8月に入りましたが,名古屋は暑さの厳しい季節が続いております。普段は裁判所に行くために外を少し歩くくらいしかしませんが,熱中症になるのではないかと思うくらいの暑さに参ってしまいますが,水分補給を適切に行い,熱中症にならないよう注意したいところです。
さて,7月21日に興味深い判決が出されましたので,少し触れたいと思います。
ある写真家が自身のホームページ上に掲載していた写真を,第三者が無断でツイッターに投稿(ツイート)し,別のアカウントがそのツイートをリツイート(自身のアカウントをフォローしている人に拡散すること)した際に,写真上に記載されていた写真家の名前が切り取られて表示されてしまったため,その写真家がツイッター社を相手取り,リツイートにより著作権侵害をされたとしてリツイートをしたアカウントの情報開示を求めた,という事案でした。
最高裁は,リツイートされた写真をクリックしなければ写真家の名前は表示されないことなどから,リツイートによる著作権侵害を認め,ツイッター社にリツイートをしたアカウントの情報開示を命じた二審の判断が確定しました。
なお,林裁判官は,リツイートをする際に元の写真の一部が切り取られてしまうのはツイッターの仕様であって,リツイートをしようとする者が変更を加えることができない点を指摘し,著作権を侵害したのはもともとのツイートをした者だけであるとの反対意見を述べました。また,本件でリツイートによる著作権侵害を認めると,画像をリツイートする際にリツイートをしようとする者は著作者の同意があるかなどを確認しなければならず,利用者にとって負担が重いという意見も述べています。
ツイッターを含むSNSが重要なコミュニケーションツールとして広まっておりますが,その反面,無意識のうちに誰かの権利を侵害してしまうことのないよう注意しなければなりませんね。