弁護士に限らず,どの仕事でもそうですが,仕事を続けていくうえで基礎となるのが健康です。
ということで,今年も,10月に健康診断を受ける予定になっています。
健康診断の前には,どういう診断を受けるのか,メニュー表のようなものが配布されます。
健康診断というと,尿検査と血液検査とバリウム,レントゲンというようなオーソドックスなものをイメージするのですが,
最近では,アレルギーチェックやピロリ菌の検査,体のさび付き具合のチェックまで追加料金を払えばできるようです。
学生の頃は,病院など風邪をひいてから行くところというイメージが強かったのですが,
仕事をしてみると,実際に,体調を崩して病院に行く機会よりも,
予防のために病院に行く機会のほうが,むしろ多いのではないかと思います。
このように,健康診断を事前に受けたり,予防注射などをしたりという形で,病気になる前から病気を避ける行動をとる医療を,
予防医療というそうです。
弁護士のあつかう業務についても,よく似た視点から整理されることがあります。
弁護士の業務は,もともと,法律的なもめごとが起きてから相談をうけて,裁判等を解決するという流れが中心です。
他方で,このような紛争解決業務とは別に,予防法務という考え方もあります。
これは,そもそも法律的なもめごとが起きないように,契約を結んだりする際に,事前に弁護士に相談をしておくというものです。
会社経営などでは,顧問弁護士と密に相談をしながらプロジェクトを進めて行ったり,
社内に弁護士を雇用して社内のコンプライアンス態勢をととのえたり,あるいは,契約書チェックを徹底したりというような活動が,
予防法務の典型的なイメージではないかと思います。
個人の方が直面するような,交通事故や離婚などの問題については,そもそも法律的な観点から予防というのは難しいかもしれませんが,
個人の方でも,例えば,相続でトラブルが起きないようにしっかり遺言を準備しておいたり,遺言執行者を確保しておくなど,予防法務が機能しやすい分野もございます。
いつの日か,普通に1年に1回健康診断を受けるような感覚で,特にトラブルが起きていなくても,
法的トラブルを予防するために,弁護士に相続等の相談をするのが一般化してくれば良いのになと思いながら,
健康診断の通知を眺めておりました。