個人再生における清算価値②

前回に引き続き、個人再生における清算価値について触れていきます。今回は、清算価値を算出するための資料について説明していきます。

⑴現金・預貯金

現金については、あまり資料を提出することはなく、自己申告であることがほとんどです。しかし、直前の家計の収入・支出の状況からみて、所持していると考えられる金額と、申告された金額との間に乖離がある場合には、裁判所から財産隠しを疑われてしまうので、正確に申告するようにしましょう。

預貯金については、通常、通帳のコピーや銀行のスマホアプリ等の画面を提出して、現時点で残っている金額の資料とします。

⑵ 不動産

不動産の資料としては、登記簿謄本、固定資産税評価証明書が必要となります。また、不動産の価値をより細かく算定する必要がある場合には、不動産業者の査定書を提出する場合もあります(当職を含め、債務整理を良く取り扱っている弁護士であれば、不動産屋さんの知り合いが複数いるので、弁護士経由で査定を依頼することもできます)。

⑶保険解約返戻金

保険の解約返戻金額については、保険証券の中に記載がある場合もありますが、記載がなければ保険会社に問い合わせて、返戻金額の証明書を発行してもらう必要があります。

⑷自動車

名古屋地方裁判所の運用では、初年度登録から7年以上経っている国産車で、新車価格が300万円以下の車の価値はゼロと評価されます。それ以外の車については、中古車業者の発行する査定書、日本自動車査定協会(有料)の発行する査定書、ネット上の中古車市場で似たような車を探して資料として提出する、などの方法で、自動車の価値を算出します。

⑸退職金

退職金については、会社に退職金支給見込額証明書を作成してもらい、資料として提出するか、退職金規定など退職金の額を計算できるものを資料として提出する必要があります。

このように、個人再生では様々な資料の提出を求められます。個人再生をお考えの方は、弁護士にご相談ください。