コロナ第5類に移行

新型コロナウイルスが、5月8日より、季節性のインフルエンザと同等の第5類感染症に移行しました。これにより、外出自粛や行動制限等はなくなり、感染症対策も個人の判断に委ねられることとなりました。

これに伴って、気になるのが、破産手続における裁判所の運用が変わるかどうかです。

名古屋地裁(本庁)では、コロナ前には、免責審尋の手続きが行われていました。名古屋地裁の免責審尋では、破産をする方が何名か集まり、裁判官から手続きの説明、今後二度と破産をしないようにという注意喚起、申立て書類に嘘偽りや変更がないかなどの確認などが行われていました。

しかし、コロナの流行に伴い、大勢の人が裁判所に集まるのは感染リスクが高いためか、免責審尋は省略されるようになりました。

3月にマスク着用が個人の自由となった以降に破産開始決定を受けた方も、免責審尋の手続きは省略されていましたが、第5類に移行した以降は従前の運用が再開するのか、あるいはコロナ後の運用が維持されるのか、気になるところです。

個人的には、免責審尋の手続きを実施していない裁判所も多いですし、平日の日中に裁判所に行かなければならない負担は、(場合によっては仕事を休まなければならず)破産をする方にとっても重いと思いますので、免責審尋が省略される運用が維持されるとありがたいなあと思います。

税金の滞納と債務整理

4月になり暖かい気候となりました。先日、名古屋市内にある鶴舞公園にお花見に行きました。人出も多く、出店もたくさん出ていて、コロナ前のような活気を少し取り戻したように感じました。

さて、今回は税金の滞納と債務整理の関係をお話ししたいと思います。

まず、税金については、自己破産や個人再生をしても免除・減額されることはありませんので、滞納している金額全額を支払っていかなければなりません。

もっとも、裁判所が滞納税金についてどこまで気にするかは、手続きによって違いがありそうです。

例えば、自己破産の場合には、滞納税金を今後どのように支払うかについて、裁判所はそこまで深く追求してこないことが多いです。これは、自己破産が認められれば、借金の支払義務がなくなるため、今まで返済に回していたお金で滞納税金の支払いは可能であろうと考えているからかもしれません。

他方で、個人再生の場合には、減額された借金の支払いと、生活費の支出、滞納税金の支払いを両立できるかが重視されます。個人再生では、減額後の借金をちゃんと返済できる能力があるか(再生計画の履行可能性があるか)、という点がとても重要になりますので、滞納税金についても、役所等と協議の上、月々いくらずつ支払って滞納を解消する計画かを、書面にて提出することが求められます。

税金の滞納がある方は、債務整理の相談をされる際には、滞納している税金をどのようにしたらよいか、弁護士にお尋ねください。

家計の状況の作り方

自己破産や個人再生など、裁判所の手続きによって借金の金額を減額・免除してもらう場合、月ごとに収入・支出の状況をまとめた家計の状況を作成し、裁判所に提出しなければなりません。

しかし、今まで家計簿等を付けたことがない方にとっては、どのように作成したらよいか分からないという場合もあると思います。そこで、家計の状況をどのように作成していったらよいかについてお話しします。

①毎月1日から末日までに購入した物、支払ったものについてレシートや領収証をとっておき、月末に食費・日用品等に分けて足し合わせます。②レシート等がないものについては、何にいくら使ったかのメモを残しておき、①との合計額を家計の状況に反映させます。③家賃、水道光熱費、電話代、保険料などが通帳から引落しになる場合、通帳の記載を参照して家計の状況に反映させます。④収入については、給与明細の支給金額や通帳に入金のあった金額を収入欄に記入します。⑤収入の合計額から支出の合計額を差し引いて、翌月への繰越額を計算します。

このようにして家計の状況を作成するのが理想的ではありますが、実際は一つのレシートの中に食費と日用品、その他が混在していて分けて計算することが困難な場合もあります。その場合、すべてのレシートの合計額から、日用品のだいたいの金額(5000円とか1万円とか、丸い数字でよいです。)を引いた金額を食費として計上することもあります。

また、レシート等をとっていなかった場合は、収入の金額と、通帳から見てとれる支出の金額、月末時点で残っている預金額等から、食費、日用品の額を逆算してだいたいの金額を割り出す、ということもあります。

家計の状況の作り方が分からないという方は、適宜弁護士にアドバイスを求めて進めていきましょう。

破産・再生における債権の取り扱い

11月に入り肌寒い季節になってまいりました。また、新型コロナウイルスについても第8波になることが予想されていますので、体調にはお気を付けください。

さて、自己破産や個人再生をしようとする方が、例えばAさんにお金を貸しているような場合、Aさんに対してお金を返してと請求する権利(貸金返還請求権)を持っていることになります。このような債権も、破産・再生をする方の財産に含まれることになります。

自己破産の場合、債権の金額が20万円以上であれば、破産管財事件となる可能性があり、破産管財人からAさんに対して、破産者が貸していたお金を返すよう請求することがあります。

個人再生の場合、Aさんに貸していた金額も清算価値に含まれることになりますから、金額次第では借金がいくらまで減額されるかに影響が及ぶこともありえます。

なお、Aさん自身も金銭的な余裕がなく返済能力がない場合や、Aさんとは音信不通であり連絡も取れないし居場所もわからないということもあります。そのような場合には、Aさんに対する貸金返還請求権は回収の可能性がないから、財産的価値はないとの主張をすることも考えられます。

ただし、裁判所に対してそのような主張をするのであれば、Aさんが生活保護を受けているとかAさん自身も破産の申立て準備中であるといった具体的な事情を説明する、弁護士がAさんの住民票を取得するなどしてAさんの住所の調査を尽くしたが見つからなかったことを報告する、などの対応が必要になる場合もあります。

破産・再生をお考えの方で、第三者に対して債権を持っている場合には、弁護士に対応方法を相談すべきでしょう。

自己破産の際の財産隠し

最近急に寒くなってまいりました。季節の変わり目には体調を崩しやすいですので、お気を付けください。

さて、先月、自己破産の申し立てをした人が、ビットコインなどの暗号資産を裁判所に報告せずに隠していたことから、詐欺破産の疑いで逮捕されたというニュースが出ました。

詐欺破産罪は、破産法265条に規定されており、債権者を害する目的で、財産の隠匿や譲渡、安価で処分するなどした場合に、適用される可能性があります。

破産をしようとする方が高額の財産(名古屋地裁の運用だと、20万円を超える価値のあるもの)を持っていた場合、財産を処分(換価)して、債権者への配当に回す必要があります。それにもかかわらず、その財産を隠匿、譲渡、安価での処分等をしてしまうと、債権者が配当によって得られる金額が減少してしまい、債権者が害されてしまうため、許されません。

したがって、そのような行為をした場合には、刑事罰が科される可能性があるのです。

詐欺破産罪が適用されるケースはさほど多くはないですし、今回ニュースになったケースでも起訴されたかどうかは分かりません。とはいえ、破産をしようとしている場合に、財産の隠匿等をしてしまうことは、詐欺破産罪に該当する可能性がありますし、免責不許可事由に該当する可能性もありますので、絶対にしないようにしてください。

自己破産をする際には、自分の持っている財産は包み隠さず、弁護士に報告し、裁判所にも申告するようにしましょう。

リボ払いの恐怖

債務整理の相談をしていると、「支払が厳しくて、カードをリボ払いしていた。そうしたら、気付いた時には返済ができないほど借金が膨らんでいたため、債務整理をしたい。」というような方が非常に多くいらっしゃいます。

リボ払いとは、月々の返済金額を一定の金額に固定して、毎月その金額を返済していくような支払方法をいいます。一定の金額に固定されると、大きな買い物をした場合でも返済金額が少ないため、生活が安定すると思ってリボ払いにされる方もいらっしゃるのですが、実際は借金がどんどん膨れ上がっていくだけの状態になってしまうことが多いです。

具体的に言うと、例えば、生活費として5万円をカード決済したとして、リボ払いで毎月の返済金額を1万円に設定したとします。すると、毎月の返済額は1万円で済みますが、残りの4万円は借金として残ります。そして、次の月もまた生活費で5万円カード決済をしたとすると、借金の残額が9万円となり、1万円返済しても借金が8万円残ることになります。このように、継続的にカードの利用を続けながらリボ払いにした場合、毎月ちゃんと返済できていたとしても借金の金額がどんどん膨らんでいくのです。さらに、今の例ではわかりやすくするために省略しましたが、当然借金には利息や手数料がかかりますから、1万円返済しても借金の金額は利息や手数料を引いた金額分しか減りません。つまり、思っている以上に借金の金額が増えるペースが速いのです。

リボ払いは、1回限りの大きな買い物をした場合に、分割払いをする方法としては便利な側面もあるかもしれませんが、借金を大きく増やしてしまうきっかけになってしまうケースを多く見てきました。

借金の支払が多く、リボ払いをしようか迷っているという方は、リボ払いにする前に弁護士に相談してみてはいかがでしょうか。借金の金額が少なければ、債務整理の選択肢も広がりますので、早めに手を打った方がよい場合もあります。また、すでにリボ払いをしていて、完済の目途が立たないという方も、弁護士に相談してみることをお勧めします。

債権者集会における各裁判所の違い

前回の続きで、各地方裁判所ごとの債権者集会における質問内容についての違いについて、お話しします。

名古屋地方裁判所や津地方裁判所では、免責に関する質問として、例えば、自己破産に至った経緯はどのようなものか、自己破産をすることについてどのように考えているか、二度と自己破産をしないようにどのようなことに気をつけて生活しているか、などの質問がなされることが多いです(事案によっては、裁判官から質問がなされることもなく、二度と破産をしないように気を付けてください、という注意のみで終わることもあります。)。これらの質問に対して真摯に答えれば、その場で免責許可決定が出され、数分で債権者集会は終わることが通常です。

しかし、岐阜地方裁判所本庁では、自己破産に至った経緯について、浪費やギャンブル、投資などがある場合、それらにのめり込んでしまった原因は何か、なぜ途中でやめられなかったのか、また同じような失敗を繰り返さないために実践していることは何かなど、かなり細かく、厳しく追及されることがあります。そして、回答の内容を踏まえて、免責許可するか後日決定するものとして、債権者集会が終わることもあります。

個人的な感想ですが、岐阜地裁の裁判官は、債権者集会における質問を通して、しっかりと自己破産に至ってしまったことを反省させ、二度と同じ過ちを繰り返さないようにしようという意識が強いのかな、と感じました。
たまたま厳し目の裁判官に当たっただけなのか、事案の性質的に免責を許可すべきか微妙な案件だったからなのか、真相は分かりませんが、岐阜地裁の本庁はそのような傾向が強いように感じました。

破産管財事件における債権者集会

私は普段、名古屋駅近くの事務所で執務しておりますが、岐阜県や三重県にも出張で相談に出向くこともありますし、職場が名古屋市内にあるため、岐阜県や三重県にお住まいの方が名古屋駅の事務所まで相談に来られることもあります。

そして、自己破産や個人再生は、原則として申立を行う方の住所を管轄する裁判所に申立てをしなければなりませんから、名古屋地方裁判所だけでなく、岐阜地方裁判所、津地方裁判所へも自己破産や個人再生の申立てをすることがあります。

手続きの流れ自体は法律に従って進められますので、裁判所ごとの運用が異なることはありませんが。自己破産の中でも破産管財事件において開かれる債権者集会という期日について、裁判所(もしかしたら裁判官かもしれませんが。)ごとに傾向が違うような気がしてきています。

そもそも、債権者集会では、破産管財人として裁判所から選任された弁護士から、破産者の財産調査、財産の換価、債権者への配当に関する報告がなされ、その後裁判官から破産者に対して免責に関する質問がなされます。
このような流れについては裁判所ごとに運用が異なるということはありませんが、免責に関する質問について違いがあるように感じています。
次のブログで具体的に書いていきます。

自己破産における車の取り扱い

自己破産をする場合に、持っている車がどのような取り扱いを受けるか不安に思われる方は多いと思います。そこで、自己破産における車の取り扱いについてお話しします。

①ローンの残っている車

車のローンを組んだ際、ローンを支払い終えるまで車の所有権をローン会社やディーラーに残しておく「所有権留保」という条項が契約内容に含まれていることがあります。その場合、ローンの残った状態で自己破産をすると、車がローン会社等によって引き揚げられてしまい、手元に残すことができません。

その場合、例えば親族等から援助を受けて、自己破産をする前にローンを完済してしまえば、ローン会社等に引き揚げられることはなくなります(ただし、下記②によって処分される可能性はありますので、注意が必要です。)。

他方で、銀行系の車のローンですと、所有権留保が付いていない場合もありますので、引き揚げられずに済む場合もあります。

②ローンの残っていない車

ローンの残っていない車であっても、名古屋地裁の運用では、時価額が20万円を超えるものは、処分されてしまい、債権者への配当に回ります。他方で、20万円を下回るものについては、手元に残すことが可能です。

なお、名古屋地裁では、初年度登録から7年以上経過していて、かつ新車価格が300万円以下の国産車であれば、原則として時価額をゼロと評価する運用となっていますので、手元に残すことができます。

裁判所の運用は、各地の裁判所によって異なることがありますし、変更になる可能性もありますので、気になる方は弁護士にご相談ください。

名古屋で自己破産のご相談をお考えの方はこちらをご覧ください。

債務整理と携帯電話①(強制解約・新規購入の可否)

債務整理をすると、携帯電話は使えなくなるのか?といったご質問をよくいただきます。ここでは、債務整理と携帯電話への影響についてまとめます。

①携帯料金の割賦払いが残っている場合、強制解約となるか?

任意整理であれば、携帯会社をその対象から除外し、携帯料金を支払い続けることができれば、強制解約となることもなく携帯電話を利用し続けることができます。

他方で、自己破産や個人再生の場合、すべての債権者を平等に取り扱わなければならないため、原則としては携帯電話会社も債権者として取り扱わなければならず、強制解約とならざるを得ません。もっとも、携帯電話は現代においては生活必需品と言えるものであること、携帯電話が強制解約になってしまうと連絡手段がなくなり、手続きの円滑な進行に支障が出ることから、事実上携帯電話の割賦払いを続けることを認める運用をとる裁判所もあるようです。詳しくは弁護士にご相談ください。

②債務整理後の携帯電話は購入できるか?

債務整理をすると、信用情報センターという機関に情報が登録されます。そうすると、携帯電話の機種変更に伴い、新しい機種を購入しようとする際、分割払いの審査が通らないことがあります。もっとも、その場合でも、分割払いでの購入ができないだけで、一括での購入であれば可能ですので、一切機種変更ができないわけではありません。

亡くなった方の借金について(債務整理の手続き)

前回は、亡くなった方の借金について、相続放棄の手続きをとることで引き継がなくても済む可能性についてお話ししました。

しかし、相続放棄は、相続を知った時から3か月以内に家庭裁判所に申出をしなければならず、親族が亡くなったバタバタで3か月の期間を過ぎてしまう方もいらっしゃいます(中には、相続放棄という手続き自体を知らず、プラスの財産もないから引き継ぐものもないと考えてそのまま放置してしまう方もいらっしゃいます。)。

そのような場合、亡くなった方の借金も自らの借金として支払い義務を負うことになります。厳しいようですが、亡くなった方の借金だから、プラスの財産は何も受け取っていないから、あるいは亡くなった方とは疎遠だったから、といった事情は考慮されません。

金額が少なく一括で支払うことができる場合、分割であれば支払うことができる場合には、そのまま支払っていくことになると思いますが、金額が大きく返済が難しい場合には、個人再生や自己破産という手続きを取らなければ、支払い義務を減額、免除をしてもらうことができません。

個人再生や自己破産については、裁判所の手続きで収入関係の資料や不動産、自動車、保険等の財産に関する資料など様々な資料の提出を求められますが、他方で相続放棄の手続きは戸籍等役所で取りそろえる資料のみで基本的には足りますので、自己破産や個人再生よりも労力はかかりません。

亡くなった方に借金があることが判明したら、早めに弁護士に相談された方がよいでしょう。

亡くなった方の借金について(相続放棄の手続き)

親族が亡くなったが、その債権者から請求書が届いたとしてご相談に来られることがあります。このような場合、どのように対応したらよいでしょうか。

①亡くなった当初から借金があることを知っていた場合

この場合、その方が亡くなったことを知ってから3か月以内に「相続放棄」という手続きをとると、亡くなった方のマイナスの財産(借金)を引き継がなくてもすみます。もっとも、相続放棄をすると、プラスの財産も引き継ぐことができませんので、相続したい財産がある場合には慎重に検討した方がよいでしょう。なお、プラスの財産の範囲内でのみ負債も引き継ぐという「限定承認」という手続きもあります。

②亡くなった後に借金があることを知った場合

亡くなってから3か月以内に債権者から請求書が届いた場合、①と同様に相続放棄の手続きをとることを検討した方がよいでしょう。

他方で、亡くなってから3か月以上経過した後に債権者から請求書が届いたことで初めて借金があったことを知った場合、原則としては相続放棄をすることはできません。もっとも、相続により財産を取得しておらず、請求書が届いて初めて借金の存在を認識した場合には、その時から3か月以内であれば相続放棄をすることができる可能性があります。

亡くなった方の借金についてお困りの場合には、まずは相続放棄を検討してみてはいかがでしょうか。

破産者情報を掲載するインターネットサイト

15日の新聞の一面に破産者情報を掲載するインターネットサイトについての記事が載っていました。

以前ブログでも書きましたが、また新しいサイトが登場してしまっているようです。

こういったサイトが登場するたびに弁護士会等が動いて閉鎖されているのですが、破産・再生を行った方、これから破産・再生を行う方が安心して手続に進めるように、このようなサイトが登場しないことを祈るばかりです。

給料ファクタリングにご注意

ゴールデンウィーク明けの5月7日に当法人の大阪法律事務所がオープンしました。

関西方面では京都に続いて2か所目の事務所になります。これからも多くの方々のお役に立てればと思います。

さて、債務整理の相談を受けた時に、給料ファクタリングを利用していた、利用しているという方と出会うことがあります。給料ファクタリングとは、次の給料をファクタリング業者に売却し、手数料を引いた分の現金を手に入れる手法をいいます。たとえば、次の給料20万円をファクタリング業者に15万円で売却することで、次の給料が受け取れない代わりに15万円の現金を手に入れることになります。

ファクタリング業者は手数料の名目で5万円の利益を得ることになりますが、次の給料が支給されるまでの1か月の間に5万円の利息を払っているのと実質的には同じであり、闇金レベルの暴利であるといえますし、貸金業法の登録をしていないことも多く、逮捕されている業者もいるほどです。

警視庁も違法なファクタリング業者を利用しないよう注意を呼び掛けていますので、絶対に利用しないようにしてください。https://www.keishicho.metro.tokyo.jp/kurashi/higai/yamikin/kyuyofakuta.html

借金の支払に困ったら、給料ファクタリングなどの違法な貸し付けに手を出す前に、弁護士にご相談ください。

債務整理をしたいが車は残したい。

債務整理を検討している方の中には、通勤などで使うためどうしても車は残したいというご意向の方は多いです。債務整理をしても車は残すことはができるのでしょうか。

今回は自動車ローンの残っている車についてご説明します。

①自己破産、個人再生をする場合

自己破産や個人再生をする場合、すべての債権者を平等に取り扱わなければならないという債権者平等の原則がありますから、車のローンだけ支払を続け、その他の借金の支払いをしないということはできません。したがって、すべての借金について支払いをしてはいけないことになります。

また、車のローンを組む際、契約内容として「所有権留保」という条項が付けられることが一般的です。所有権留保とは、簡単に言えばローンを払いきるまでは車の所有権をローン会社や自動車屋に残しておいて、ローンを完済したら車の所有権を移転してあげますよ、という内容です。つまり、ローンを完済しきるまではあくまで他人所有の車を使わせてもらっているだけにすぎないのです。

そして、自己破産や個人再生をすることになり、車のローンも含めて返済をしてはならないとすると、車のローン会社としてはその車を使わせ続ける理由はなくなりますので車が引き揚げられてしまいます。

もっとも、銀行の車のローンなどは所有権留保の条項が付いていないこともありますし、所有権留保の条項が付いていても車の価値があまりにも低く回収するだけの価値がないとローン会社が判断した場合には、引き揚げられないこともあります。

②任意整理の場合

任意整理では、自己破産や個人再生と異なり、どの債権者を任意整理の対象とするかを選ぶことができます。したがって、車のローンについては任意整理の対象とせずに今まで通り支払いを続けることができれば、車を残すことが可能です。

詳しくは債務整理案件を多く扱っている弁護士にご相談ください。

次回は自動車ローンの残っていない車についてご説明したいと思います。

続・コロナウイルスの影響

先日,名古屋地方裁判所へ行ったところ,傍聴席のいたるところに「使用できません」と張り紙がしてありました。その法廷には窓もなく,換気もしにくそうな感じでしたので,座ることができる席と席との間に間隔を広く取って感染防止を図っているものと思われます。

また,先月のブログで予想した通り,名古屋地方裁判所本庁において行われる集団免責審尋の手続きが中止となりました。その代わりに,書面にて申立書に誤った記載がされていないか,申立後に新たな借り入れをしていないか,住所等の変更はないかなどの確認がなされ,再び破産することがないように考えていること,実行していることを記載して裁判所に提出する運用がなされています。破産する方にとっては,平日の日中に裁判所へ行く必要がなくなるため,負担はかなり減ったように思います。こういった状況がいつまで続くかはわかりませんが,運用が変わった場合にはまたブログに掲載しようと思います。

また,最近コロナの影響で収入が減ってしまい,債務整理を検討しなければならなくなってしまった方の相談も増えています。収入が減り,借金の返済が難しくなってしまった場合には,早めに弁護士にご相談ください。

過払金が発生する仕組み

こんにちは。10月に入り,名古屋でも朝や夜は少し肌寒い季節になってきました。気温の変化で体調を崩されないようお気を付けください。

さて,今回はテレビや電車の中の弁護士事務所の広告等でよく見かける過払金ついて,そもそも過払金はなぜ発生するのか,という仕組みをご説明します。

⑴ 従前の法律の規定

まず,お金を貸す際につける利息については,利息制限法と出資法という法律がありました。

利息制限法では,利息の上限が定められており,元本が10万円未満であれば年20%まで,10万円~100万円未満であれば年18%まで,100万円以上であれば年15%までと規定されています。

また,改正前の出資法では,利息の上限は年29.2%までとされていました。

貸金業者が出資法の上限利息を超える利息を付けた場合,刑事罰の対象とされていましたが,利息制限法の上限利息を超えても刑事罰や行政処分の対象とはされていませんでした。

また,旧貸金業法には,一定の要件を満たす場合には,利息制限法を超えた利率で利息の支払いを受けたとしても,有効な弁済があったとみなすこと(みなし弁済)が認められていました。

そのため,多くの貸金業者は刑事罰を回避するために出資法の上限利息の範囲内には収めるけれども,利息制限法の上限利息を超えるような利率で貸付けを行っていました。この出資法の上限利息と利息制限法の上限利息との間の金利帯はグレーゾーン金利と呼ばれていました。

 

⑵ 最高裁判例と法改正

しかし,平成18年1月13日の最高裁判例において,旧貸金業法のみなし弁済が実質的に否定され,その後貸金業法,出資法の改正がなされ,グレーゾーン金利が撤廃されました。

⑶ 過払金の発生

このように,みなし弁済が実質的に否定されたことから,利息制限法を超えた部分の利息については,「借金を払いすぎていた」ことになるため,過払金として返還請求ができるようになりました。

次回は,どのような場合に過払金が請求できるかを詳しく見ていきたいと思います。

自己破産はどのような方に適しているか

こんにちは。すっかり夏の天気になり,私の住んでいる名古屋でも連日30度を超える厳しい暑さとなっています。皆様も熱中症にはくれぐれもご注意ください。

さて,今回は,自己破産についてどのような方に適しているのかをご説明したいと思います。もっとも,任意整理及び個人再生のところでは,それぞれの手続きのメリットをご紹介し,どのような方に適しているのかをご説明いたしましたが,自己破産の場合には逆にこういう方は自己破産すべきでない,というご紹介の仕方になります。

そもそも自己破産とは,裁判所を通じた手続きによって,借金の金額をゼロにしてもらうこと(「免責」といいます。)をいいます。

その最大のメリットは,やはり借金がゼロになるため,任意整理や個人再生とは違って手続き終了後に返済をする必要がなくなるということです(もっとも,滞納した税金や養育費,不法行為による損害賠償義務など,破産によっても免責されないものもあります。)。

ただし,このような大きなメリットをもたらす手続きですから,破産をする場合には様々なデメリットやリスクがあります。

①免責不許可事由があると破産が認められない可能性がある。

免責不許可事由とは,破産の申し立てをした方にそのような事情があった場合に,裁判所が免責を許可しないことができる事由のことをいい,例えばギャンブルや投資によって借金を増やした場合や,クレジットカードで購入した商品を決済が済まないうちに売却して現金化した場合などが挙げられます。

もっとも,免責不許可事由があっても,裁判所の裁量で免責許可が得られることもありますので,免責不許可事由があっても破産できる可能性はあります。

②財産が取られてしまう。

破産の申し立てをした方が,不動産や自動車などの価値の高い財産を持っている場合,それらの財産が処分されてしまい,債権者への配当に充てられてしまう可能性があります。

もっとも,すべての財産が取られるわけではなく,99万円以下の金銭や生活に不可欠な家財道具は,自由財産として手元に残すことも可能です。

自己破産をしても残すことのできる財産についてはこちらをご覧ください。

③破産をするとできない職業がある。

警備員や保険の募集人などは,破産をするとその職業に就くことができなくなってしまいます。

したがって,それらの職業で生計を立てている方は,破産をすることで職業を失ってしまうことになりますから,破産を避けるか,別の職種へ転職する必要があります。

自己破産をすると影響のある資格・職業についてはこちらをご覧ください。

以上より,破産をすると就くことができない職種に就いておらず,特に処分されて困るようなめぼしい財産もなく,かつ免責不許可事由にもあたらない方は,自己破産が適しているといえます。

また,免責不許可事由に該当していても,裁判官の裁量で免責許可が得られる場合もありますから,任意整理や個人再生では返済のめどが立たない場合には,自己破産を選択するのもよいかと思います。

ただし,ここでお話しした内容は簡単な一般論にとどまり,どの方針をとるべきかは個別具体的な判断が必要となります。

債務整理でお悩みの方は,弁護士法人心までご相談ください。

個人再生はどのような方に適しているか

先月は,任意整理はどのような方に適しているかというタイトルで,任意整理のメリットについてお話しさせていただきました。今月は個人再生についてお話したいと思います。

まず,そもそも個人再生とは,裁判所を通じた手続きによって借金の金額を減らしてもらい,分割によって完済を目指す手続きです。

メリット① 借金の金額を減らすことができる

任意整理の場合には,利息をカットできる可能性はありますが,借金の元本は減りません。

他方で,個人再生の場合には,借金の金額が,100万円か,5分の1か,清算価値(自分の財産をすべて処分した場合に得られる金額)のいずれか高い金額まで減額されます。例えば,借金の金額が1000万円あり,財産がほとんどない方は200万円まで減額され,借金は1000万円あるが,300万円の財産がある方は300万円まで減額されます。

また,分割弁済の期間は原則として3年間で,特別の事情が認められれば最大5年間まで延長することも可能です。

メリット② 家を残すことができる

個人再生の大きな特徴の一つとして,住宅ローンが残っている状態で個人再生をしても家を残すことができるという点です。したがって,借金の金額が多く任意整理では払いきることができないが,家を残したいという方は,個人再生が適しているといえます。

メリット③ 免責不許可事由があっても個人再生できる

自己破産の場合,投資やギャンブル,浪費等によって借金を増やした場合など,免責不許可事由に該当する事情がある場合には破産が認められないことがあります。もっとも,個人再生の場合には,免責不許可事由があっても認められますので,免責不許可事由に該当する方でも借金を整理することができます。

したがって,借金の金額を減らさないと完済はできないが,ローンを組んだ家は残したいという方,投資やギャンブル,浪費によって借金を増やしてしまったが,整理をしたいという方は個人再生が適していると考えられます。

個人再生をお考えの方は,弁護士にご相談ください。

個人再生に関する名古屋駅法律事務所のサイトはこちら

任意整理はどのような方に適しているか

今年のゴールデンウィークは,史上最大の10連でした。いかがお過ごしでしたでしょうか。

さて,先月のブログで借金の整理の方法は大きく分けて3つあるとのお話をさせていただきました。借金の整理をお考えの方にとって,自分はどの方針をとったらよいかわからないという方のために,それぞれの方針についてのメリットをご紹介したいと思います。

今回は任意整理についてお話します。

メリット① 家族に内緒で借金の整理ができる

借金問題は,家族や近しい友人などにも打ち明けにくいものだと思いますから,借金の整理についても誰にも知られずに終わらせたいという方もいらっしゃるのではないでしょうか。任意整理は,裁判所を通じた手続きではなく,弁護士と各貸金業者や銀行等(以下,「債権者」とします。)が個別に交渉し分割返済の約束をする手続きですから,家族にも知られずに行うことが可能です(もっとも,債権者が訴訟提起するなどした場合には,自宅に裁判所からの書面が届いてしまう場合があります。)。

メリット② 月々の返済金額や利息を減らすことができる

借金問題でお困りの場合,返済金額が多くて生活が回らない,毎月返済をしているがそのほとんどが利息に充てられてしまい元本がなかなか減らないというケースが多く見受けられます。任意整理では,借金の利息を免除(減額)してもらい,元本を長期間(目安としては3年~5年)で分割返済する合意を目指すことになります。したがって,任意整理によって月々の返済金額が減り,また利息が免除(減額)されることで完済までの見通しを立てることができます。

メリット③ 費用を安く抑えられる

個人再生や自己破産の場合,着手金だけで数十万円ほどかかりますが,任意整理では比較的費用を安く抑えることができます。なお,弁護士法人心の場合,着手金は1社当たり3万9800円+税,成功報酬金は0円です。

メリット④ 資料集めや書類作成の手間がない

個人再生や自己破産の場合,裁判所に提出しなければならない資料がたくさんあります。弁護士に依頼した場合でも,資料集めや家計の状況などについてはご自身で作成しなければならないものもあって手間がかかりますが,任意整理の場合にはそれらの負担がありません。

任意整理に要する期間についてはこちらをご覧ください。

来月は,個人再生のメリットについてご紹介したいと思います。