名古屋で交通事故案件を中心に取り扱っている弁護士の青山です。
交通事故で高次脳機能障害が残ってしまった被害者の方のご相談を受けていると、相手方保険会社から素因減額を主張されているケースが時折あります。
まず、素因減額って何?ということですが、素因減額というのは、交通事故の被害者が、事故前から持病等を持っており、それが損害の発生ないし拡大に寄与した場合、これを考慮して損害額を減額する理論です。
そして、最高裁判所の判例において、民法722条2項(過失相殺の規定)を類推適用することで、素因減額を認めるという判断がなされ、現在の実務では、素因減額を認める処理が定着していると言えます。
ここで、高次脳機能障害でも素因減額が肯定される場合があります。
過去の裁判例では、被害者に脳梗塞があった場合、一般的に脳梗塞を罹患している患者が頭部に外傷を受けた場合は、脳に障害がないものに比べ、脳外傷による症状が重くなること等を理由として、20%~30%の減額を認める傾向にあるようです。
また、高齢による脳自体の加齢変化や、精神分裂病を理由として素因減額を認めたものもあります。
他方で、事故前に有していた疾患が事故直前はほぼ落ち着いており、事故の衝撃自体が高次脳機能障害を発生してもおかしくない程度であった場合は、素因減額を否定する傾向にあるようです。
この点、仮に素因減額をされてしまう事案なのだとしても、相手方保険会社からは、過剰な素因減額の主張がなされることがあります。
そこで、このような場合は必ず弁護士に相談しましょう。
そもそも、その事案で素因減額がなされることが相当なのか、素因減額がなされてること自体は仕方ないとしても、その割合が妥当なのか、アドバイスが受けられます。