ココが変だよ『ゼロの執行人』パート1

昨日,金曜ロードショーで映画『名探偵コナン ゼロの執行人』が放送されていました。

私はこの映画をまだ見ていなかったので,とても楽しみにしていたのですが,法律関係で気になることがいくつかあり,残念に思いました。

そこで,弁護士目線で気になった,「ココが変だよ『ゼロの執行人』」を,3回に分けてお届けしたいと思います。

若干のネタバレを含みますので,まだ知りたくない!という方は,このページを閉じる前に,今すぐ『ゼロの執行人』をご覧ください。

大事なことなので2度言いますが,このブログのページは閉じずに,『ゼロの執行人』を見てくださいね!

 

○毛利小五郎の弁護人がなかなか見つからない

毛利小五郎が逮捕されたあと,妻の妃英理弁護士(ちなみに,別居しているだけなので戸籍上は毛利英理のままだそうです。)が,いろいろな知り合いの弁護士に小五郎の弁護を依頼するも断られ,「有名人だからみんな弁護人をやりたがらないんだ。」などというシーンがあります。

 

ところが,あの有名なカルロス・ゴーン氏にもきちんと弁護人がついていらっしゃることでも分かるとおり,有名人だから弁護人をやらないなどということはあり得ません。

むしろ,刑事弁護に力を入れている弁護士の先生であれば,ぜひやりたいと全国から大勢集まってくるほどではないでしょうか。

あのような描写は,弁護士が被疑者を選り好みしているような印象を与え,いざというときに弁護士に頼れないのではという印象を与えかねず,とても残念です。

 

○情報を流してくれる白鳥警部

小五郎の現状について,白鳥警部が妃英理の事務所まで来て捜査情報を流してくれていますが,あり得ません。

もっとも,コナンのいる世界では一般民のコナンや少年探偵団が捜査に協力しているので,そこに言及するのは野暮なのかもしれません。

 

○「ケーベン」

毛利小五郎の弁護人として,橘境子弁護士という方が出てきます。

この先生について,妃英理が,「先生は『ケーベン』なのよ。」というシーンがありました。

 

私は,「ケーベン」と聞くと,刑事弁護を多く扱っている「刑弁」なんだなと考えましたが,ここでは「事務所を持たず,携帯電話のみで仕事をする弁護士」,つまり「携弁」として紹介されていました。

私が知らないだけなのかもしれませんが,そんな略し方はいままで一度も聞いたことがありませんし,念のため知り合いの弁護士に聞いてみましたが聞いたことがないとのことでした。

このようなフレーズが出てきても,普段の弁護士業務に何か支障があるわけではないので別に構わないのですが,あえて出す必要がないのではと思いました。