良いお年をお迎えください。

2023年も残るところあと少しになりました。今年は、名古屋地区だけではなく、岐阜地区での債務整理案件も多数担当させていただきました。

名古屋と岐阜は、距離的には近いですが、裁判所の運用が異なっている部分もありました。例えば、名古屋地裁であれば、破産・再生を受任した直後の段階で債権者から届いた債権調査票(現在の債務額が取引の履歴が開示された書類)を提出すれば問題ありませんが、岐阜地裁では、申立前6か月以内に発行された債権調査票を提出する必要があります。そのため、依頼してから申立てまでに6か月以上要する場合には、申立直前に再度、各債権者から債権調査票を送ってもらう必要がある場合があります。最近では、債権調査票を開示するために手数料を請求してくる債権者もちらほら出てきていますので、金銭的な負担が増える場合もありますし、弁護士としても再度債権調査票の発行を依頼する手間がかかります。

また、破産管財事件における債権者集会において、裁判官から破産する方に対して質問がされることがあり、破産に至った原因をどう考えているか、二度と破産しないようにどのようなことを気を付けているかなどについて質問されることがあります。名古屋地裁の裁判官は、比較的穏やかな聞き方をしてきますが、岐阜地裁は割と深く突っ込んだ質問をしてくる印象があります(※あくまで個人的な印象ですし、裁判官によっても異なるとは思います。)。ただ、これも債権者集会の場でしっかりと反省を促して、二度と借金等をしないようにさせたいという親心なのだろうと思います。

2024年も多くの人の助けとなるべく、尽力してまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

個人再生における清算価値③

個人再生における清算価値を計算する上で、漏れが生じやすい財産があります。その一例を紹介していきます。

⑴名義預金

例えば、親が子供名義で銀行口座を開設し、そこに少しづつ貯金を貯めているという場合があります。このような預金を名義預金と呼びます。名義預金については、親が口座を管理していて、子供がその口座の存在を知らないという場合もあるため、清算価値を計算する上で漏れやすい財産になりますが、個人再生をする方名義の預金であれば、基本的には清算価値として計上すべきものということになります。

⑵名義変更未了の相続不動産

親が亡くなり、その親が不動産を持っていたが、遺産分割協議をしておらず、親名義のままになっている不動産が見つかることがあります。この場合、相続放棄の手続きをしてある、又は親の死亡を知ってから3か月以内に相続放棄の手続きをとれば問題ありませんが、相続放棄の手続きをとっていない場合、法定相続分に従ってその不動産の持ち分を持っていることになります。したがって、不動産の持ち分に相当する価値が、清算価値に加算されますので、注意が必要です。

⑶親が加入している保険

⑴の名義預金と似たような話ですが、親が子供のために保険に加入していることがあります。掛け捨ての保険であれば問題ないですが、積立て型も保険の場合、解約した際に返戻金というお金が戻ってくることがあります。親がお金を払っていたとしても、基本的には個人再生をする方名義で加入した保険であれば、清算価値に含めるよう裁判所に指示される可能性が高いです。

個人再生を申立てする際には、このような財産に漏れがないか、場合によっては親御様に聞いていただくなどして確認するのが無難です。

名古屋市内で弁護士をお探しの方は、当法人までご相談ください。