遷延性意識障害

名古屋で交通事故案件を中心に扱っている弁護士の青山です。

交通事故の被害者の方の中には、頭部外傷によって遷延性意識障害になってしまう方もいらっしゃいます。

この「遷延性意識障害」とは、いわゆる「植物状態」のことを指します。

呼吸はでき、循環機能も保たれ、その他の自律神経機能は維持されていますが、運動・知覚機能や知能活動がほぼ欠如した状態です。

日本脳神経外科学会が定めた基準によれば、次の1~7に該当すれば「遷延性意識障害」と判断されます。

1 自力での移動が不可能であること

2 有意な発語ができないこと

3 意思疎通がとれないこと

4 眼でかろうじて物を追うことがあっても、それを認識することができないこと

5 自力での飲食ができないこと

6 大・小便を漏らしてしまうこと

7 以上の状態が、治療にかかわらず3カ月以上続いていること

遷延性意識障害となった被害者ご自身が非常にお気の毒であるのはもちろんですが、そのご家族にも、極めて過酷な介護生活が待ち受けています。

遷延性意識障害の患者はご自身では何もすることができず、寝たきりの状態です。

食事をとれず、着替えもできず、寝返りを打つこともできず、排せつや入浴等の基本的な日常生活上の動作もできません。

これらは全てご家族等が介助しなければなりません。

それこそ、24時間365日の他人による介護が必要となります。

遷延性意識障害になると、自賠責における後遺障害等級では、常時介護が必要であるとして、最も重い1級の後遺障害が認定されます。

このような遷延性意識障害となった場合、慰謝料、後遺障害逸失利益、将来の介護費用等、十分な金額が賠償されなければなりません。

そこで、遷延性意識障害となった場合は、示談する際には、交通事故に強い弁護士を入れることを強くお勧めします。