弁護士というのは、基本的に大学の法学部を卒業して、司法試験に合格して、弁護士になる人が多いです。
新司法試験制度移行は、法科大学院で法学を学んでから、司法試験に合格というルートが一般的です。
いずれにしても、弁護士の多くは文系畑の出身であり、個々人の差があるにせよ、物理や数学などの理系科目は、理系学部で大学を卒業した方に比べると苦手なことが多いです。
しかし、実際に、弁護士の仕事を始めてみると、実務の世界というのは、文系理系というような二元論では片づけられない問題にあふれています。
特に、交通事故などで過失割合が問題になる場合には、例えば、ブレーキ痕から衝突の態様をあきらかにしようと、摩擦係数やらなんやらといった複雑な計算が必要になります。
あるいは、車の凹みぐあいなどから、衝突の速度を計算したりと、物理の話がたくさんでてきます。
最終的には、こういった複雑な計算は専門の鑑定会社にお願いして鑑定してもらうのですが、弁護士が訴訟の方針をきめるためにも、弁護士自身がある程度、自動車の物理工学について知っていることは重要です。
なお、そういった際に、私は立花書房から出版されている『交通資料集』という書籍をよく参照しています。
その他にも、自動車工学に関する書籍は数多く出版されており、すべて大切な資料なのですが、この『交通資料集』は、時速別停車距離の表など、必要な結論部分がコンパクトな書籍のなかにまとまっていて、非常に使い勝手が良いです。