弁護士として相続のお仕事では、相続税がいくらになるのか考慮に入れておかなければ、適切な解決をすることはできません。
ですので、相続税の概算がすぐに計算できなければなりません。
まず、相続税は、遺産のうち、プラスの財産からマイナスの財産を差し引き、基礎控除額を差し引いた金額が0円よりも大きければ相続税がかかります。
プラスの財産とは、現金、預貯金、土地、建物、株式、投資信託等の他、相続税を計算するうえでは、生命保険金や死亡退職金、亡くなる前3年以内に贈与した財産等も相続財産とみなされます。
マイナズの財産とは、お葬式費用や借金です。
令和4年現在の基礎控除額は、3000万円+600万円×法定相続人の人数です。
例えば、現金300万円、預貯金2000万円、土地・建物4800万円、株式1000万円でプラスの財産が合計8100万円。
お葬式費用100万円でマイナスの財産が100万円。
4人家族で父親が亡くなり、相続人が妻・子2人の合計3人の場合の基礎控除額は、3000万円+600万円×3人=4800万円。
8100万円-100万円-4800万円=3200万円>0円で相続税がかかります。
この3200万円を法定相続分で分けたと仮定したうえで、速算表に基づき税率を乗じ、控除額を差し引きます。
※相続税率の速算表
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4155.htm
先ほどの事例でいうと、
妻 :3200万円×1/2×15%-50万円=190万円
長男:3200万円×1/4×10%=80万円
長女:3200万円×1/4×10%=80万円
合計:190万円+80万円+80万円=350万円
が相続人全体での相続税になります。
これは、全く何も相続税を安くする特例を使っていない状態の金額ですが、特例等を使うことができないと、この金額を納めなければならなくなってしまいます。
次回は、更に細かい相続税の計算方法について記載します。