映画『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』を見て②

弁護士の岡原です。

センター試験も終わり,国公立大学の二次試験を控えている受験生も多いことと思います。

きっと,このブログをご覧の受験生の中にはカンニングをしようなどという不届きな方はいらっしゃらないと思いますが,先月に続き,カンニングと偽計業務妨害罪についてお話しします。

 

偽計業務妨害罪とは,虚偽の風説を流布し,又は人の錯誤・不知を利用することで,人の業務を妨害することを内容としています。

カンニング行為は,不正な答案を作成することで,試験の公正さを害する行為です。

試験が公正に行われたものでなければ,他の受験生は到底納得できませんから,試験の主催者は,どのような不正行為があったのか,ほかにも不正行為はなかったかなどを調査してそれに対処する必要があり,これが本来の試験業務を妨害しているとみることができます。

 

前回のブログで触れた大学受験のカンニング事件について,インターネット上ではカンニングで警察が動くなんてやりすぎだ,被害届まで出す大学の対応は大人げないなどの意見がありました。

これについて,私としては,例えば大規模かつ組織的なカンニングなど,カンニングの手法や規模によっては,偽計業務妨害罪として処理することが入学試験の公正さを確保するうえでやむを得ない場合もあると考えます。