所有者不明土地の解消に向けた相続関連法律の改正

これまで、相続した土地の登記は義務ではありませんでしたが、相続登記が義務化されます。

これは、所有者不明土地の解消に向けた民事基本法制の見直し、というテーマですでに法務省や国土交通省で具体的な検討がすすんでおり、5年以内には関連するすべての法令が施行される予定です。

具体的には、

①所有者が不明の土地・建物を管理するための制度を創設、

②共有不動産の利用を円滑化する仕組みの整備、

③相続開始から10年以上経過した遺産分割制度の見直し、

④隣地所有者がわからない場合のライフライン設備の設置に関する制度の整備、

⑤管理不全土地・建物の管理制度の創設、

などの制度が整備されます。

なかでも、①所有者が不明の土地・建物を管理するための制度は、不動産を相続するすべての人に関係します。

これまでは、不動産を相続した場合でも、相続登記をする義務そのものはありませんでした。

不動産を相続した後、登記の手続き費用がかかるとの理由で相続登記をしていない方もたくさんいましたし、現在もいます。

そのため、登記名義人は既に亡くなっているけれども、登記に記載された氏名や住所がなくなった方のままになっており、その相続人に連絡を取ることもできないなど、登記名義人と実際の所有者が異なる場合に土地の売買ができなくなってしまう、ということがありました。

このような場合、単に不経済というだけでなく、隣の建物が荒廃していて非常に危ないけれども、連絡をとることすらできない、といったことがありました。

今回の法整備では、相続登記を義務化することで、このような自体の発生を防ぐことが目的になっているようです。

相続人に相続登記を行わせるだけでなく、登記官の職権による手続きも一部認めるようです。

5年以内には、関連する法令が施行されるようですので、今後の動きを注視したいと思います。

登記のご相談は、司法書士だけでなく弁護士にご相談いただくことも可能ですので、相続に詳しい弁護士にご相談ください。

相続教室のご案内

3月から、名古屋の栄にあります大丸・松坂屋友の会・カトレヤ文化教室にて、「親子・夫婦で学ぶ 失敗しない相続税・遺言・贈与・信託」教室を開催させていただいております。

チラシはこちらをご覧ください。

3月から開講させていただいておりますが、4月からご参加いただくこともできますし、それ以降からご参加いただくことも可能です。

毎月第四日曜日の午前10時30分から午後0時30分で行わせていただいております。

よくある相続の勉強会ではなく、

より具体的に相続対策ではなにを行わなければならないのか。

不動産業者が行う相続対策セミナーの実態や金融機関が進める相続税対策用の保険や金融商品が本当に相続税の対策になっているかなど、

他の相続セミナーでは聞けないような踏み込んだ内容をお話させていただいております。

お一人でのご参加も大丈夫ですし、親子や夫婦でご参加いただく方もおられます。

ぜひお気軽にご参加ください。

お問い合わせは、松坂屋名古屋店・友の会までお願いいたします。

 

どうして不動産が相続税対策になるのか?

相続税対策の代表例として,借入れして,土地を購入しましょう,アパートやマンションを建てましょう,ということがよく言われますし,不動産業者がよくセミナーも開催しています。

そもそも,どうして同じ1億円なのに,現金・預貯金で1億円を持っている場合と,不動産で1億円を持っている場合で,相続税が変わるのでしょうか?

相続税の計算方法は,大雑把にいうと,プラスの相続財産からマイナスの相続財産を差し引き,基礎控除額を差し引いた金額に税率をかけ算して計算します。

つまり,当然ですが,プラスの相続財産が多ければ多いほど相続税がかかることになります。

このプラスの相続財産の額面について,現金や預貯金の場合は,そのままの額で評価されます。

つまり,1億円の現金や預貯金がある場合は,1億円として評価されます。

これに対し,不動産の場合は,「評価額」というものが存在します。

例えば,1億円の土地であれば,相続税評価では「路線価」というものを用いて評価しますので,約80%の額で評価され,8000万円として評価されることになります。

現金・預貯金を土地に換えるだけで,現金や預貯金で1億円を持っているよりも,約2000万ほど相続財産が低くなることになります。

また,土地の場合は,その土地の形状や周りの道路との位置関係等の様々な条件によって,更に低い額で評価されることもあります。

そのため,「不動産は相続税対策になる。」と言われます。

ただ,不動産を用いた相続税対策には注意しなければならない点もたくさんあります。

弁護士ならではの注意点もお伝えできますので,次回以降,そちらについてお話いたします。

遠隔地の公正証書遺言は郵送で取り寄せられる

遠隔地の公証役場で作成された公正証書遺言の場合,どこの公証役場で作られたのか,どこに保管されているのか,ということを調べることは,全国どこの公証役場でも可能でした。

しかし,これまでは公正証書遺言の謄本や正本を受け取るためには,現地の公証役場まで直接取りに行く必要があり,非常に手間暇がかかる手続でした。

それが,平成31年4月1日から,最寄りの公証役場で手続を行うことで,遠隔地の公証役場が保管する遺言公正証書等の正本又は謄本を郵送で取得することができるようになりました。

これまで,仮に現在相続人が鹿児島に住んでいて,遺言者が北海道の公証役場で公正証書を作成したときでも,相続人は北海道まで取りに行かなければなりませんでしたので,郵送で請求できるようになったことで,ずいぶんと手続が楽になります。

ただ,公証役場でもあまり周知が進んでいないようで,名古屋の公証役場でも窓口の方が手続の存在を知らなかったことがあったようですので,場合によっては,日本公証人連合会の該当のサイトページ(こちら)を印刷して見せた方がよいこともあるようです。

本当は登記などのようにネットで請求できる方法が一番よいのですが,なかなかそこまではできないようです・・・

消費税の増税と相続対策

2019年の10月1日から,消費税がついに10%になります。

軽減税率という既得権益層を生み出す上に何が8%で10%なのか,理屈も意味も全くわからない方法には私は反対ですが,まぁ,法改正されてしまった以上,仕方がないですね・・・

消費税が増税されることで消費が落ち込むことを懸念して,実は,相続関連では複数の優遇措置がとられます。

例えば,親から子どもに住宅資金を生前に贈与する場合,これまでは最大1200万円の贈与は贈与税が非課税とされていましたが,この枠が,最大3000万円まで非課税に拡大されます。

あまり話題にはなっていませんが,他にも,消費税の増税に合わせて,不動産をできる限り売却したり,購入したりするための資金が流動しても,税金が安くなるような法改正が複数行われています。

ただ,これらの法改正は時限立法といって,時間制限のある法律でもありますので,やるべきタイミングを逃さないことも大事ですし,他方で,焦りすぎることも注意が必要です。

この機会に相続対策をお考えの方は,名古屋駅2分の税理士法人心までご連絡ください。

税理士法人心の相続税のホームページはこちらです。

「名義預金」と相続税

名古屋で相続のセミナーをやらせていただいていると,たまに,「毎年110万円ずつ子どもの通帳に振り込んでいる。贈与の契約書を作っておけば相続税はかからないんですよね?」と聞かれることがあります。

相続に不慣れな専門家や一部の事業者のなかには,誤った理解でこのような相続のアドバイスをしていることがあるようですが,これは,「単なる子ども名義の預金で実質は親の財産」だとして,相続税の課税対象とされることがあります。

確かに,現在の相続税法では,毎年110万円までの贈与では贈与税はかかりません。

この点を活用した相続税対策を勧める方はたくさんいます。

しかし,子ども名義の通帳に110万円を毎年振り込んでいても,その実体が贈与ではなく,親が管理している財産と同義のものだとみなされると,子どもの「名義預金」だったとして,相続税の課税対象となります。

単なる「贈与契約書」という形式があればよいのではなく,子ども自身が親から「贈与を受けた」という実体が伴わなければ,税務署から否認されますので,注意が必要です。

生前贈与を含めた相続税対策をご相談されたい方は,名古屋駅のすぐ近くにある税理士法人心にご相談ください。

相続案件では,税理士法人心の税理士だけでなく,弁護士法人心の弁護士や司法書士事務所の司法書士もチームで対応させていただきますので,お気軽にご相談ください。