相続時精算課税は節税になる?

ハウスメーカー等の不動産業者の営業マンが,「相続時精算課税制度」を利用すれば,お父さんからお子さんへの贈与税も相続税も節税になるから,その制度を使って家を建てましょう!とアドバイスしているのを耳にすることがあります。

確かに,相続時精算課税制度を利用すると,2,500万円まで,無税で贈与できますが,相続したときに相続税が課税されます。

贈与を行うその年分の贈与税はかかりませんが,結局,亡くなったときに相続税を課税して精算する,それが相続時精算課税制度です。

つまり,相続時精算課税制度とは,単なる税金の先延ばしに過ぎず,節税効果があるわけではありません。

ただ,贈与したときよりも相続までの間に価値が大幅に上がることが見込まれる財産を贈与する場合は,贈与時の財産価値で計算されますので,節税になるといえばなります。

他方で,相続時精算課税制度を利用すると,暦年贈与を利用することができなくなる,小規模宅地等の特例が使えない等のデメリットもありますので,制度を利用する際には十分な検討が必要です。

親子間で不動産を購入したり家を建てたりするために贈与するのであれば,住宅取得等資金の贈与の特例がありますので,こちらを利用することを先に考えるべきです。

ハウスメーカー等の営業マンは,必ずしも正しい税金の知識・理解のもとに説明しているわけではありませんので,ご自身で本当に大丈夫なのか,確かめることが大切です。

税理士法人心では,相続を主に取り扱う税理士が,ご生前の節税対策についてもご相談させていただきますので,お気軽にご相談ください。

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千葉法律事務所の開設

令和2年7月から,弁護士法人心千葉法律事務所がオープンいたしました。

これまで,千葉県では柏駅のすぐ近くに設けさせていただいておりましたが,今回の事務所開設で,千葉県内では2拠点目となります。

関東では,関東本部である弁護士法人心東京駅法律事務所・弁護士法人心池袋駅法律事務所も加えると,4拠点目となります。

千葉駅の目の前,徒歩1分のところに開設させていただいておりますので,お近くにお住まいの方は,ぜひご利用ください。

弁護士法人心では,新型コロナウイルス対策も積極的に行っており,弁護士・スタッフともに出社前の体温測定を行っておりますし,マスクを着用し,手洗いの徹底・手指のアルコール消毒や相談室の除菌,こまめな換気や受付には消毒液を設置するなど,安心してご相談いただくことのできる環境を整えさせていただいております。

また,弁護士法人心では,インターネットを利用したテレビ電話相談や電話相談にも力を入れておりますので,ぜひご利用ください。

※借金のご相談のみ,弁護士会から面談義務を課されておりますので,ご契約させていただく際には面談が必要となります。

弁護士法人心の千葉法律事務所のサイトはこちら

https://www.chiba-bengoshi.pro/

7月からレジ袋の有料化が開始

令和2年7月1日から,「小売業に属する事業を行う者の容器包装の使用の合理化による容器包装廃棄物の排出の抑制の促進に関する判断の基準となるべき事項を定める省令の一部を改正する省令」によって,レジ袋が有料化されます。

対象となる事業者は,各種小売業なようですので,コンビニやスーパーに限定されるわけではなく,本屋や服屋なども対象となるようです。

小さいレジ袋は3円,大きいレジ袋は5円にしているお店が多いので,そう決まっているのかと思っていましたが,価格自体は事業者自らが設定してよいようです。

今回対象となる袋は,プラスチック製の買い物袋ですが,厚手で繰り返し使えるものや微生物によって海洋で分解されるもの,バイオマス素材などは有料化から除外されているようです。

また,紙袋・布の袋や持ち手のない袋も除外されるようです。

弁護士としては,よく本屋で法律の専門書籍を大量に買い込みますが,1~2冊くらいだったらプラスチック製の買い物袋で有料,5~6冊を超えるような場合は紙袋や布製の袋で渡されることが多かったので,買った本が少なければ袋は有料,多ければ無料,とちょっと違和感を感じるような状況になりそうです。

名古屋駅の近くだと,ジュンク堂や三省堂でよく書籍を購入しますが,多めに買った場合は紙袋でもらえますので,人によっては1~2冊でも紙袋に入れてくれ,ということを言って,本末転倒な感じになりそうな気もしなくもないですね・・・

なお,レジ袋の有料化についてはこちらの経済産業省のホームページがわかりやすいです。

https://www.meti.go.jp/policy/recycle/plasticbag/plasticbag_top.html

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令和2年6月から,弁護士法人心四日市法律事務所がオープンいたしました。

四日市近辺にお住まいの方は,ぜひお越しください。

弁護士法人心四日市法律事務所のサイトはこちら

https://www.yokkaichi-bengoshi.com/


オンラインで法律相談



新型コロナウイルスによる緊急事態宣言は解除されましたが,全国の感染者数の推移やまだ特効薬ができていないことからすると,第二波・第三波もあり得そうです。

私の所属する弁護士法人心でも,来所でのご相談はぐっと減り,お電話でのご相談が増えたように思います。

当法人では,来所でもご安心いただけるように,社員全員がマスクを常時着用・毎日の検温,相談室にアルコール消毒を設置し,入退出時の清掃の徹底,お茶出しもペットボトルでしか行わないなど,コロナ対策をしっかり行っています。

ただ,それでもやはり来所には抵抗感がある,という方もいらっしゃいますので,電話でのご相談も積極的に行っています。

また,やっぱり弁護士の顔を見て相談したい,という方もおられますので,オンラインでのテレビ電話相談も行っていますので,ご希望の方はお気軽に当法人のフリーダイヤル(0120-41-2403)までお問い合わせください。

なお,弁護士会のルールやご相談内容の複雑さ等によっては,どこかのタイミングで直接ご来所いただかなければならない案件もございますので,この点はご注意ください。

新型コロナウイルスによる相続税の申告期限の延長


新型コロナウイルス感染症拡大防止のため,国営庁から相続税についても,申告・納付期限に関する期限延長手続きのFAQが発表されました。

相続税の申告期限は,原則として,相続開始(亡くなった日)の翌日から10か月以内です。

この間に,相続財産の調査・評価,相続人の調査,遺言書の調査,遺産分割協議書の作成などの様々な手続を行わなければなりません。

ただ,新型コロナウイルス感染症の影響により,相続人等が期限までに申告・納付ができない「やむを得ない理由」がある場合には,個別に申請することで期限の延長が認められるようです。

この「やむを得ない理由」について,国税庁は,「感染拡大により外出を控えている場合」や「平日の在宅勤務を要請している自治体にお住まいの場合」を含めていますので,緊急事態宣言が国・地方自治体から出されている場合は広くその対象とされるように思われます。

ただ,延長される期間は,「やむを得ない理由」がやんだ「2か月以内の日」のようですので,逆に,放置していると非常にタイトなスケジュールとなってしまうおそれも十分に考えられます。

申告期限まで2か月しかない状況で,その段階から税理士に相談に行っても断られる可能性もあり得ます。

ご自宅内でもできる範囲で,相続税の申告準備を行っておくことをお勧めします。

私の所属している税理士法人心では,相続税申告の電話相談も受けておりますので,相続税申告でお困りの方は,先延ばしにせずになるべく早めにご相談されることをお勧めします。

国税庁の「相続税の申告・納付期限に係る個別指定による期限延長手続に関するFAQ」はこちら

名古屋相続税相談室by税理士法人心のサイトはこちら

【相続の法改正】配偶者居住権・短期居住権が明日から開始

以前ご紹介したように,現在,我が国では約40年ぶりに民法の相続部分が改正されました。

平成31年1月から,順次,施行されています。

そして,今回,令和2年4月1日から配偶者居住権及び配偶者短期居住権が創設されることになりました。

配偶者短期居住権について,例えば旦那さんが亡くなった後,本来であれば旦那さんの名義の家・土地は,奥さんも含めた他の相続人の物でもありますので,奥さんは当然にその家に住み続けるわけにはいかず,法律的には他の相続人に対して,家賃相当額のお金を支払うべきではないか,という議論がありました。

配偶者短期居住権では,奥さんの家に住み続ける権利を守るため,旦那さんが亡くなった後,奥さんや他の相続人との遺産分割が終わるまでの間は,奥さんは家賃等の負担なく当然にその家に住み続けることができるようになりました。

ただ,この権利は,判例で事実上認められていたようなものでしたので,それほど大きな変化ではないかもしれません。

配偶者居住権は,遺産分割が終わった後も,旦那さんの家に奥さんが住み続けられる権利です。

これは,認められると最大で奥さんが亡くなるまでの間,住み続けられますので,非常に長い間,住むことができるようになります。

ただし,この権利が認められるためには,生前に旦那さんが奥さんに遺言書で配偶者居住権を与える旨を書いておくか,旦那さんが亡くなった後に奥さんも含めた他の相続人と遺産分割協議を行い奥さんに配偶者居住権を与えることを認めなければなりません。

後から,遺産分割協議で決める方法は,非常にトラブルの元となりやすいため,お勧めしません。

遺言書であらかじめ用意しておく方が確実です。

これまで遺言書を書いておられない方は,当然,書かれるべきですし,これまで遺言書を書かれた方も,この配偶者居住権は新たに書き足す必要がありますので,一度,弁護士にご相談ください。

名古屋で遺言書をお考えの方へ

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相続放棄を考える際に知っておくべきこと

亡くなった親が預貯金や不動産などのプラスの財産をほとんど持っておらず,借金が多いと予想される場合,「相続放棄」をすることが考えられます。

また,借金はない場合でも,親が持っていた不動産が,資産価値はほとんどないのに管理費用だけは非常に高い金額がかかる「負」動産のようなときも,相続放棄を検討するべきです。

亡くなった親の財産のうち,プラスの財産とマイナスの財産とどちらが多いのかわからない場合は,「限定承認」という手続があります。

これは,プラスの財産からマイナスの財産を差し引いて,プラスの相続財産がある場合のみ,相続するという手続です。

この手続は,一見すると非常に便利な手続に思えます。

しかし,この手続を選択すると,一旦,亡くなった親の財産をすべて売却したものとみなして,譲渡所得税が発生し,税金を納めないといけません。

相続に詳しくない弁護士のなかには,この点を説明しない者もいるようですので,注意が必要です。

それから,相続放棄を考えられる場合,亡くなった親の財産には手をつけてはならない,というのが大原則です。

相続放棄手続は,基本的に,亡くなった日から3か月以内に家庭裁判所に申し立てることで行いますが,その前に亡くなった親の財産を費消してしまうと,「相続することに決めた」とみなされてしまい,相続放棄ができなくなる可能性があります。

なお,亡くなった親が契約者で,自らが受取人になっている生命保険金を受け取ることは問題がありませんが,亡くなった親が契約者兼受取人になっている生命保険金は手をつけてはならないなど,非常に区別がしづらいものもありますので,相続放棄をお考えの方は,一度,相続に詳しい弁護士にご相談いただければと思います。

不動産を用いた相続税対策の注意点

現預金を不動産に換えると,土地や建物の評価減のため,相続税対策を行うことができます。

ただ,税務署が租税負担の実質的な公平を著しく害することが明らかな「特別の事情」がある場合には,評価減が否定されることもあり得ます。

そのような裁判例が,東京地方裁判所で令和元年8月27日にでたため,相続関係の弁護士が注目しています。

この裁判例では,被相続人は90歳,91歳のときに銀行から借り入れをして各不動産を購入しました。

借入金と各不動産の購入がなければ,相続税が6億円超かかるところでしたが,各不動産の評価額と比較すると借入金の方が多かったため,相続税がかからないことになりました。

よくある相続税対策のために不動産を購入した例にも思えますが,裁判所は,各不動産の購入と借入に相当する行為を行わなかった他の納税者との間で,かえって租税負担の実質的な公平を著しく害するとして,納税者の主張とは異なる評価額を認定しました。

具体的には,被相続人がA不動産を約8億円で購入→約2億円で評価,B不動産を約5億5000万円で購入→約1億円で評価していたところ,裁判所はA不動産を約7億5000万円,B不動産を約5億円で評価するのが適切,と判断しました。

この件では,納税者は,評価通達通りの評価方法で評価額を計算していたにもかかわらず,税務署から否認され,裁判でも負けています。

裁判では,購入時期や購入当時の被相続人の年齢などの様々な考慮要素から相続税を節税するために,あえて借入や不動産の購入を行ったという経緯も考慮して納税者の主張する評価減を一部認めませんでした。

不動産を用いて相続税対策を行いたい,というのは納税者の心理としては極当たり前のことですが,方法には注意が必要です。

弁護士業務と年末年始

私の所属する弁護士法人心だけではなく,多くの弁護士事務所・法律事務所は年末年始は休みかと思います。

ただ,年末でも年始でも刑事事件は起きますので,そんな場合に備えて,各地の弁護士会では弁護士が持ち回りで待機し,国選弁護人として求められても対応できるようにしています。

裁判所でも,逮捕状等の令状の審査に備えて,裁判官や裁判所書記官も持ち回りで宿直当番を行っているようです。

逮捕や勾留などの私人の身体拘束は,法律で拘束期間が厳格に定められていますので,年末年始でも裁判所・検察・弁護士は,最低限の対応はできるようにそれぞれ工夫しています。

もちろん,弁護士は刑事だけでなく,民事でも時効や控訴期間といった時間制限がある手続がありますので,年末年始だからといって,気を抜けないところです。

なお,弁護士法人心は,令和元年12月28日(土)から令和2年1月5日(日)は休業させていただき,新規相談のフリーダイヤルについては,令和元年12月27日(金)19時に終了し,令和2年の新規相談のフリーダイヤルは,1月6日(月)9時から開始いたします。

来年度も,よろしくお願いいたします。

どうして不動産が相続税対策になるのか?

相続税対策の代表例として,借入れして,土地を購入しましょう,アパートやマンションを建てましょう,ということがよく言われますし,不動産業者がよくセミナーも開催しています。

そもそも,どうして同じ1億円なのに,現金・預貯金で1億円を持っている場合と,不動産で1億円を持っている場合で,相続税が変わるのでしょうか?

相続税の計算方法は,大雑把にいうと,プラスの相続財産からマイナスの相続財産を差し引き,基礎控除額を差し引いた金額に税率をかけ算して計算します。

つまり,当然ですが,プラスの相続財産が多ければ多いほど相続税がかかることになります。

このプラスの相続財産の額面について,現金や預貯金の場合は,そのままの額で評価されます。

つまり,1億円の現金や預貯金がある場合は,1億円として評価されます。

これに対し,不動産の場合は,「評価額」というものが存在します。

例えば,1億円の土地であれば,相続税評価では「路線価」というものを用いて評価しますので,約80%の額で評価され,8000万円として評価されることになります。

現金・預貯金を土地に換えるだけで,現金や預貯金で1億円を持っているよりも,約2000万ほど相続財産が低くなることになります。

また,土地の場合は,その土地の形状や周りの道路との位置関係等の様々な条件によって,更に低い額で評価されることもあります。

そのため,「不動産は相続税対策になる。」と言われます。

ただ,不動産を用いた相続税対策には注意しなければならない点もたくさんあります。

弁護士ならではの注意点もお伝えできますので,次回以降,そちらについてお話いたします。

遠隔地の公正証書遺言は郵送で取り寄せられる

遠隔地の公証役場で作成された公正証書遺言の場合,どこの公証役場で作られたのか,どこに保管されているのか,ということを調べることは,全国どこの公証役場でも可能でした。

しかし,これまでは公正証書遺言の謄本や正本を受け取るためには,現地の公証役場まで直接取りに行く必要があり,非常に手間暇がかかる手続でした。

それが,平成31年4月1日から,最寄りの公証役場で手続を行うことで,遠隔地の公証役場が保管する遺言公正証書等の正本又は謄本を郵送で取得することができるようになりました。

これまで,仮に現在相続人が鹿児島に住んでいて,遺言者が北海道の公証役場で公正証書を作成したときでも,相続人は北海道まで取りに行かなければなりませんでしたので,郵送で請求できるようになったことで,ずいぶんと手続が楽になります。

ただ,公証役場でもあまり周知が進んでいないようで,名古屋の公証役場でも窓口の方が手続の存在を知らなかったことがあったようですので,場合によっては,日本公証人連合会の該当のサイトページ(こちら)を印刷して見せた方がよいこともあるようです。

本当は登記などのようにネットで請求できる方法が一番よいのですが,なかなかそこまではできないようです・・・

消費税の増税と相続対策

2019年の10月1日から,消費税がついに10%になります。

軽減税率という既得権益層を生み出す上に何が8%で10%なのか,理屈も意味も全くわからない方法には私は反対ですが,まぁ,法改正されてしまった以上,仕方がないですね・・・

消費税が増税されることで消費が落ち込むことを懸念して,実は,相続関連では複数の優遇措置がとられます。

例えば,親から子どもに住宅資金を生前に贈与する場合,これまでは最大1200万円の贈与は贈与税が非課税とされていましたが,この枠が,最大3000万円まで非課税に拡大されます。

あまり話題にはなっていませんが,他にも,消費税の増税に合わせて,不動産をできる限り売却したり,購入したりするための資金が流動しても,税金が安くなるような法改正が複数行われています。

ただ,これらの法改正は時限立法といって,時間制限のある法律でもありますので,やるべきタイミングを逃さないことも大事ですし,他方で,焦りすぎることも注意が必要です。

この機会に相続対策をお考えの方は,名古屋駅2分の税理士法人心までご連絡ください。

税理士法人心の相続税のホームページはこちらです。

三木義一『税のタブー』(2019年08月07日)

恩師の三木義一先生がご著書「税のタブー」(
https://www.shueisha-int.co.jp/publish/%E7%A8%8E%E3%81%AE%E3%82%BF%E3%83%96%E3%83%BC )を出されましたので,早速購読させていただきました。

三木先生には,立命館大学入学時からお世話になり,幸い私の結婚式では「忘れそうになると現れる。」と有り難いお言葉をいただき(笑),とてもお世話になっています。

私が弁護士・税理士の道に進むため,立命館で学ぼうと思ったのも,三木先生が立命館大学のホームページに「これからはリーガルマインドを持った税理士が必要だ。」とおっしゃられていたことがきっかけでした。

在学中,三木先生には税金・税法の面白さを教えていただきました。

学術的な面白さもありましたが,なによりも,「どうしてこんな税金になっているのか?」,「どうしてこういう団体には課税がなされないのか?」といった,政治やオトナの事情めいたことを法律学と絡めながらお話しされることがとても面白かったです。

三木先生のゼミからは,多数の税理士だけでなく,弁護士・裁判官も輩出され,とても刺激的でした。

「税のタブー」を読むと,学生の頃に三木先生が学生に「どう思う?」とよく楽しそうに問いかけられていたことが満載で,勝手に三木先生の声で再生されます。

改めて拝読すると,政治家がどうして相続税を回避できるのか,印紙税って必要ないんじゃないか,お酒がなぜ安売りできないのかなど,税法の基本書・教科書では学べない視点から書かれており,改めて勉強になります。

仕事の都合で今年のOB・OG会には行けませんでしたが,来年以降,参加してお会いしたいですね。

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弁護士法人心の集合写真(http://www.lawyers-kokoro.com/ )を更新いたしました。

心グループも約160人になり,これからもたくさんの方に貢献できるよう,士業・スタッフ一同がんばりますので,よろしくお願いいたします。

家族や親族の寄与には生命保険で報いる


民法の相続分野の改正が行われたため,相続人以外にも,一定の範囲の親族の介護や家業を手伝った際の特別な寄与には,「特別寄与料」が認められることになりました。

特別寄与料を認めるかどうか,認めるとしてその額をいくらとするかは,原則として,特別寄与者と請求される相続人の協議で決めますが,相続人は取得できる相続財産が少なくなってしまいますので,なかなか協議に応じてくれないのが現実です。

また,あくまでも「特別な寄与」が必要となりますので,過去の裁判例から考えても,例えば,被相続人の介護をしたからといって,ホームヘルパー等の時給相当額の寄与料が認められる・・・などということは,なかなか難しく,特別寄与者の貢献に報いてあげられないことも考えられます。

そこで,介護等の面倒を見てくれてた親族や家族に適切に報いるのであれば,生命保険を活用する方法があります。

生命保険の受取人を特別寄与者にしておけば,相続財産とは別個に特別寄与者は寄与料を受け取ることができますので,寄与料の額をめぐって相続人と争う必要はなくなります。

息子の妻に介護等の面倒を見てもらっていたり,婿養子である義理の息子に家業等を手伝ってもらっているような方は,後々の争いを防止する観点から,生命保険も検討されることをお勧めします。

相続について名古屋で弁護士をお探しの方はこちら

「名義預金」と相続税

名古屋で相続のセミナーをやらせていただいていると,たまに,「毎年110万円ずつ子どもの通帳に振り込んでいる。贈与の契約書を作っておけば相続税はかからないんですよね?」と聞かれることがあります。

相続に不慣れな専門家や一部の事業者のなかには,誤った理解でこのような相続のアドバイスをしていることがあるようですが,これは,「単なる子ども名義の預金で実質は親の財産」だとして,相続税の課税対象とされることがあります。

確かに,現在の相続税法では,毎年110万円までの贈与では贈与税はかかりません。

この点を活用した相続税対策を勧める方はたくさんいます。

しかし,子ども名義の通帳に110万円を毎年振り込んでいても,その実体が贈与ではなく,親が管理している財産と同義のものだとみなされると,子どもの「名義預金」だったとして,相続税の課税対象となります。

単なる「贈与契約書」という形式があればよいのではなく,子ども自身が親から「贈与を受けた」という実体が伴わなければ,税務署から否認されますので,注意が必要です。

生前贈与を含めた相続税対策をご相談されたい方は,名古屋駅のすぐ近くにある税理士法人心にご相談ください。

相続案件では,税理士法人心の税理士だけでなく,弁護士法人心の弁護士や司法書士事務所の司法書士もチームで対応させていただきますので,お気軽にご相談ください。

司法試験の予備試験の問題をAIが的中

司法試験の予備試験の問題を,AIが約60%的中させたというニュースを見ました。https://www.itmedia.co.jp/news/articles/1905/20/news122.html

過去問等からデータを蓄積して,出題予想をさせる方法は,AIが得意とするところなんでしょうね。

司法試験の法律問題は,旧司法試験も含めると膨大な量がありますので,これからはもっと的中率があがるのかもしれませんね。

法律改正があった箇所は難しいのかな?とも思いますが,過去問と法律の改正情報のデータを蓄積させると,法律改正にすら対応した出題予想が可能になるかもしれません。

短答式試験は弁護士になるための最低限の知識を身につけるための試験ですが,私は苦手だったので,こういう技術を司法試験予備校が導入してくれると,試験対策的な意味ではすごく助かります。

他方で,こういった傾向が進むと,安易に「的中率の高い予備校の試験を受けとけばいいや」ということで,出題者の出題意図を考える,といった考える力が身につかなくなるのかな,とも思わなくはないです。

ただ,資格試験は,一定の資格を取得するための試験にすぎません。

大事なことは,資格を取ってから何をするか,という方なので,試験対策自体が効率的にできるようになることは,個人的には賛成です。

弁護士の業務でも,判例の蓄積から作成されているデータベースがありますが,これからの時代ではますます加速していきそうです。

依頼者の方から,損害賠償の額は?過失割合は?実刑?執行猶予?懲役何年くらい?と聞かれて,判例を調べてお答えして・・・とそのような業務はAIに取って代わられるんでしょうね。

【相続法改正】相続人以外の者が貢献した場合の特別寄与料

相続に関する民法の改正で,相続人以外の親族が,被相続人に対する療養看護その他の労務の提供により,被相続人の財産の維持または増加について特別の寄与をすると,特別寄与料という金銭を請求できるようになりました。

これまで,例えば,長男の妻が,義理の父親の面倒を見たり,義理の父親の事業を手伝っていたとしても,長男の妻の貢献はあくまでも相続人である「長男の貢献の一部」としてしか評価されませんでした。

今回の法改正では,被相続人の「親族」(①6親等内の血族,②配偶者,③3親等内の姻族)であることが要件となっていますが,特別の寄与をした場合に貢献に応じて,特別寄与料を請求できる者の範囲が広がりました。

ただ,弁護士としては,法律上・実務上の問題点も気になります。

特別寄与料の請求は,あくまでも,「特別の寄与」であることが必要です。

ですので,これまでも扶養義務が存在する相続人の場合は,その「扶養義務」(民法877条1項)の範囲を超えるほどの「特別な」寄与が必要でした。

今回の法改正で特別寄与者として認められた「親族」のなかには,民法上の「扶養義務」を負っていない者も含まれますので,法解釈上は,「扶養義務」を負っている親族が行った貢献と「扶養義務」を負っていない親族が行った貢献では,「扶養義務」を負っていない親族が行った貢献の方が,「特別な寄与」として認められやすいのではないか,という解釈があり得ます。

果たしてこれが妥当なのか,どこまで認められるのか,という点は,今後の裁判例の蓄積を待たなければなりませんが,弁護士としては,どこまで認められるのかはっきりしない特別寄与料に頼るのではなく,貢献してくれた方には,遺言書を作成し,遺贈でその貢献に報いてあげて欲しいところです。

【相続法改正】配偶者居住権の価額と相続税

先日,配偶者居住権の金銭的価値の計算方法について記載しました。

今回はその続きとなります。

現在の法制審議会の部会資料では,「長期居住権(配偶者居住権)付の所有権」よりも,「長期居住権(配偶者居住権)」の方が,金銭的には高く評価される場合があります。

これは,感覚的にはよくわかる話です。

配偶者居住権,というものが権利として認められた以上,第三者は「配偶者居住権付」の所有権を購入しても,「誰かに住み続けられてしまう」所有権しか手に入りませんので,いわゆる「完全な」所有権よりもはるかに価値が劣ります。

この問題点として,主に税理士の先生からは以下のような指摘がされています。

つまり,その後に配偶者が死亡すると,「配偶者居住権」は消滅し,建物を相続していた相続人は,「完全な」所有権を手にすることになります。

このときに,当該相続人には新たな「経済的価値」が流入したと考えることもできるのではないか?ということです。

これは,理論的にはあり得なくはないのですが,現在の法制審議会の議論では,このようには考えないようです。

ですので,当該相続人にかかる相続税は,一次相続時の「配偶者居住権付の所有権」を相続したときの価額で計算することになりますので,「完全な所有権」を相続したときよりも低い金額になることが想定され,節税になるのではないかと言われています。

確かに,現時点では節税になるように思えます。

しかし,この制度はまだ開始されていないので,国税庁がこの点について通達等で課税する可能性が全くないとはいえません。

なによりも,弁護士としては,一次相続時に「配偶者居住権付の所有権」が「完全な所有権」よりも低い金額で評価されることで,他の共同相続人が不公平感等を感じ,争いの種になるのではないかと危惧しています。

また,配偶者居住権は,遺産分割協議に相続人全員が同意するか,遺言書に記載することで認められますが,平成32年4月1日以降に亡くなった方に適用されます。

相続税に関してはこちらのサイトをご覧ください。

【相続法改正】配偶者居住権の新設と権利の金銭的価値

以前のブログで,相続に関する民法改正で「配偶者居住権」という権利が新設されることをご紹介させていただきました。

これは,報道番組でもよく焦点を当てて報道されていますので,耳にされた方も多いかもしれません。

今回は,こちらの権利の「金銭的価値」について記載します。

法制審議会の部会資料によりますと,建物の固定資産税評価額は,①長期居住権付所有権の価額と②長期居住権の価額を合算した額とされています。

そして,①長期居住権付所有権の価額とは,

固定資産税評価額×法定耐用年数ー(経過年数+存続年数)/法定耐用年数ー経過年数×ライプニッツ係数

とされているようです。

そして,②長期居住権の価額は,固定資産税評価額から①長期居住権付所有権の価額を差し引いた額とされるようです。

上述した①長期居住権付所有権の価額の計算方法は少々わかりにくいですが,ようは,配偶者が亡くなった際に,他方の配偶者が若ければ若いほど価値が高くなるし,築年数が少なければ少ないほど価値が高くなる計算のようです。

具体的な金額はケースバイケースですが,法制審議会の部会資料で例として挙げられているケースですと,「築20年の鉄筋コンクリート造で固定資産税評価額1000万円のマンションの一室を,70歳の女性配偶者が相続した場合」のケースとして,

①長期居住権付所有権の価額が,143万円

②長期居住権の価額が,857万円

として計算されています。

つまり,所有権よりも,長期居住権の方が高く評価されているようです。

この点について,弁護士・税理士の立場から非常に気になることがありますので,そちらを次回のブログで記載したいと思います。

【相続法改正】自筆の遺言書を法務局が預かってくれる?

今回の民法の相続に関する法改正は,約40年ぶりの大幅改正ですので,弁護士をはじめとして,たくさんの専門家が注目しています。

民法の法改正に合わせて,「遺言書の保管等に関する法律」ができました。

この法律によって,自筆の遺言書を法務局に保管してもらう制度ができました。

これまで,自筆の遺言書は自宅に保管したり,銀行の貸金庫に保管したり,自分で保管しなければならなかったため,紛失したり,改ざんが疑われたり,様々な問題がありました。

今回の法改正で,法務局で保管してもらうことができるようになりますので,紛失の危険は,これまでよりもずっと少なくなります。

また,法務局に預けた自筆の遺言書の場合,これまでの運用と異なり,家庭裁判所による検認手続きを経なくてもよいと改正されました。

検認手続きとは,家庭裁判所で遺言書が保管されていた状態をチェックし,記録に残す手続きですが,この手続きを行うために他の相続人に連絡しなければならないなど,手間や他の相続人と無用なトラブルを招きかねないリスクがありましたが,今回の改正で検認も不要となりました。

ただ,注意が必要なことは,法務局はあくまでも保管をするだけで,内容のチェックをしてくれるわけではありません。

あくまでも形式面での簡単なチェックにとどまるようですので,遺言書を無効としないためにも,作成時には遺言書を日頃から作成している弁護士に相談することをお勧めします。

遺言に関して弁護士をお探しの方はこちら