみると,祖父母宅は,そもそも用途地域の指定されていない地域でした。 おそらく,多くの田園のある場所は,そもそも都市計画として用途地域が指定されていない場所になりそうな気がします。 行政のホームページ等で,実際に田園住居地域として指定された場所がどこにあるのか探してみたのですが,今のところ,まだ見つけることができませんでした。 東京の世田谷区などでは,住宅と田園のバランスをとるために,積極的に田園住居地域を活用していきたいというような紹介がありましたが, まだ,街歩きをしながら「なるほど,こういう場所が田園住居地域なのか。」とイメージがまだわいてこないです。