前回、相続税の法改正で生前贈与が難しくなる、課税が強化されるかもしれないというお話しを紹介させていただきました。
今回の改正の理由について、当時の甘利大臣は暦年贈与を行っていた人と行っていなかった人で相続税額が変わるのは不公平だから、という理由を説明していたようです。
ただ、「不公平」という観点で考えると、実は非常に不公平に思える相続対策を行うことができる方がいます。
それは、政治家です。
実は、日本の政治家は政治団体・資金管理団体を活用して、合法的に無税で財産を親から子へ承継させることができます。
政治団体は、法的には「権利能力なき社団」と解釈されています。
実は、この政治団体を利用し、親の政治団体から子の政治団体へ「寄付」という方法で資産を移動させた場合、法人税・贈与税・相続税のいずれも課税されることがないのです。
ただ、政治団体間の寄付は、政治資金規正法によって年間5000万円までとされています。
・・・が、実はこれは「政治団体1つにつき」ですので、政治団体が多ければ多いほど、無税で財産を移動させることのできる金額は増えるんですね。
親子の2世議員が多い理由もこれを読むとわかっていただけるかと思います。
ですので、私なんかは、政治家が「相続税を課税される人と課税されない人で不公平だ。」なんて理由付けをしているところを見ると、「なんだかなぁ・・・」という気持ちになります。
なお、これらの方法は、いずれも合法ですので、国会答弁で質問をされたとしても、「法律の範囲内で適法にやらせていただいております。」との答弁が可能です。