相続税対策でアパート建築をする場合の注意点

東海地方を中心に,弁護士兼税理士として色んなところで相続のセミナーを行わせていただいています。

そこで,参加者の方と色々お話をさせていただくのですが,すでに相続税対策でアパート建築をされている方もたくさんいらっしゃいます。

不動産の評価減は相続税対策のなかでも非常に効果が高いので,不動産業者や金融機関に勧められて実行されている方が割と多い印象です。

ただ,そのなかでも注意が必要なのが,「サブリース契約」です。

「不動産業者が一括借り上げするから安心ですよ。」,「空室があっても30年家賃保証しますから空室リスクがありませんよ。」

こんな甘い言葉に惑わされていませんか?

サブリース契約には,メリットもありますが,デメリットも多いです。

まず,手数料が高い。

通常,アパートの大家さんが管理会社に支払う手数料は,家賃の3~5%が一般的ですが,サブリースの場合は20%近くの金額を設定しているところもあります。

また,更新料や礼金もサブリース業者側が取得し,大家には一銭も入っていないところもあるようです。

次に,家賃保証は永続しない。

家賃保証をうたうところは多いですが,契約書には必ず,「家賃の金額を見直すことができる。」との文言が入っています。

常套句としては,「人気エリアだから周りの家賃が上がったら,お客様のところも家賃を上げますね。」という言葉ですが,築年数がそれなりに経過し,不人気物件になってくると家賃を下げざるを得ませんので,その際に使われます。

そして,大家側が家賃を下げられるとローンが返せなくなるから下げるのは困る,と反対すると,「では契約を終了します。」という形でサブリース契約を終了されることも少なくありません。

新築物件の場合は,新築プレミアで客付けしやすい人気物件となることが多いので,手数料の高いサブリース契約にするメリットはないように思います。

もちろん,築年数がそれなりに経過し,客付けに苦戦することも予想されるような物件であればサブリース契約をするメリットがありますので,その場合は考えてもよいかもしれません。

ただ,サブリース契約は,一度契約してしまうと,大家側ではなく,業者側が借地借家法で強力に守られますので,契約する前に,不動産に詳しい弁護士に相談されることをお勧めします。