こんにちは。名古屋の弁護士の松岡聡司です。
今年の6月から,司法取引制度と刑事免責制度が導入されました。
司法取引と聞くと,よくドラマや映画とかでありそうな,「罪を認めれば刑を軽くしてやる」といったものを思い浮かべる方もいるかもしれませんが,今回導入される司法取引制度はこのような類型(自己負罪型)ではありません。
今回導入される司法取引制度とは,他人の犯罪についての捜査・公判に協力することと引き換えに,起訴しないことや求刑を軽くするなどの恩恵を与えることを合意することをいいます。
例えば,覚せい剤の使用・所持の被疑者・被告人との間で,その売人について供述することと引き換えに,起訴しない・公訴提起を取り消すことを約束することをが考えられます。
刑事免責制度とは,証人の証言拒絶権をはく奪して証言を強制するが,その証言やその証言から派生して得られた証拠は,証人の刑事事件の証拠として使用することが禁止されることをいいます。
例えば,オレオレ詐欺の主犯格の公判において,下っ端である出し子に証言拒絶権をはく奪して証言させるが,その出し子本人の公判では,当該供述及びそこから派生して得られた証拠は証拠として使用することができないことになります。
これらの制度が実務上どのように運用されていくのか,注目していきたいと思います。