会計の世界では、発生主義と現金主義という考え方があります。
発生主義とは、現金が動いていなくても、売上や費用の支出額が確定した=発生した日を基準に計上するやり方です。
これに対して、現金主義は、現金が実際に動いた日に計上するやり方です。
会計の世界では、基本的に発生主義を基準に動いています。
これを、税法の世界では、権利確定主義という用語で説明されています。
権利確定主義とは、「収入すべき法律上の権利が確定したときの金額」が所得税法36条1項の「収入すべき金額」と解釈する考え方です。
会計の世界と矛盾がないように整合性をとっています。
実は、法律の世界では、このような権利確定主義≒発生主義のような考え方があまりないため、非常になじみにくく、所得税法を勉強し始めた学生や弁護士が最初に????と混乱する場面でもあります。
これを勉強した弁護士であれば、「ならば、色んな条件を付けた契約書を作成して、限りなく現金主義に近い形を実現しよう。」と考える方もいるかもしれません。
これは、金子先生の提唱した無条件請求権説が似たような発想で、権利確定主義の権利が確定したとは、請求にあたって受け取る側がやるべきことを全て終えて無条件に収入を請求することができるようになったとき、を権利確定とすべきという考え方ですね。
ただ、さすがに判例は無条件請求権説までは採用していないので、弁護士が契約書を理由に権利はまだ確定していないと主張する際には、慎重な判断が求められるかと思います。