弁護士が仕事でよく使うエクセルの関数について④

ここまで,数字を分類するSUMIF関数と,それを使う際に便利な「データの入力規則」や「絶対参照」などについて,ご紹介しました。

これらは,私が弁護士業務を行ううえで,毎日のようにパソコン上で使っている関数です。

このように大きな数字を扱う集計表を作っていると,たとえば,A1のセルをいまみているけれども,B3000のセルの数字を修正したいというように,かなり距離のはなれたセルの間を移動したくなるときがあります。

こういうとき,愚直にスクロールで移動する方法もありますが,エクセルのショートカットキーを使うと,非常にサクサクと仕事が進みます。

たとえば,「ctrl」キーを押しながら「↓」「→」などの矢印キーを使うと,一気に数字の入っているセルの一番端のセルまでジャンプすることができます。

たとえばA1のセルからA5000のセルまで数字が入力されているときに,A1のセルで上記のキーを押すと,一気にA5000のセルまで飛べます。

ただし,数字の入力がないところでこの操作をすると,A1048576というような最果てのセルまでジャンプすることになるので注意が必要です。

また,データをコピーしたいときも,例えば,A1からA100のセルまでの数字をコピーしたいときに,マウスの捜査でドラッグしながらコピーの範囲を広くするよりも,「Shift」キーを押しながら方向ボタンでセルの範囲を増やしていった方が操作は楽だと思います。

また,先ほどのショートカットキーと組み合わせてCTRL+Shift+↓と押せば,一気に,A1からA5000までのすべての数字をコピーすることも可能です。

大量のデータを入力したあと,作業がつらいときには知っておくと便利な小技だと思います。

弁護士が仕事でよく使うエクセルの関数について③

前回,前々回と,SUMIF関数とデータの入力規則について紹介しました。

しかし,弁護士の仕事上必要となる分類の内容は,もう少し複雑なこともあります。

たとえば,数字の列を「売上,固定経費,変動経費」という大きな分類で分類すると同時に「Aからの報酬」「Bからの報酬」や「電気代」「水道代」というように,さらに細かな項目でも分類したいときもあります。

この場合,分類の項目を増やすことは,難しいことではありません。

エクセルは,ABCの順番に並ぶ列と,1234の順番にならぶ行との組み合わせでセルを特定しています。

たとえば,集計の対象となる数字を1列目,つまりA列の1行目から100行目まで入力したとします。

そして,2列目,つまりB列の1行目から100行目までにデータの入力規則をつかい「売上,固定経費,変動経費」を記録していきます。

さらに,3列目,つまりC列の1行目から100行目までにデータの入力規則をつかい「Aからの報酬」「Bからの報酬」や「電気代」「水道代」といった細かな分類項目を記録していきます。

もし希望があれば,同じ要領でさらに分類項目をD列やE列に足していくことも可能です。

しかし,このようにして数の増えた一つ一つの分類項目について,全部SUMIF関数を組んでいくのはかなり骨の折れる仕事です。

そこで,便利なのが「絶対参照」と「相対参照」の使いわけです。

たとえば,上記の事例で,D列1行目に検索条件として「売上」,D列2行目に「固定経費」を入力したとします。

そして,その横のE列1行目に検索条件をD1,E列2行目に検索条件をD2としてSUMIF関数で関数を組みたいとします。

このとき,E列1行目には,「=SUMIF(B1:B100,D1,A1:A100)」と入力されるはずです。「B1:B100」が検索される分類項目をメモした箇所であり,「D1」が検索条件を入力したセル,数字の集計対象となるのが「A1:A100」です。

このようにE1のセルに関数を組んだ後,そのままドラッグしてE2のセルにコピーをすると,関数は「=SUMIF(B2:B101,D2,A2:A101)」と,すべて1行ずつ下に数字が繰り下がってしまいます。

また,たとえば,仮にE1セルとをドラッグして,横のF1セルにコピーした場合「=SUMIF(C1:C100,E1,B1:B100)」というように,横に1列ずつすべての指定されるセルがずれてしまいます。

これでは,期待する集計ができません。

このように,相対的なセルの位置関係だけで,セルをしていするのが「相対参照」です。

これに対して,絶対参照とは,このセル以外は参照するなと絶対的に指示する参照のしかたです。

たとえば,E1のセルに「=SUMIF($B$1:$B$100,D1,$A$1:$A$100)」というように,参照範囲を動かしたくない列や行のまえに「$」マークを付けた場合,それをドラッグしてE2にコピーすると「=SUMIF($B$1:$B$100,D2,$A$1:$A$100)」となり,もう一回SUMIF関数を組みなおす労力を省くことができます。

まだ,エクセルに不慣れだったころ,この方法を初めて知ったときには「こんな便利な方法があったのか!」と感動を覚えた記憶があります。

絶対参照と相対参照を使いこなすと,一気に大量の分類項目の集計表を完成させることができますので,非常に便利な技術です。

弁護士が仕事でよく使うエクセルの関数について②

前回につづき,弁護士が使うエクセルの関数等について紹介したいと思います。

なお,エクセルの関数の具体的な記入方法等については,もっと図などを引用した分かりやすいサイトがあるはずですので,そちらを参考にしていただければ幸いです。

本ブログでは,あくまで,どういう観点から,弁護士がエクセルを使っているのかを紹介したいと思います。

前回は,SUMIF関数を紹介しましたが,今回は,それを使ううえで,ちょっとした注意点と小技について触れていきたいと思います。

前回のように,項目ごとに分類して数字を集計したいときにSUMIF関数は有効なのですが,実際に使ってみると,集計漏れが生じてしまうことがあります。

もちろん,パソコンのエラーなどではなく,人為的ミスによる集計漏れです。

まず,必ずするべきなのは,数字を入力した列をSUM関数で合計して入力されている数字の総額を確認し,さらにSUMIF関数をつかって分類した後の数字についてもあらためてSUM関数で合計して,両者が一致しているかを確認することが必要です。

そうすると,しばしば,両者が一致しないことが起きます。

その不一致が起こる最大の理由は,2列目の「A店」「B店」などの記入ミスです。

手作業で,2列目に分類を入力していると,どうしても「A店」と書くべきところを「A点」書いてしまったりすることがあります。また,分類に使用する記号によっては,大文字小文字等の肉眼では区別しにくい違いがパソコン上でことなる文字列として認識されてしまうケースもあります。

このような場合,SUMIF関数で指定した条件と少しでも違うメモが2列目にかかれた数字は集計対象になりません。

そのため,集計漏れがしょうじるのです。

これを回避する小技が「データの入力規則」です。

エクセルの画面の上のほうをみると「ホーム」「挿入」などと並んで「データ」と書かれているのが見つかると思います。

この「データ」を開くと「データの入力規則」という項目があります。それを開くと,「入力値の種類」という項目があるので,それをクリックして「リスト」を選択します。

さらに,その下の「元の値」という項目に,「,」で区切りながら,分類したい分類項目を全部列挙していきます。たとえば「A店,B店,」というようにです。

そうすると,このデータの入力規則の指定をうけたセルではプルダウンで,そのリストのなかから選択式でセルの内容を決定できるようになります。

これを,数字の列の横のメモの列に全部使い,さらに,SUMIF関数の検索条件指定のセルにもコピーしておけば,上記のような記入ミスによる集計漏れをなくすことが可能となります。

弁護士が仕事でよく使うエクセルの関数について①

弁護士というと,大学の学部でいうと文系の法学部を出身母体とする人間の集まりであります。

もっとも,実際に業務を行ううえでは,文章を書いたり,話をしたりすることもさることながら,

数字を扱うことも数多くあります。

むしろ,民事事件などは,最終的には金銭による解決が目標となりますので,計算が骨格として,文章で肉付けをしていくようなイメージかもしれません。

この数字を扱うにあたり,一番よく使うのがエクセルです。一般の企業の方でも同じだと思いますが,関数を組み合わせれば,特殊なプログラミング言語を使わなくても,かなりの計算を自動化できて重宝するソフトです。

そこで,エクセルに詳しい方には,何をいまさらというような内容もあるかと思いますが,このブログで,実際に弁護士の仕事でエクセルをどのような場面で,どのような関数などを使っているのか紹介していきたいと思います。

まず,私が,業務でエクセルをよく使うのが,お客様からお預かりした領収書の束の数字の整理です。

たとえば,自営業の方が被害者となった損害賠償請求事件などでは,被害を受ける前の売上や経費,利益の金額から,事故がなければ得られていたであろう利益を推計し,実際に被害を受けたことにより,どれだけ利益が減少するのかを計算しなければなりません。

しかし,確定申告などをされていない方の場合,そもそも,事故前の収支の実態を把握すること事態が容易ではありません。

そのような場合,お客様から大量の伝票や請求書の束,電気代の領収書などをお預かりして整理して,何とか,被害に遭う前の収支の状況を把握しようとすることがあります。

単純に,数字を入力して集計するのであれば「SUM関数」という関数を利用すれば問題ありません。

たとえば,領収書を見ながら,100円,2000円,1580円,と数字を打ち込んでいき,それで集計をすれば,合計をだすことができます。

しかし,入力したあと,たとえば,固定費はいくらで変動経費はいくらかを計算したい場合,A店,B店,C店と取引先ごとに伝票の合計額を集計したい場合には,単純に「SUM関数」を使ったのでは,項目ごとの集計ができません。

かといって,条件に該当するセルを一個一個拾い上げて足し算をしていくのであれば,電卓をたたいたほうが早いぐらい時間がかかります。

そこで,よく使うのが「SUMIF関数」です。この関数は,以下のような段取りで使うと便利です。

まず,伝票の数字を1列目に「100円,2000円,1580円・・・」と入力した後,その横の2列目に「A店,B店,C店,A店・・・」というようにどこのお店の伝票かをメモしておきます。そのうえで,SUMIF関数で2列目を検索範囲とし,検索条件を「A店」として,数字の列を計算対象の範囲として指定すれば,自動的にA店とメモされた伝票の数字だけを抽出して集計してくれます。

同じ要領で,B店,C店も作っていけば,大量の数字でも,一気に分類して集計することができるようになります。