時代の変化を感じること

弁護士の仕事をしていると、家事事件や破産事件などの関係で、個人の財産状況を把握しなければならないことがよくあります。

そのような、財産状況を把握しようとしたときに思うことが、昔に比べると確認しにくい財産が増えたのではないかなということです。

私の子供の頃を思い出すと、両親の金融資産といえば、財布に入った現金と銀行預金ぐらいのものでした。

当時も、証券会社とやり取りをして株などを持っている人はいたのだと思いますが、インターネットも普及する前の時代でしたので、

個人が気楽に証券会社で口座を開いて株の売買の指図をしたり、デイトレーダーになったりというようなことは難しい時代でした。

しかし、今では、インターネットの普及で、年齢の若い方でも、普通に、株やFX、仮想通過などの口座を開設して取引をしていたりします。

インターネット証券で株などの取り引きの仕組みを理解しないと、そもそも、どうやってオンライン証券上の財産額を把握するか困ってしまいます。

また、交通系のICカードや電子決済の普及で、現金や預金以外の形で、お金を保持することも容易にできるようになりました。

交通系のICカードが普及し始めたころは、駅で切符を買ったり、駅員に切符を見せたりせずに済むようになって、未来の世界にきたような気分になりましたが、今では、当たり前のように交通系ICカードを使って電車に乗ったりコンビニで買い物したりしています。

交通系ICカードだけでも、携帯電話のなかにも、電子決済のアプリが入っていて、そのアプリを利用して電子マネーで決済をしたり、キャリア決済で電話代と一緒に、その他の支払をしていたりもします。

昔は、商品券といえば、デパートの商品券か、ビール券、図書券などが一般的で、実店舗にいって商品と交換していましたが、いまでは、インターネット上のサービスを利用するためのギフト券が普及していて、しかも、そのギフト券も、実際に「物」としてのギフト券に一度も触れることなく、例えば、携帯電話の電子決済で、インターネット上でギフト券を購入して、電子メールで友人にギフト券を贈ったりということが可能になっています。

時代の変化は、小さな変化の積み重ねなので、その変化の中に身を置いていると、新しい技術も当たり前のように受け止めてしまいますが、自分の子供の頃を思い出すと、江戸から明治への文明開化以上の、大きな変化なのではないかと感じます。

特に、自分自身がまだ利用していない、新たなサービスに出会うと、財産状況の把握に難儀しますので、努めて新しい財産に関するサービスについては、時代の流れに取り残されないように、自分自身も体験するようにしていきたいと思います。