非弁活動

名古屋で弁護士をしている,岡原麻矢です。
私は,現在,愛知県弁護士会の非弁護士活動取締委員会に所属しています。
「非弁護士活動取締」とは一体どのような活動をしているのかというと,おおまかにいえば弁護士法27条(非弁提携の禁止)や,同法72条から74条(非弁行為の禁止)に反する活動につき質問書を送付する等により実態を調査し,非弁行為等に当たると判断されれば警告や告発などの処置を取るといったことが内容となります。

もっとも,このような説明では,一般の方にあまり実感がわかないかと思いますので,一つ例を出してご説明したいと思います。
例えば,弁護士法74条2項は以下のように規定しています。
弁護士法 第74条
1 弁護士又は弁護士法人でない者は、弁護士又は法律事務所の標示または記載をしてはならない。
2 弁護士又は弁護士法人でない者は、利益を得る目的で、法律相談その他法律事務を取り扱う旨の標示又は記載をしてはならない。
3 弁護士法人でない者は、その名称中に弁護士法人又はこれに類似する名称を用いてはならない。
では,弁護士の資格を持っていない人が,他人から法律相談を受け,相談者から相談の対価はもらっていないというケースは,同法74条2項に該当しないのでしょうか。

同法74条2項の趣旨は,「(弁護士)資格を有さず,なんらの規律にも服しない者が,自己の利益のため,みだりに他人の法律事件に介入することを業とする行為を放置すれば,当事者その他の関係人らの利益を損ね,法律生活の公正かつ円滑な営みを妨げ,ひいては法律秩序を害することになるので,これを禁圧する必要がある」という点にあります(最判昭和46年7月14日判決・刑集25巻690頁)。

そのため,法律に詳しい夫が,妻の法律問題についてアドバイスすることは,自分の利益のために行うものではなく,「利益を得る目的」にはあたらないので問題とはなりません。
また,身内でなくても,近所の人の法律問題について,世間話の延長として相談に乗ることも,そこまで問題とはならないといえます。

ところが,その方が「法律に詳しいおじさん」と近所で評判になり,八百屋の店主が店の一角に椅子を数脚おいて無料相談スペースを作って客寄せに利用し,八百屋の店主からおじさんに謝礼として割引券が毎月渡される,というケースだと,74条2項にあたるとして問題となる可能性があります。
なぜなら,上記趣旨からすれば,相談を受ける者が自己の利益のために他人の法律事件に首を突っ込むことが禁止されているということになりますので,「利益を得る目的」とは相談者から対価を得ることに限られず,相談場所を提供した人からの対価の受領もこれにあたるという解釈となるからです。

非弁行為や非弁提携は,これ以外にもたくさんの類型があり,これはほんの一部にすぎません。
もし,これらの類型にあたるかも?と思われるような行為を見かけられましたら,お住まいの地域の弁護士会へご一報ください。

9月の祝日

9月18日は敬老の日,9月23日は秋分の日と,9月には2日も祝日があります。
もっとも,今年の秋分の日は土曜日と重なっているため,振替休日がないのが残念です。
(祝日と振替休日との関係については,私の平成29年2月11日付ブログ「建国記念日」をご覧いただくか,国民の祝日に関する法律第3条をご確認ください。)

9月は気候もよいので,皆さまも3連休を利用して旅行などにお出かけされてはいかがでしょうか。