あおり運転と殺人罪

弁護士の松岡です。

7月も中盤に入り,暑さも本格的になってきました。私の住んでいる名古屋でも連日の猛暑日で,丸の内の駅から裁判所まで少し外を歩いただけでも汗がにじんできます。熱中症で運ばれたり亡くなられる方もいらっしゃるようですので,皆様も熱中症にはお気を付けください。

さて,最近の気になるニュースとして,あおり運転でバイクに追突し,乗っていた大学生を死亡させた事件について,検察庁は殺人罪で起訴したことがあります。

通常交通事故は前方不注視やハンドル操作ミス等の「過失」によって発生するものであることから,被害者を死傷させた場合,過失運転致死傷罪等の過失犯が適用されます。これに対して,殺人罪は,相手を殺してやろうとか相手が死んでしまってもかまわないといった「故意(殺意)」がある場合にしか適用されないので,交通事故で故意犯である殺人罪で起訴した点は異例といわれており,被告人に故意(殺意)があると検察側が立証できるかどうかが大きな争点となりそうです。

あおり運転の危険性が叫ばれる中でこのような悲惨な事件が起き,このような事故が無くなることを祈るばかりですが,今後もこの事件には注目してみたいと思います。