自賠責基準における慰謝料の計算方法

交通事故の相談を受ける際によく相談者様から聞かれることがあります。「相手方の保険会社の担当の人から,慰謝料の金額は1日8400円って聞いたんだけどほんとなの?」と。

この1日8400円という金額は,自賠責保険という強制加入保険の基準に定められた金額です。もっとも,必ずしも1日8400円になるわけではないことに注意しなければなりません。

そもそも,自賠責保険基準における慰謝料の算定基準は,「4200円×通院期間」か「通院日数×2×4200円」のどちらか安いほう,ということになります。すなわち,2日に1回以上の頻度で通院したとしても,4200円×通院期間の金額が限度ということになります(例えば,3か月間の間に50日通院したとしても,4200円×90日=37万8000円までとなります)。

また,自賠責保険には怪我の場合120万円までの上限金額が定められています。その上限金額との関係で慰謝料の金額が上記計算によって算出される金額に満たない場合もあります。例えば,6か月の間に80日通院したとします。その通院治療に80万円かかったとします。そうすると,慰謝料の算定基準でいえば80日×2×4200円=67万2000円となりますが,120万円の枠のうち80万円を治療に使っていますので,残っているのは40万円ということになり,自賠責保険から支払われるのは40万円のみということになります。

このように,1日8400円という基準は必ずしも正確な金額ではありませんのでご注意ください。もっとも,弁護士に依頼すれば,自賠責保険基準以上の金額で示談できる場合もあります(過失割合等によっては自賠責保険基準のほうが高くなることもありますが)。相手方保険会社から示談案が提示されているという方は,示談書にサインする前に弁護士に見せてみてはいかがでしょうか。当法人では示談金チェックサービスを原則無料で行っておりますので,お気軽にご利用ください。