先日、大阪の街を歩いていると「天然たい焼き」という広告を掲げた、たい焼き店を目にしました。
同行者から、「たい焼きに天然も養殖もあるんかな?」と疑問を投げかけられ、ふと考えてみましたが、
確かに、たい焼きは鯛の形を模して造られた型にはめて作られた焼き菓子ですから、
生きた魚のように天然も養殖もないのではないかと思われます。
気になって、調べてみると、天然たい焼きというのは、たい焼きの焼き方に関する違いのようです。
夏祭りの屋台などで見るたい焼きは一気に何十体ものたい焼きを鉄板の上に並べて焼いているイメージですが、天然物と呼ばれるたい焼きの場合、
一気に1体から2体しか焼けない焼型の中に具材をいれて、職人がその焼型を動かしながら焼き加減を調整しつつ焼き上げるそうです。
ちなにみに、弁護士の立場で「天然」や「養殖」という言葉を目にすると、それの表記に関して定めた行政法規が気にかかります。
たい焼きの「天然」「養殖」表記についての法規制は見つけられませんでしたが、
一般的に食品の表記に関しては食品表示法という法律に定められています。
食品表示法4条1項では、「内閣総理大臣は、内閣府令で、食品及び食品関連事業者等の区分ごとに、次に掲げる事項のうち当該区分に属する食品を消費者が安全に摂取し、及び自主的かつ合理的に選択するために必要と認められる事項を内容とする販売の用に供する食品に関する表示の基準を定めなければならない。一 名称、アレルゲン(食物アレルギーの原因となる物質をいう。第六条第八項及び第十一条において同じ。)、保存の方法、消費期限(食品を摂取する際の安全性の判断に資する期限をいう。第六条第八項及び第十一条において同じ。)、原材料、添加物、栄養成分の量及び熱量、原産地その他食品関連事業者等が食品の販売をする際に表示されるべき事項 二 表示の方法その他前号に掲げる事項を表示する際に食品関連事業者等が遵守すべき事項」と定められており、食品ごとに表示の基準を定めることにされています。
そして、一般的に天然や養殖が問題になる魚などの食品については「食品表示基準」という基準の第三章生鮮食品の項目に表記に関するルールが定められています。
そのなかで、「養殖」の場合には、養殖である旨等を表記する義務が定められています。
なお、「養殖」とは「幼魚等を重量の増加又は品質の向上を図ることを目的として、出荷するまでの間、給餌することにより育成することをいう。」と定められています。