自転車運転での罰則強化

道路交通法が改正され、11月から自転車運転中にいわゆる「ながらスマホ」をする行為や、酒気帯びでの自転車運転の罰則が強化されました。

ながらスマホは、これまで5万円以下の罰金であったものが、6か月以下の懲役または10万円以下の罰金になりました。

さらに、ながらスマホによって交通の危険を生じさせてた場合は、1年以下の懲役または30万円以下の罰金となっています。

自転車の酒気帯び運転は、3年以下の懲役または50万円以下の罰金となっています。

自転車の飲酒運転をするおそれがある者に種類や自転車を提供したりすることも禁止されています。

居酒屋では、自動車で来店していないかということの他に、自転車で来店していないかという点も確認が必要となりますね。

また、最近では、スマホでのレンタル自転車も増えており、私も弁護士業務や税理士業務の際に利用することがありますが、その利用の際にも、「酒気帯びではないこと」などの確認が求められるようになるかと思います。

すでに、レンタルする際にそのような確認事項を表示してタップさせるアプリもでてきていますね。

個人的には、スマホを見ながらの自転車運転は目隠し運転と同じですし、イヤホンをつけての運転は耳栓しての運転と全く同じだと思っていますので、このような危険な運転をする人が減ってくれる分には歓迎すべきかと思っています。

 

ノーベル賞の賞金に所得税はかかるのか?

弁護士・税理士の小島です。

50年ぶりに日本でノーベル平和賞の受賞が発表されたようです。

賞金の話をするのも下世話な感じもしますが、今回は、賞金に税金はかかるのか?という観点で記事を投稿したいと思います。

現在のノーベル平和賞の賞金は、1100万スウェーデンクローナ(約1億6000万円)のようです。

賞金も、経済的な利益であることに違いはないので、通常であれば所得税がかかるようにも思えます。

ただ、実は、ノーベル賞に基づく賞金は課税対象外になっています。

これは明確に法律上定められております。

所得税法では、第9条に非課税の規定が定められています。

ノーベル賞に関しては、同法律の第1項第13号ホに規定があり、「ノーベル基金からノーベル賞として交付される金品」は所得税を課さないこととされています。

仮に、この規定がなかった場合、ノーベル賞の賞金は一時所得になるでしょうから、金額的にも半分近くは所得税がかかったものと思われますので、本規定の影響はかなり大きいといえます。

ちなみに、似たような非課税規定として、オリンピックやパラリンピックで特に優秀な成績を収めた者に対する表彰金なども対象となっています。

裁判所にも夏休みがある

あまり知られていないことかもしれませんが、裁判所にも夏休みというものがあり、8月中は夏期休廷期間が設けられています。

その間は、弁護士も法廷が開かれないため、裁判手続を行うことはできません。

すべての裁判手続を行うことができないというわけではなく、仮差押えなどの緊急性の高い案件は動いています。

また、刑事に関しては、特に関係なく休みにはなっていません。

もちろん、すべての裁判官が休みというわけではなく、部や係の単位で順番に休みをとるそうです。

とはいえ、休み中に旅行等へ行く裁判官もいるでしょうが、たまった判決を起案し、休み明けに処理ができるよう奮闘されている方も結構な数いらっしゃるようです。

これは、夏休みだけでなく、たまった休みをとることができる年末年始も同様のようです。

違う話にはなりますが、夏休みの期間には、小中学校の宿題の提出の一環として、裁判所で傍聴をする学生もいるようです。

また、最近では最高裁や、地方の裁判所でも、夏休みに裁判所見学会などのコースも用意して、そのような見学ツアーも行っているようです。

私自身が子どものころに参加したことはありませんが、確かに裁判所で妙に小さい子(小中学生くらい)がいるなと思ったことはあります。

 

確定申告は口座振替がオススメ

弁護士・税理士の小島です。

確定申告の期限から1か月ほど経ちましたが、実は、合法的にまだ納税をしなくてもよい方達がいます。

それは、確定申告の納付方法を「振替納税」にされている方です。

振替納税以外の場合は、所得税の場合は、申告期限と同じ令和6年3月15日までに納付する必要がありました。

ですが、振替納税にされている場合は、令和6年4月23日に引落しがなされます。

つまり、1か月以上、納付のタイミングを後ろ倒しにすることができます。

個人事業主の場合は、消費税も同様に後ろ倒しにすることができます。

令和5年分の消費税の納付期限は、令和6年4月1日でした。

ですが、こちらも振替納税の登録をされている方の場合は、令和6年4月30日が引き落とし日になっています。

つまり、約1か月ほど、納付のタイミングを後ろ倒しにすることができます。

口座振替以外の方法の場合、税理士から申告書をもらったり、納付金額を教えてもらったり、納付書を送ってもらうことで、ようやく納付をすることができます。

ただ、どうしても確定申告時期は件数が大量に寄せられるため、例えば納付期限の一か月前に納付書をお渡しする・・・などといった、余裕をもった処理は難しくなってしまいがちです。

口座振替の場合は、納付書の到着を待つ必要がありませんし、例えば平日15時までに銀行に駆け込む、といったことも必要なくなります。

なにより、納付を忘れることがありませんので、延滞税の心配をする必要もなくなります。

口座振替のメリットは大きいので、ぜひ登録されることをお勧めします。

 

6月から定額減税がスタート

税理士・弁護士の小島です。

確定申告はようやく終わりましたが、6月の定額減税制度に向けて、私自身、現在勉強しているところです。

定額減税は、令和5年12月の税制改正大綱で導入が公表され、とりあえずは令和6年分に関して実行されるようです。

なかみとしては、対象者は、毎月、(所得税3万円+住民税1万円)×対象となる本人や家族の人数分、税金が安くなるという制度です。

税金が安くなるという意味では、納税者にはありがたい制度ですが、個人事業主や法人の方では、対象者が誰かを6月までに把握し、計算し、毎月の給与計算に反映させなければならないため、事務負担が圧倒的に増えてしまい、非常に評判が悪い仕組みでもあります。

年末調整や確定申告の際に、一律に計算するということにした方が、よほど事務負担は軽減されるはずなのですが、どうも給与明細に反映させることで、サラリーマンに定額減税の恩恵を認識させたい、という意図を感じるような仕組みになっています。

事業規模の小さいところでは、ご自身で給与計算をしているとこもあるかと思いますが、そのようなところは、早めにご自身で勉強するか、給与計算ソフトを導入する、顧問税理士や社労士にお願いする等の対応を検討された方がよいかと思います。

国税庁のパンフレットやQ&Aも見ていますが、正直、非常に複雑に例外が設けられており、ちょっと顧問税理士に聞いたら教えてもらえる・・・ということでは済まないような仕組みになっています。

 

電子帳簿保存法がスタート

 

1月1日から、電子帳簿保存法がスタートしました。

帳簿書類や経理書類の電子化が、スキャナ保存が・・・などと騒がれていた法律ですが、大きく変わる点としては、電子で送られてくる請求書や領収書等を電子で保存する必要がある、という点です。

今ある紙の領収書や請求書をすべてスキャンしてデータで保存することまでは求められていません。

ただ、アマゾンや楽天などのWebの通販サイトで購入し、領収書が紙で送られてくることはなく、電子データでメールで送られてきたり、自らサイトにアクセスしてダウンロードするようなサイトの場合は、PDF等の電子データでの保管が義務づけられることになります。

これまでは、そういったサイトからダウンロードしたうえで印刷して保管されていた方もおられたと思いますが、1月1日以降から、印刷して保管するという方法ではNGとなりました。

実務的には、これが業務効率化に資するかというと、むしろ逆です。

すべての請求書・領収書がデータで送られてくるようであれば、この方法で構わないと思いますが、現実的には、中小企業の間では、ほとんどが紙で請求書を送ったり、FAXで送受信していたりするなどしており、紙をなくすことができていません。

弁護士も、書籍を購入した際など、紙で領収証を渡されます。

結果として、紙とデータの二重管理にならざるをえず、探す際には両方を探す必要がでてくるため、面倒になったな、というのが正直なところです。

 

インボイス対応は大変

10月から始まったインボイスが早くも2か月ほど経過しました。

お客様からも色々とお問い合わせを受けますが、実務上もけっこう手間暇が増えて大変です。

本則課税事業者の場合、一部の例外を除いて、どれだけ細かい領収書や請求書であったとしても、インボイス対応ができているかどうかを判別する必要があります。

また、一見、Tからはじまる登録番号が書いてあり、インボイス対応しているようにも見えるものもありますが、よくよく見てみると、税率や税額が書いていないため、インボイスの要件を充たしていなかったり、チェックする経理担当者はかなり手間暇が増えています。

インボイスが不要で帳簿への記載のみでよいとされている特例もありますが、帳簿記載要件を充たすためには、ほぼすべての仕訳の摘要欄やメモ欄にその要件を充たすための記載事項を書かなければならず、かえって手間が増えるため、インボイスを発行してもらった方が圧倒的に楽だったり、制度矛盾ではないかと思えるようなことも起きています。

弁護士業務のなかでは、お客様が一般個人の方の場合は、全く関係がありませんが、企業法務を行う上では関係してきます。

インボイスは求められたときに発行すればよい、とはされていますが、正直、対応の手間が多すぎ、ここまでの要件を定める必要があったのか・・・?と疑問に思います。

年末調整の準備

12月は年末調整の時期ですので、税理士事務所も年末調整の準備に入ります。

ちょうど、10月~11月にかけて、ご自身が加入している生命保険会社から、生命保険料控除の書類が送られてきたりするかと思いますので、紛失しないように注意が必要です。

そもそも年末調整の作業とは、会社側が社員から源泉徴収していた税額と、本来の所得税を調整する作業です。

所得税は、社会保険料や生命保険料、地震保険料を支払っていた場合、控除対象となりますので、税額が安くなります。

他にも、扶養控除の対象者がいる場合も、控除を受けられるため、税額が安くなります。

ただ、源泉徴収をする際には、このような事情をすべて考慮することができません。

そのため、源泉徴収では、源泉徴収の表に基づき、一定の税額であるとみなして徴収し、年末にこれらの控除の有無や税額を調整する作業が、年末調整です。

ただ、年末調整だけでは考慮しきれない控除もあります。

これは例えば、ふるさと納税による寄附金控除や、医療費控除やセルフメディケーション税制による控除、初年度の住宅ローン控除等です。

これらは、個別具体的な事情が多く、手続も煩雑となるため、年末調整では調整対象外になっています。

これらの控除は、確定申告をすることで受けることができますので、ご利用されたい方は、領収書をなくさないよう注意しましょう。

税理士法人心・弁護士法人心

税理士・弁護士 小島隆太郎

 

ふるさと納税のルールが10月で変更

ふるさと納税のルールが、10月に改正され、これまでよりも厳しくなるようです。

1点は、地場産品基準が変わるようで、これまで地元で加工や熟成された食品であれば、他の都道府県で生産された肉類であったとしても、返礼品として取扱うことができたようですが、今後は、原材料がその都道府県内で生産されたことも要件となるようです。

他府県から原材料を仕入れ、加工していた業者はふるさと納税の返礼品から外されてしまうことになりますので、単に、対象となる品目が少なくなることになるという以上に、それによって売上をあげていた業者にダメージがいきそうです。

もう1点は、返礼品の経費総額が寄付額の5割以下にしなければならないというルールが厳格化されるようです。

自治体によって、事務費用や寄附金受領書の発行費用等の経費を、「経費」として算入していなかった自治体があったようで、これらを厳格化するようです。

これにより、ふるさと納税の利用者は、もらえる返礼品の内容が少なくなる可能性があります。

これまで1万円でもらえていた肉や米の量が減る自治体がでてくるということです。

この点は、これまで「経費」としていた自治体としていなかった自治体で不公平があったということですので、よいのかもしれません。

ただ、ふるさと納税を利用している方は、10月までに利用されていた方が、もらえる返礼品の量が多いかもしれませんね。

「自分はいくらまでふるさと納税を利用できるか」とよく税理士にも質問がされますが、確定申告をしている方でなければ、正確に算出することができないため、即答することは難しい質問でもあります。

ふるさと納税のサイトの簡単シミュレーションなどを利用された方がよいかもしれません。

確定申告のシーズン到来

2月16日から3月15日までは確定申告の時期です。

私の所属する弁護士法人心のグループ法人には、税理士の所属する税理士法人心もありますので、そちらでは確定申告を対応しています。

毎年、確定申告を行っている個人事業主の方は特に問題ないと思います。

昨年度、住宅を購入された方や不動産を売却された方は、住宅ローン控除や譲渡所得の申告が必要となりますので、サラリーマンであっても確定申告が必要です。

また、医療費が10万円以上かかった方の場合、医療費控除を受けられますので、税金が安くなる可能性があります。

このような方の場合も、確定申告をオススメします。

確定申告は、国税庁のe-taxを利用することで、ご自身でもインターネット等を通じて行うことができます。

国税庁のホームページでは詳細なマニュアルも掲載されていますので、興味がある方は参考にされることをオススメします。

医療費控除、ふるさと納税くらいであれば、e-taxで行うこともそれほど複雑ではありません。

ただ、譲渡所得を申告されたいといった場合など、給与以外の所得について確定申告を行う場合は、なにが経費(取得や譲渡費等)に含まれるのかといった観点や、特別控除が受けられるかどうかといった観点からの検討が必要となる場合もありますので、その際には税理士にご依頼されることをオススメします。

 

インボイス制度の登録が間もなく締め切り・・・?

令和5年10月1日から、インボイス制度に登録している事業者でなければ、仕入税額控除が受けられなくなる制度が始まります。

このインボイス制度に登録するための〆切りは、令和5年3月31日までですので、この期限までに間に合わなければ10月1日から仕入税額控除が受けられなくなってしまいます・・・

との記事を作成しておりましたら、ちょうどこの記事を作成する数時間前に、インボイス登録を9月末まで受付けるとの報道があったようです。

以前から、その方向性は示されていましたが、方針として決まったようです。

ただ、9月末に申請を行い、10月1日から登録事業者としてスタート、ということは事務作業的に税務署でも行えないのではないかと思いますので、10月1日から登録事業者としてスタートしたいのであれば、やはり早めに登録手続を進めた方がよいかと思われます。

現在すでに課税事業者の方は、特にインボイスの登録をしない理由もないかと思いますので、速やかに登録手続を行われることをお勧めします。

悩ましい方は、現在、免税事業者の方です。

免税事業者の方は、インボイスの登録をすると課税事業者となりますので、これまで支払わずに済んでいた消費税を支払うことになります。

中小零細企業の場合、数十万円の税負担も経営には大きな影響を与えかねません。

ただ、その一方で、インボイスの登録をしなければ、取引先が仕入税額控除を受けられなくなりますので、取引先からインボイスの登録をしてくれとお願いされ、事実上、登録せざるを得なくなることも十分にあり得ます。

免税事業者の方で、自らがインボイスの登録をした場合、いくらの課税がされるのか気になる方は、税理士に相談してシミュレーションをしましょう。

取引先から、一方的に「インボイスの登録をしなければ契約を打ち切る」等のことを通告されているような場合は、独占禁止法違反や下請法違反に該当する可能性がありますので、弁護士に相談しましょう。

 

令和5年税制改正大綱の発表

16日の夕方頃に、令和5年の税制改正大綱が発表されました。

相続税との関係では、変わったポイントは大きく2点です。

1点は、贈与した財産について、みなし相続財産として適用される期間が延長されることとなりました。

現在の法律では、亡くなる前、3年以内に贈与した財産は、贈与がなかったものと取扱われて「みなし相続財産」ということになり、相続税の課税対象となっています。

この遡る期間が3年から7年へ延長されることとなりました。

ただ、亡くなる前3年以内の贈与により取得した財産は、そのままの額が相続税の課税価格に加算されますが、4年~7年遡る分の贈与により取得した財産は、100万円を差引いた残額が加算されるようです。

相続財産とみなされる期間は延長されましたが、まだまだ生前贈与は有益な相続税対策といえますので、早めに始められることが効果的です。

2点目は、相続時精算課税制度について

現在の法律では、相続時精算課税制度を一度利用すると、暦年贈与を利用した際に贈与税が課税されました。

つまり、110万円の贈与税の基礎控除枠が使用できなくなる、ということになっていました。

この点について、税制改正大綱では、相続時精算課税制度を利用した場合でも、110万円の基礎控除枠が利用できるようです。

また、それだけでなく、相続時精算課税制度を利用した方については、どうやら1点目に記載したみなし相続財産とする持戻しの制度を適用しないようですので、相続時精算課税制度を利用した方が得になるように読めます。

細かい運用は、法律が改正された際にはっきりすると思いますが、納税者側では、7年間の贈与の記録やそのお金を使い切ってもいいものなのか、けっこう悩ましい場面がでるのではないかと思っています。

相続税の申告や相続税対策にお悩みの方は、税理士法人心・弁護士法人心までお気軽にご相談ください。

NHK文化センター名古屋教室で相続教室を開講

7月3日から、「弁護士兼税理士が教える失敗しない相続・贈与・遺言」と題しまして、相続教室を開講させていただきます。

場所は、栄にありますNHK文化センター名古屋教室になります。

相続教室では、皆さんの関心の高い相続税対策に関する話しや、争い防止対策に関する話、老後の認知症対策の話など、相続に関連するすべての項目について、お時間の許す限りお話しさせていただきます。

特に、相続税対策については、雑誌や市販の書籍等でよく特集が組まれておりますし、皆さんの関心も非常に高い分野です。

ただ、相続教室を行わせていただいていますと、子どもや孫名義の通帳を作っておいて、そこにお金を移し替えることで生前贈与が成立し、相続税対策ができていると思っておられる方も見受けられます。

これは、典型的な名義預金のパターンです。

子どもや孫名義の通帳を作って置いて、そこにお金を移し替えても、それだけでは生前贈与は成立しませんので、相続税の対象となります。

このような不適切な対策ではなく、適法・適切な相続対策についてお話しさせていただきますので、興味のある方はぜひご参加ください。

ご夫婦や親子でのご参加も大歓迎です。

2人目のお申し込み料金は、1人目の受講料の半額以下に設定されているようですし、非常にお得かなと思います。

詳しくは、NHK文化センター名古屋教室のホームページをご覧ください。

 

中古不動産を活用した行き過ぎた相続税対策に待ったがかかった

2022年4月19日、中古不動産を活用した相続税対策に対して、最高裁判所からある判断がなされました。

https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/105/091105_hanrei.pdf

↑こちらが全文です。

父親が亡くなる2~3年前に、合計約14億円で2棟の中古マンションを購入し、国税庁の通達どおりに土地・建物を評価し、購入時の借入金約10億円や基礎控除等を差し引いて、相続税を0円として申告したところ、税務署から「通達によって評価することが著しく不適当」との通達の例外規定が適用されるとして、約3億3000万円の追徴課税を行いました。

地裁、高裁と納税者が敗訴していましたので、まぁ最高裁でも結論は変わらないだろうなーと思っていたところ、弁論が開かれるということになりましたので、弁護士だけでなく、税理士や不動産業界、マスコミなどでも「判断がひっくり返るかも!?」とけっこうな騒ぎになっていました。

が、結果は地裁・高裁と同じ。

これまで最高裁が相続税法22条の統一的な解釈を示したことはありませんでしたので、そのために開かれたようです。

最高裁の大まかな判断としては、

1 相続税法22条はそもそも時価で評価すると書いている。

2 通達は法令じゃないから、鑑定評価額が通達評価額を上回っていたとしても、時価を上回らない限り違法じゃない。

3 そうはいっても通達を合理的な理由もなく誰かに適用しないとするのは平等原則に反する。

4 評価通達の定める方法による画一的な評価を行うことが実質的な租税負担の公平に反するというべき事情がある場合には、合理的な理由があるといえる。

5 今回は、中古マンションの購入・借入がなければ課税価格は6億円超だったが、購入借入により約2800万円程度になり、相続人らの相続税の負担が著しく軽減されている。

近い将来、相続が発生することが予想される。

本件購入・借入によって、相続税の負担を減じる又は免れさせるものであることを知っていた、かつ、これを期待して、あえて本件購入・借入を実行した。

といった事情を考慮して、本件購入・借入のような行為をしない又はできない他の納税者と比較すると、実質的な租税負担の公平に反するから、「合理的な理由がある」として、地裁・高裁の判断を支持しました。

考慮要素としては、額・購入時期・目的等がみられているようです。

最高裁の判断そのものは、租税回避行為に厳しい裁判所の立場を今一度示したものとして、オーソドックスな判断かと思います。

ただ、少なくとも納税者は違法な行為を行っていたわけではなく、あくまでも通達に定められた評価方法で申告を行っていたのですから、過少申告加算税の部分は取り消してもよかったのでは?と思います。

相続税に関するご相談をお考えの方はこちら

デジタル通貨と相続

PayPay、Suicaなどの交通系、LINEペイ、メルペイなど、チャージをして買い物ができるデジタル通貨は様々ありますし、これからも増えてくることかと思います。

これらの資産も金銭的な価値があるため、相続財産になると思われがちですが、現実には様々な問題があります。

一つ目の問題は、そもそもご家族がデジタル資産・デジタル通貨の存在に気がついていないことがあり得るということです。

スマートフォンやタブレット端末にパスワード等がかかっていなければ、インストールされているアプリを一つずつ確かめることで確認ができます。

しかし、パスワードがかかっていた場合、本人しかそのパスワードを知らないと、スマホやタブレットにログインすることすらできなくなることがあります。

最近では、個人情報漏洩防止のため、複数回パスワードを間違えるとデータがすべて消える設定とされているものも少なくありません。

また、専門の業者に依頼をした場合でも、パスワードでロックされている端末から保存されている情報を抽出することは簡単なことではありません。

そのため、家族が気がつかないまま、亡くなった方のデジタル資産を喪失することがあり得ます。

二つ目の問題は、チャージされている資産がある場合でも、アプリ会社の利用規約によっては、相続することができないこともあり得るということです。

アプリ会社によっては、利用規約に利用者が亡くなった場合には残高の払い戻しを現金で行うことができない旨や残高自体がゼロになってしまうことなどが定められているところもあります。

多くのアプリでは、資金決済法との関係で上限額が定められており、その額も数万円程度のものが多いようですが、なかには100万円超も可能なアプリもあるようです。

デジタル通貨も金銭的な価値がある以上、現金と同じように相続財産となるのではないか、とも考えられますが、デジタル通貨は現実に存在する「物」ではないため、「所有権」が観念できないという問題があり、預貯金や現金と同様に考えることが難しい側面があります。

最近では、NFT(ノンファンジブル・トークン)というデジタル資産に所有権に類似する権利を持たせようとする仕組みもできつつありますが、またまだ法整備等は追いついておらず、弁護士もなかなか対応できていないのが現状です。

デジタル資産をお持ちの方は、ご自身が亡くなった後のことを考えておかれることをお勧めします。

 

弁護士法人心 大阪法律事務所・税理士法人心 大阪税理士事務所 オープン

5月7日に弁護士法人心の大阪法律事務所をオープンさせていただきました。

関西では2つ目の支店、法人全体では16番目に開設させていただいた支店になります。

場所は、大阪駅前第3ビルの30階になりますので、弁護士法人心のなかでは最も高層階に位置する事務所になります。

梅田にお買い物に来たついでにご相談いただくことも可能な場所にありますので、ご遠慮なくご相談ください。

大阪駅から徒歩5分、北新地駅から徒歩1分、東梅田駅から徒歩2分のところにありますので、電車でもご来所いただきやすいですし、大阪駅前第1・2・3・4ビルにある地下駐車場も使うことができます。

また、昨今のコロナウイルスの状況を踏まえ、お電話やテレビ電話でのご相談も対応させていただいております。

ご契約いただいた方や有料法律相談をご利用いただいた方には、駐車券もサービスさせていただいておりますので、お気軽にお申し付けください。

相続・遺言、交通事故被害・後遺障害、借金問題・過払金に関するご相談は、ご相談料を無料とさせていただいておりますし、その他のご相談も初回のご相談は初回30分無料とさせていただいております。

あらかじめご予約をいただけましたら、平日の夜間や土・日・祝日のご相談も承りますので、まずはお気軽に「0120-41-2403」までご連絡ください。

緊急事態宣言下での法律相談

報道によると、本日の夜、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、緊急事態宣言の対象区域に愛知県を含む7府県を追加するようです。

確かに1年近く経過したことで、ある種の「慣れ」のようなものがでてきてしまっているのではないかと感じることもあります。

先日、当法人の栄法律事務所に出社していた際、20代くらいでマスクをせずに買い物に来ている人も複数人見かけました。

感染拡大を食い止めるため、緊急事態宣言を出して外出自粛を促すのも理解できなくはないです。

ただ、そのようななかでも相続問題や交通事故、借金問題などの法律問題は起きますし、放っておくと不利に働くことも少なくありません。

弁護士法人心では、直接対面しなくても法律相談ができるように、電話相談やテレビ電話相談を積極的に行わせていただいております。

また、どうしても面談が必要な場合であってもご安心いただけるように、弁護士・スタッフの出社前の体温測定、マスクの着用、アルコール消毒や手洗いの徹底、相談室の除菌・消毒、窓を開放したりビル換気を利用したこまめな換気、ご相談者様への手の消毒のお願いやマスク着用のお願いなどの新型コロナウイルス対策を行わせていただいております。

長時間の面談相談になる場合は、30人以上が入るセミナールーム※を使用してご相談を行わせていただくなど、感染防止対策を徹底的に行っておりますので、安心してご連絡ください。

※部屋数に限りがありますので必ずしも利用できない場合もあります。

コロナと弁護士業

誰もがそうだと思いますが、令和2年はコロナウィルス感染症にどう対応していくのかの一年でした。

ワクチン接種がようやく海外で始まったようですが、これが日本国内でも浸透し、またワクチンに効果がないと、このまま令和3年も続くのでしょうね。

社会的には、コロナの影響によって、在宅ワークやリモートワークが広がり、仕事の仕方もだいぶ変わってきているようです。

私も取引先等と打合せをしていますと、ご自宅からWeb会議に参加されておられる方もいらっしゃいます。

他方で、弁護士業はどうかと申しますと、どうしても業務内容的に在宅ワークには限度があるのかなぁ・・・という感想です。

債権者の郵送の通知、交通事故であれば保険会社からの連絡など、郵送で送られてくるものも非常に多いですし、裁判所がFAXか郵送でしか対応していないため、どうしても事務所に出社せざるを得ないというのが現状です。

また、ご依頼を受けている方の資料・・・例えば戸籍謄本や不動産登記簿など・・・も紙で存在しておりますし、万が一の情報漏洩の危険を考えますと、自宅に持ち帰る、ということもできません。

データ化して画面で確認する、という方法もなくはないのですが、どうしても業務効率が落ちます。

ただ、感染症の流行はコロナだけではないと思いますし、これからの時代を考えるとデータでの業務遂行に対応していく必要があると思っています。

松坂屋名古屋店内に弁護士・税理士事務所オープン

本日,2020年11月2日(月)に弁護士法人心・栄法律事務所と税理士法人心・栄税理士事務所を松坂屋名古屋店の本館7階にオープンさせていただきました。

所長として,弁護士・税理士の江口潤が就かせていただいております。

栄法律事務所・栄税理士事務所では,相続のご相談を主に取り扱わせていただきます。

相続発生後の遺産分割や相続税申告のご相談はもちろん,相続発生前の遺言書の作成・相続税対策など,幅広くご相談を承らせていただきますので,お気軽にご連絡ください。

相続のご相談は,相談料を無料で行わせていただいておりますし,「遺言書無料診断サービス」,「相続税申告額無料簡易診断サービス」も実施させていただいておりますので,まずはご相談だけ,診断だけ,という方も大歓迎です。

当日,弁護士がおりましたら,その場でご相談いただくことも可能ですが,裁判所等に外出していることもありますので,あらかじめご予約いただいた方がスムーズです。

相続以外にも交通事故・債務整理等のご相談も受け付けておりますので,お気軽にご連絡いただければと思います。

松坂屋名古屋店は,矢場町駅0.5分,栄駅5分のところにあります。

特に,矢場町駅からご来店いただく際には,改札からそのまま地下の通路を伝って松坂屋名古屋店の南館にご来店いただくことが可能ですので,雨に濡れることもございません。

ぜひお気軽にお問い合わせください。

豊橋周辺にお住まいの方向けの相続教室

10月24日(土)から,豊橋市やその周辺地域にお住まいの方向けに,NHK文化センター豊橋教室で,相続教室を開催させていただいております。

ぜひ,こちらからお申し込みください。

教室名称は,『親子・夫婦で学ぶ失敗しない「相続税」「遺言」「贈与」「信託」』です。

これまで,松坂屋名古屋店のカトレヤ文化教室,津の中日文化センターなどで相続教室を行わせていただきましたが,大変盛況で多くの方にご参加いただき,あらためて相続に対する関心の高さを感じています。

弁護士・税理士だからこそお伝えできる相続・相続税対策をお話しさせていただきますので,ぜひご参加ください。

教室後のアンケートを拝見していると,皆さん,遺言書の作成を弁護士ではなく行政書士や司法書士に頼まれていることもあるようです。

教室後の質問でも,行政書士や司法書士との違いを尋ねられることがあります。

弁護士との一番の違いは,裁判になったときのことを想定できるか,できないかという観点です。

特に,相続を主に取り扱っている弁護士は作られた遺言書が無効だったために裁判で争いになったという経験がありますので,どのような遺言書であれば,争いになってしまうのかを理解しています。

行政書士・司法書士は弁護士と異なり裁判ができませんので,どのような遺言書が無効を主張されやすいのか,無効となってしまう可能性があるのかを判断することが困難です。

遺言書があっても,遺言無効の訴えを起こされることがありますので,どのような遺言書の内容や作り方であれば,そのような主張をされてしまうリスクがあるのか,よく理解している弁護士に相談されることをお勧めします。