ネットバンク、ネット証券、仮想通貨、マイル、ポイント、電子書籍など、実際の「物」は存在しないものの、財産的な価値のあるいわゆる「デジタル遺産」はとても増えました。
この「デジタル遺産」の相続における取扱いが最近問題になりつつあり、今後も増えることが予想されます。
現時点での問題点は、大きく3つかと思われます。
1 そもそもデジタル遺産が見つからない
ネットバンク、ネット証券、仮想通貨などを家族がやっていたことは知っていても、最近では通帳や株券などの現物が手元に送られてくることが少なくなっているため、家族がその存在に気がつかないこともよくあります。
その際に手がかりとなるのが故人のスマホです。
しかし、そもそもスマホにログインできなかったり、スマホはログインできても、各サイトやアプリにログインすることができずに、故人の遺産がどこにどれだけあるのかわからないことがあります。
2 財産的な価値がわからない
デジタル遺産のなかには、サービスの利用規約によって、亡くなった場合、相続人には引き継がれない旨が規定されているものもあります。
ただ、サービスによって、利用規約にはそのように定めているものの、相続人から連絡があった場合には、個別に引継等の対応をしているサービスもあるようです。
ご不明な場合は、サービス提供者に連絡してみるか、相続に詳しい弁護士に相談することをお勧めします。
また、マイルやポイント等のなかには、額面の数字と金額が必ずしも一致しないものもあります(例えば、500ポイント=100円、500ポイント=1,000円の旅行券など)。
そのような場合、ポイント数によっては財産的な価値が認められ、相続税の課税対象となることがあります。
評価額がご不明な場合は、相続税に詳しい税理士に相談しましょう。
3 金銭的な価値はないが大切な思い出がある場合
例えば、Twitter、Facebook、Instagram、TikTokなど、家族の大切な写真や映像がSNS上に残されていたり、スマホのなかに写真や映像が残されているけれども、IDやパスワードがわからずに保存ができないということがあります。
最近では、SNS提供者が家族にアカウントや保存されているデータの引継サービスを行っているところもあります。
また、Apple社は2021年の12月頃のiOSのアップデートで亡くなった家族のAppleアカウントにアクセスできるようにする手続きを始めています。
ご生前の間に、「この人ならアクセスしても良い」という方をあらかじめ決めておくサービスもあるようですので、お元気なうちに調べておくことをお勧めします。