代車使用料

こんにちは,名古屋の弁護士の松岡聡司です。

名古屋も寒さが厳しく,雪がちらつく日も多くなりました。雪道の走行はいつも以上に速度と車間距離にご注意ください。

さて,事故で車が損傷し,修理もしくは買い替えが必要になった場合,修理工場で修理している期間や新しい車が納車されるまでの期間別の車が必要になると思います。そのような場合に,代車(レンタカー)を借りて日常生活や,通勤等に使用することが多々ありますが,その費用は全額加害者側の保険会社が支払ってくれるのでしょうか。

裁判例上,代車を借りる必要性があり相当な期間であれば,加害者側が代車費用を支払う義務があるとされています。

① 代車の必要性

まず,代車を借りる必要性があるかどうかは,被害者の方の仕事や生活状況等から,代車を借りないと生活できないような状況にあるかどうかで判断されます。例えば,事故で損傷した車以外に他の車を所有していて,その車があれば仕事や生活に支障がないような場合には,代車の必要性がないと判断される可能性があります。

② 代車の相当期間

代車使用料について問題となる場面が多いのが,代車を借りる期間の相当性です。代車を借りる相当期間について,加害者側の保険会社から長くても1カ月が限度といった話をされることが多々ありますが,裁判例上も代車の相当期間については2週間から1カ月程度と判断する傾向にあります。もっとも,個別的な事情によってはより長期の代車の相当期間を認定したものもあります。東京地裁平成13年12月26日は,代車使用料に関し,「一般に,加害者の示談交渉を代行し,交通事故処理を専門的かつ継続的に担当する損害保険会社の担当者は,被害者に対して合理的な損害賠償額の算定方法について十分かつ丁寧な説明をなし,その根拠資料を示して,被害者の理解を得るように真摯な努力を尽くすべき…。そして,被害者が納得するための説明,交渉等に時間を要し,その結果,修理又は買換手続に着手する以前の交渉等に費やされた期間中に代車料が生じたとしても,それが,加害者(損害保険会社の担当者)の具体的な説明内容や被害者との交渉経過から見て,通常の被害者が納得して修理又は買換手続に着手するに足りる合理的な期間内の代車料にとどまる限り,加害者(損害保険会社)はその代車料についても当然に負担する責任を負わなければならない。」と判断しています。つまり,加害者側の保険会社からの説明内容や交渉経過によっては,保険会社との交渉が長引いたことにより代車使用期間が延びたとしても,その期間も代車を使用する相当期間に含まれる可能性があります。

このように代車使用料については個別事情によって判断が分かれる可能性が高いので,お困りの方は弁護士にご相談ください。

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