今年も愛知県弁護士会主催のサマースクールの中高生模擬裁判に弁護人役として参加しました。
今年は,大学のソフトボール部が舞台でした。被告人が,監督に「気合が足りない」と言われてビンタを受けて倒れこんでしまい,さらに監督からソフトボールを投げつけられそうになったところ,近くに置いてあったバットで監督の脇腹を殴り怪我をさせてしまった,という事案でした(弁護人役が染みついているのか,被告人に有利な事実認定を前提とした説明になってしまっています。)。
争点としては,被告人がバットで殴った行為は正当防衛に当たるかという点で,そもそも被告人は最初から監督にビンタされることが分かっていて,これを機に監督に暴行を加えてやろうと計画していたのではないか(積極的加害意思),防衛行為としての相当性はあるかといった内容を議論してもらいました。
中高生にも身近な問題である部活動の指導者による体罰を取り扱ったため,生徒たちも真剣に議論をしているのが印象的でした。生徒たちからは,自分が厳しい指導者に口頭で怒られた時の体験談を踏まえ,口頭で怒られている時でさえ通常の精神状態ではいられないのに,今回の被告人のように監督にビンタをされる状況下では,冷静な判断はできずバットで殴ることもやむを得なかったのではないかといった意見が出た一方で,バットという道具の危険性を指摘し(当たり所が悪ければ監督は死んでいたかもしれない),相当性を否定する意見も出ました。
サマースクールでは,答えのない問題について,自分の意見を述べ,他人の意見を聞いた上で,結論を考えてもらうことに主眼を置いています。生徒たちにとって,よい経験になったのであれば幸いです。
話は変わりますが,当法人も新しい弁護士,スタッフが加入しましたので,ホームページの集合写真を更新しました。
今後とも皆様のお力になれるよう,尽力してまいりますので,よろしくお願いいたします。