16日の夕方頃に、令和5年の税制改正大綱が発表されました。
相続税との関係では、変わったポイントは大きく2点です。
1点は、贈与した財産について、みなし相続財産として適用される期間が延長されることとなりました。
現在の法律では、亡くなる前、3年以内に贈与した財産は、贈与がなかったものと取扱われて「みなし相続財産」ということになり、相続税の課税対象となっています。
この遡る期間が3年から7年へ延長されることとなりました。
ただ、亡くなる前3年以内の贈与により取得した財産は、そのままの額が相続税の課税価格に加算されますが、4年~7年遡る分の贈与により取得した財産は、100万円を差引いた残額が加算されるようです。
相続財産とみなされる期間は延長されましたが、まだまだ生前贈与は有益な相続税対策といえますので、早めに始められることが効果的です。
2点目は、相続時精算課税制度について
現在の法律では、相続時精算課税制度を一度利用すると、暦年贈与を利用した際に贈与税が課税されました。
つまり、110万円の贈与税の基礎控除枠が使用できなくなる、ということになっていました。
この点について、税制改正大綱では、相続時精算課税制度を利用した場合でも、110万円の基礎控除枠が利用できるようです。
また、それだけでなく、相続時精算課税制度を利用した方については、どうやら1点目に記載したみなし相続財産とする持戻しの制度を適用しないようですので、相続時精算課税制度を利用した方が得になるように読めます。
細かい運用は、法律が改正された際にはっきりすると思いますが、納税者側では、7年間の贈与の記録やそのお金を使い切ってもいいものなのか、けっこう悩ましい場面がでるのではないかと思っています。
相続税の申告や相続税対策にお悩みの方は、税理士法人心・弁護士法人心までお気軽にご相談ください。