10月1日から、改正されたプロバイダ責任制限法が施行されます。
改正のポイントは何点かありますが、そのうちの大きな1点が、発信者の特定までの手続きの短縮化です。
これまでは、
①SNS等に権利侵害文が投稿される
②弁護士に相談
③弁護士がSNS事業者等に対し発信者の通信記録の開示請求(裁判手続)
④開示されたIPアドレスを元にWhoisでプロバイダ・携帯会社等を特定
⑤プロバイダ・携帯会社等に対し発信者の住所・氏名等の開示請求(裁判手続)
との流れを踏まえる必要がありました。
ここでネックになっていましたのが、プロバイダや携帯会社が、発信者が特定できるような通信情報を保存している期間に限りがあるにも関わらず、③・⑤と2回の裁判手続きを経なければならないという点でした。
特に、SNS事業者等が海外企業の場合は、③の手続きに約3か月ほどかかることもありました。
プロバイダや携帯会社等のなかには、早ければ3か月ほどで通信情報を削除しているところもあるようですので、開示請求をしたものの、通信情報が無いため開示ができないということがありえました。
今回の改正法では、③の開示請求の際に、プロバイダ・携帯会社等が、どこの会社なのか教えて欲しい、との提供命令申立ができるようになりました。
これにより、③を終えてから④を行うということをせずとも、⑤ができるようになり、手続きが一体化されたと言われています。
③の申立てから、提供命令の発令までは、約2週間ほどといわれていますので、これまで③の手続きに約3か月かかってからでなければ、④ができなかった頃と比べると、時間の短縮になったといえます。