こどもの日

毎年5月5日は、こどもの日と呼ばれ、祝日となっています。

国民の祝日に関する法律第2条では、「こどもの日 五月五日 こどもの人格を重んじ、こどもの幸福をはかるとともに、母に感謝する。」と記載されています。

こどもの日というと、鯉のぼり、柏餅、五月人形という印象が強く、男の子のための祝日という印象を持ってしまいますが、法律上は「こどもの日」はあくまで、こどもの日であって、男の子限定の祝日ではないようです。

ちなみに、伝統的には、男の子が五月に鯉のぼり、女の子は三月に雛祭りという区別をして祝うのが習慣だと思いますが、3月の雛祭りは祝日にはなっていないため、法律上は、5月5日が男女問わずこどもの日という理解になるのだと思います。

どうして男の子が5月、女の子が3月というようになったのかについては、伝統的に5月5日は端午の節句として菖蒲湯などをする伝統があったところ、菖蒲から尚武、勝負といった連想ゲームのようになり、男の子が勇ましく育つようにと男の子が主役の日になっていったという説があるようです。

他方で、3月3日はもともと上巳の節句といわれて、中国のほうでこの日に穢れを払うために水で体を洗う風習があったようで、ここに日本で紙の人形を作って厄落としのために川に流す風習や、平安時代ごろに女の子の人形遊びが普及したことなどが組み合わさって、現在の雛祭りの原形が作られていったようです。ひな人形は節句が過ぎたら早く片付けないといけないといったりしますが、この理由も、もともとひな人形が厄落としのために、こどもの身代わりになって厄を負って川に流される人形にルーツがあるからという説がありました。

このように、5月5日は男の子、3月3日は女の子というのは、あくまで伝統としてそういう習慣があったというものであって、法律上は男女平等に「こどもの日」となっています。

また、法律上は、「こどもの幸福」だけでなく「母に感謝する。」することも、祝日の趣旨になっていることも、意外に知られていないことではないかと思います。

親に感謝するのも大切なことだなと思いつつ、お父さんは感謝してもらえないんやなとと少し寂しく思う法律の定めとなっております。男性弁護士の立場としては複雑な心境です。

この辺りは、親の果たす役割に関する社会的性差が強く意識された立法になっているのかと思います。