司法試験と弁護士の能力

5月12日と13日、15日と16日に、2021年度の司法試験が行われました。
去年は新型コロナウイルスのため試験が8月に延期となっており、いまだ東京をはじめとした複数の都市で緊急事態宣言が出されているなか今年は大丈夫なのだろうかと心配していましたが、例年どおりに実施されたようです。

去年の出願者数が4226人、受験者数が3703人と、新司法試験となって受験者数が初めて4000人を割り込んだことが話題になりました。
ところが、今年は出願者数が3754人、受験者数はまだ発表されていませんが受験予定者数が3733人だそうで、すでに出願者数が4000人を割り込んでいることにショックを感じました。
私が受験したころは受験者数が8000人台だったので、その半分以下になってしまっているようです。

なぜ受験者数が減ったかについては様々な要因があるとは思いますが、その一因として、「新司法試験になって合格者の質が下がった!」などと言われ、新司法試験合格者は旧司法試験合格者と比べて能力が劣っているかのような見方が出てきたこともあるのではないかと思います。

もっとも、私は新司法試験合格者全体として、旧司法試験合格者全体より能力が低いとは思いませんし、実際に実務に出てからの能力と司法試験での成績にそこまでの相関関係があるとは思っていません。
司法試験で判断できるのは、限られた短時間でいかに正確な法律構成ができるか(+いかに早く字が書けるか)という能力だけですが、その能力だけで業務を行うことは不可能です。

少なくとも弁護士業務に限っていえば、依頼者様の気持ちや考えをどのようにくみ取るかという能力や、相手の立場も考慮しつついかにこちらの交渉を有利に進めていくかという能力のほうがよほど重視されます。

なので、弁護士に依頼しようと考えた際の弁護士に選び方について、「この弁護士は新司法試験合格者だからやめておこう。」とか、「新司法試験だけど予備試験合格者だから優秀だ。」とか、「この弁護士は旧司法試験を上位合格しているから安心だ。」とかは全くあてにならないと思ってください。
それよりも、信頼できる人の口コミや、実際にその弁護士と話したときのご自身の印象などを参考にしたほうがよほど信頼性は高いと思います。