借金問題でお悩みの方の中には、借金の支払ができなくなるとすぐに財産が差し押さえられてしまうのか?、差押えがなされると家に債権者が押しかけてきていろいろなものを持っていかれてしまうのか?(急に家に来て周り近所に知られてしまうのか?)など、差押えに関する不安を抱えている方は少なくないでしょう。
そこで、今回は借金の支払ができなくなった際に行われる差押えまでの流れついて解説していきます。
借金の支払ができなくなると、まずは債権者から訴訟(裁判)を提起されたり、支払督促といった裁判所の手続きが行われることがあります。それを無視してしまったり、適切に反論をしないと、訴訟の場合は判決が、支払督促の場合は仮執行宣言付支払督促の申立てがなされ、それらが確定してしまうと、債権者は財産の差押えなどの強制執行をすることができるようになります。
このように、強制執行をすることができるようになる確定判決や仮執行宣言付支払督促の確定などを、「債務名義」と呼びます。
債権者からの督促状や法的手続予告通知書等の書面には、この一連の流れを「支払をしない場合、訴訟などの法的手続をとって財産を差押えします。」とさらっと記載してあることが多いです。おそらく、あえてそのように記載することで、支払しないとすぐに差押えが来るから大変だと思わせて、支払を促したいという思惑があるのだと思います。しかし、実際は裁判を起こしてから、初回期日まで1~2か月ほどかかる場合もありますし、支払督促の場合は受け取ってから2週間以内に督促異議を出せば、債権者は訴訟に移行せざるを得なくなるため、債権者が債務名義を獲得するまで、少し時間がかかります。
とはいえ、訴訟等の手続きがなされると、早ければ数か月程度で差押えがなされる危険性がありますので、支払いに困ったら、訴訟や支払督促などされる前に、弁護士に相談した方がよいでしょう。
次回は、差押えの対象となる財産について触れたいと思います。