家事従事者の休業損害②

こんにちは。名古屋の弁護士の松岡です。

今年の夏は特に暑かった印象ですが,ここ最近は風が肌寒くも感じるようになってまいりました。急な気温の変化に体調を崩しやすい季節ですので,皆様も体調には十分お気を付けください。

さて,前々回お話しした家事従事者の休業損害の続きです。前々回は,家事従事者の休業損害の算定方法についてお話しいたしましたが,今回は家事への支障をどのように主張したらよいのか,という点に触れたいと思います。

まず,事故前に比べて家事ができなくなってしまった,と抽象的に主張するだけでは不十分です。具体的にどのような家事に,どのような支障が生じてしまったのかを主張する必要があります。例えば,事故前は毎日食事を作っていたが,長時間立ちっぱなしだと首や腰の痛みが強くなってしまうので事故後はお弁当やお惣菜を買う機会が増えた,事故前は毎日掃除機をかけていたが,事故後は腰の痛みから前かがみになることができず週に1回に減ってしまった,事故前は一人で買い物に出かけていたが,事故後は重い物を持つことができなくなってしまったため夫に代わりに行ってもらうようになった,などです。

これらの事情は客観的な証拠で立証することはなかなか難しく,当事者の主張においてどれだけ説得的な事情を集められるかが重要になると思います。もっとも,このような事情を後から思いだすことはなかなか難しいので,事故に遭ったばかりの方や現在通院中という方は,事故後から日常生活で家事をするときに,事故前と比べてできなくなってしまったことや誰かに代わりにやってもらったことがあればメモしておくことをお勧めします。