定期金賠償を認めた最高裁判例

最近,名古屋でも新型コロナウイルスの感染者が日に日に増えてきています。緊急事態宣言前後から手指の消毒,マスクの着用,換気等コロナ対策は徹底しておりますが,今一度気を引き締めて対策をしていこうと思います。

さて,交通事故に関して重要な最高裁判例(令和2年7月9日判例)が出されました。

交通事故によって後遺障害が残った場合,その損害の中に「逸失利益」というものがあります。イメージとしては,事故に遭わず健康でいられたら100%の力で仕事をすることができたのに,後遺障害を負ってしまったために仕事をする能力が下がってしまい,本来得られたであろう収入が得られなくなったので,その差額を損害としてとらえるものです。

これまで,逸失利益は一時金賠償として他の慰謝料や休業損害等と一緒に一括で請求が認められてきましたが,一時金賠償での逸失利益では中間利息控除として将来にわたって発生するはずの利息分があらかじめ差し引かれてしまっていました。しかし,定期金賠償が認められると,被害者は加害者から毎月定額の支払いを受け続けることができ,中間利息控除はされませんので,一時金賠償よりも総額として多くの金額を獲得できます。

また,上記判例では,被害者が就労可能期間(現状は67歳までとされています。)よりも前に亡くなった場合であっても,定期金賠償は終了せず,就労可能期間まで定期金賠償は続くとの判断もされました。

今後の交通事故実務に大きく影響を与える画期的判断であると思います。

話は変わりますが,弁護士法人心千葉法律事務所ができました。千葉県内に2か所目の支店となります。

今後とも弁護士法人心をよろしくお願いいたします。

平成30年度賃金センサス

こんにちは。名古屋の弁護士の松岡です。

少しずつ暖かくなってきて,もうすぐ名古屋でも桜が見られるような季節になってきました。

さて,3月29日に平成30年度の賃金センサスが公開されました。賃金センサスとは,性別,年齢,学歴等の分類ごとに,平均的な収入をまとめたものです。交通事故の損害賠償請求の際に,被害者の方の収入が不明確である場合(例えば,主婦としての家事労働を収入に換算する必要がある場合,若年者で将来的に仕事をした場合にどれほどの収入が得られるか分からない場合など。)に,賃金センサスの平均収入をもとに損害の金額を計算することがあります。

ここでは,交通事故の損害賠償請求の際によく使われる平均収入をご紹介します。なお,賃金センサスの検索方法や平均収入の計算方法は,平成30年3月の私のブログでも取り上げておりますので,詳しくはそちらをご参照ください。

男女・学歴・全年齢計…497万2000円(平成29年:491万1500円)

男性・学歴・全年齢計…558万4500円(平成29年:551万7400円)

女性・学歴・全年齢計…382万6300円(平成29年:377万8200円)

このように,前年に比べて平均賃金が上昇傾向にあることが分かります。