借金の返済を滞ってしまっている方のもとには,債権者からの電話や請求書などが届くことがあります。
そして,それらも無視していると,裁判所から書類が届くことがあります。裁判所からの書類には大きく分けて2種類あり,「訴状」というものと「支払督促」というものがあります。
今回は支払督促についてお話しします。
まず,支払督促とは,債権者(お金を貸した側)が,裁判所を通じて,債務者(お金を借りた側)に対して,貸したお金を返すよう求めることをいいます。
そして,通常の訴訟では,裁判所は証拠に基づいて請求が認められるか否かを判断しますが,支払督促では,債権者側からの申し立てがあれば,証拠の有無等の審査は特段せずに,裁判所から支払い督促が発せられます。
このように,通常の訴訟のように手間,時間がかからない点で,債権者にとっては便利な手続きとしてよく使われています。
もっとも,支払督促には証拠等の審査がなく,あくまで債権者側の一方的な主張に基づいて出されるものですので,すでに時効(次回,詳しくお話ししようと思います。)にかかっている借金について支払督促が送られてくるケースもあります。
その場合には,債務者側も適切に対処しなければなりませんが,支払督促には「支払督促送達の日から2週間以内に異議を申し立てないときは,債権者の申し立てによって仮執行の宣言をする。」との記載があり,2週間以内に何とかしなければなりません。
もし,支払督促をそのまま放置しておくと,債権者勝訴の判決が出たのと同様の効果が生じ(債務名義と呼ばれます。),給与や財産の差し押さえを受けてしまう危険性があります。
裁判所から支払督促が届いたという方は,1日も早く弁護士にその対処法をご相談された方がよいでしょう。